いよいよ今週から。
そもそもお店でおでんを出そうと言いだしたのは、マミでした。
それは、お店をオープンする前のこと。
「おでんてさ、メニューにあると必ずひとつふたつ頼みたくなっちゃうよね。それに仕込んでおけば営業中は出すだけだから、簡単そうじゃん!」
という、今思えばなんと浅はかだったのだろうと反省するのですが

それくらいの軽い気持ちでマコさんに提案したのでした。
日本酒メインのお店にすると決めていたマコさんも、おでんと日本酒っていいよね!と、お店のメニューにおでんを加えることを承諾

しかしいざ作ってみると、おでんはとても繊細で手間のかかる料理だったのです

まず、おでんに合うだしを見つけるために市場の鰹節屋さんに通い、何種類もの昆布や魚の削り節を試して、今の『羅臼昆布と鰹節の黄金だし』の比率にたどり着きました。
おでんシーズンには毎日のように10リットルものだしをとっているので、仕込み時間中はBARにそぐわぬだしの良い香りが店内に充満しています

具材にもこだわりが

ひとつひとつのおでんだねを1番美味しい状態で提供するため、個別に丁寧な下ごしらえをしています。
こんにゃくは味を染み込ませるため、一丁に200本もの切り目を入れています

1番人気の大根は、一日にして成らず。
挙げればきりがないのですが、ひとつひとつの具材に工夫と手間をかけて、丁寧に仕込んでいるんです

営業中も、ただ出せばいいだけではありませんでした

おでんはやっぱり熱々じゃなきゃ!ですが、ずっと火にかけて沸騰させてしまうと、だしが濁ってしまいます。
マコさんは、絶対にだしを濁らせません。
お店をオープンするちょっと前に、マコさんは夢を見ました。
オープンしたお店に、中尾彬さんがおでんを食べに来たそうです。
そして出されたおでんを見て一言、
「だしが、濁ってるね。」
あの渋い声で、そう言って帰って行ったそうです。
目が覚めて、マコさんは「夢で良かった〜

!!」と思ったそうな。
その夢が教訓となり、マコさんはおでんのだしが濁らないように、営業中も細心の注意を払っておでんを管理しています。
おでんのシーズンが始まると、マコさんはまるで日本酒の仕込みシーズンが始まった杜氏さんのように黙々と仕込みをしています。
お客さんがたくさんおでんを食べてくださった日は、次の日、またその次の日のために、徹夜でおでんを仕込むこともあります。
そんなマコさんの姿を見ていると、私の思いつきで「おでんやろう!」と言ったのが申し訳なくも思うのですが…

デンゾウ・バーで美味しいおでんが食べられるのは、マミの思いつきのおかげ、中尾彬さんのお告げのおかげ、そしてもちろん、マコさんのたゆまぬ努力のおかげなんですね

でもマコさんは、そんなこと説明したりしません。
なのでマミがこっそり、ブログに長々と書いてしまいました

マコさんが言うのは、だいたいいつもこんな一言だけです。
『おでんと日本酒、合いますよ。』
それでは今夜も
