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伝世舎のブログ

日々是好日

今年もとうとう残り数日となりました。
今年はブログを継続的に更新しようと目標を立てていたのですが、秋以降から滞ってしまいました。
新年からは、気を引き締めてブログ継続を頑張りたいと思っています。

今年最後のブログは、掛軸の箱についてです。
10月に開催した「修復のお仕事を展」では、「しまう」というテーマで、伝世舎では掛軸を保存する「桐箱」についての展示をしました。

展示した内容の一つに、「元箱(もとばこ)の保存事例」を致しました。
箱には、「箱書き」があるものが存在します。収納している作品の伝来などの記録であり、重要な場合があります。
作品を修復した時に寸法などが変わり、元の箱に入らなくなる事が起こります。新たな箱に収めた場合に、元箱をどうするのかが重要になってきます。
別々に保管した場合に、時間が経つと何の箱だったのかわからなくなる事が出てきます。
元箱を保管する方法の一つをご紹介致します。

「新調の箱に箱書きの蓋板を嵌め込んで保管」
掛軸を収納していた箱は桟蓋箱(さんぶたはこ)と言う種類で、蓋板の表と裏、底板の裏に箱書きがありました。


箱に緩みや反りが生じ、蓋の桟が欠失の損傷がありました。
掛軸を全体修復を行ったことで、寸法が変わり元箱に入らなくなりました。また元箱には損傷があり、気密性が低い桟蓋箱だったことから、気密性のある印籠箱(いんろうばこ)を新調しました。
蓋板と箱底板を分離し、旧蓋板は新調の印籠箱の蓋に嵌め込んで一体化させました。


旧箱底板は、新調の箱底に収めました。蓋の表と裏の箱書きが見えるようになっています。


元箱の形は失いましたが、箱書き部分が新調した箱に一体化したので、バラバラになる危険性は減りました。

 

箱は大事な作品を護るために重要です。
桐箱は、調湿生、断熱性が優れていることから、古くから美術品の保存箱として使われてきました。
その桐箱は、桐材の産地、乾燥加工、製作技術などによって、ピンからキリまであります。
木材から出るアク(黒い染み)が美術品に影響を及ぼすことがあるので、桐材だから大丈夫と使うと危険です。美術品の収納で使う場合は、箱選びには注意が必要です。

 

※桟蓋箱(さんぶたはこ)
蓋の裏の短手に一文字に二本の桟をつけ、蓋が前後左右の動かないようにしている箱。
茶掛などの軽い華奢なものに用いられている。
経年や環境によって、蓋が反って隙間が生じてしまい気密性に欠ける。
※印籠箱(いんろうはこ)
印籠のように蓋と身が内側でかみ合って、外側は平らになる構造の箱。
他の箱と比べて気密性が高いので、作品の保存箱として主流。

今年も、多くのご支援ご厚情を賜りましたこと、心から感謝しております。
新しい年の皆様のご繁栄とご多幸を心からお祈り申し上げます。

 10月9日(日)~16日(日)に渡って、旧平櫛田中邸アトリエで開催しました「修復のお仕事展'16」も、おかげさまにて無事終了致しました。

 期間中は沢山の方々にご来場頂き、ありがとうございました。


 今年のテーマは「しまう」。色々な保存箱や、保存するための資材等、今までとは少し違った、でも以外と面白い展示ができたと思っております。

 今年は新記録となる587名のお客様にお越し頂き、盛況の内に終了することができました。
参加者一同、お礼を申し上げます。


 来年もまた開催する予定ですので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 伝世舎としての展示は「桐箱」を中心に行いました。どのような展示になったかは、次回このブログでお伝えします。

 

  田中邸は19日(水)~26日(日)の間公開しております。現在解体などで失われた家から頂いた道具・建具類を、その由来とあわせて、新たに使って下さる方のもとにお届けする【建具お道具転生バザー】を開催中です。
バザーの募金は、田中邸や他の建物の修繕・再生の資金としてまいります。展示とあわせてどうぞご覧ください。

 引き続き田中邸での展示を見にお越しください。 

 

芸工展も23日(日)まで開催していますので、谷中界隈の町歩きをお楽しみ頂きながら田中邸までお越しください。 

 

頂戴いたしましたご意見、ご感想を今後の糧として、修復の仕事に取り組んで参りたいと存じます。
今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

第24回 芸工展2016
「修復のお仕事展'16 ~伝えるもの・想い~」
を開催します。

 

 芸工展とは、東京・谷中地区を活性化させる取り組みのひとつとして平成5年に始まった地域のイベントです。谷中・根津・千駄木・日暮里・上野桜木・池之端界隈で「まちじゅうが展覧会場」と銘打って、地域に暮らす人々が様々な企画展示・イベント等を行います。ガイドマップを片手に谷中界隈を散策しながら、皆さん思い思いに楽しんでおられます。
 (芸工展URL:http://www.geikoten.net  )

 

 この芸工展で伝世舎の主催として「修復のお仕事展 ~伝えるもの・想い~」を開催します。あまり一般的には知られていない「修復」の仕事を、知ってもらえればと思い、様々な分野の方々の参加を得て展示を行っています。
 今年も昨年に続き、「修復のお仕事展'16」として、「しまう」を統一テーマに設定し、新たなメンバーを加えて展示します。またこの機会に、普段は月に1度しか公開しない旧・平櫛田中邸アトリエをご覧頂ければ嬉しいです。

 

 皆まだ(そこそこ)若く、分野も別々ですが、「次の世代に作品を残す」ためにがんばっている人たちです。その仕事の一端をご覧ください。
 谷中界隈散策がてら、是非お立ち寄りください。

 

会  期:2016年10月9日(日)~16日(日)
会  場:旧平櫛田中(ひらくしでんちゅう)邸アトリエ※
       〒110-0002 台東区上野桜木2-20-3
開催時間:11:00~17:00(最終日は16:00まで)

参加者:
油絵修復 武田恵理・中右恵理子
建造物保存活用 もば建築文化研究所 梅田太一・中村文美
紙本・写真修復 白岩修復工房 白岩洋子
染織品修復 山崎真紀子
地域文化財保存修復の支援 ㈱文化財マネージメント 宮本晶朗

長期保存容器の製造販売 ㈱資料保存器材
展示企画・陶磁器の調査研究  ㈱森企画 森由美・松田佳代
陶磁器修復 陶磁器修復たま工房 北野珠子・鈴木りん
東洋書画修復 伝世舎 三浦功美子・嶋根隆一
文化財保存支援 NPO法人 文化財保存支援機構
保存・修復品製造販売(文化財科学) ㈱パレット 長谷川雅啓
埋蔵文化財公開・活用 東京大学埋蔵文化財調査室 原祐一
埋蔵文化財修復 武蔵野文化財修復研究所 石原道知
立体作品・絵画修復 おいかわ美術修復 及川崇・古賀路子

 

※旧平櫛田中邸アトリエ
 日本近代を代表する彫刻家である平櫛田中は、谷中・上野桜木に70年にわたって暮らし、数多くの作品を世に送り出しました。
 上野桜木の平櫛田中アトリエは大正8年、横山大観、下村観山ら日本美術院の画家たちの支援により建てられました。日中安定した光を得るため、北側に天窓を備えた近代的アトリエ建築の先駆けです。
 普段未公開のアトリエをご覧になれるいい機会ですので、皆様お越し頂ければ幸いです。

 会場は少し分かりにくい場所にあります。以下の記事に根津駅、鶯谷駅からの写真入りルートを紹介していますので、参考になさって下さい。

 

平櫛田中邸アトリエの道のり(根津駅から)
http://ameblo.jp/denseisya/entry-11361245963.html
平櫛田中邸アトリエの道のり その2(鶯谷駅から)
http://ameblo.jp/denseisya/entry-11368416676.html
※2012年のデータですので、日付は微妙に違っていますがご容赦ください。