2018年10月7日(日)~14日(日)に渡って、旧平櫛田中邸アトリエで開催しました「修復のお仕事展'18」も、おかげさまにて無事終了致しました。

 今年はおかげさまで10回目を迎えることができました。そして今回をもってこの展示会を最後とすることに致しました。
 気にしていた天気も何とか雨にはならず、「最後」ということでご来場頂いた方も多く、584名ほどの方にお越し頂きました。お越し頂いた方々には、厚く御礼申し上げます。


 今回は集大成として「五つの宣言」を提示し、各分野がその内の何を展示したか分かるようなアイコンを置き、展示致しました。
 この「五つの宣言」は修復技術者としては当たり前の考えですが、今まで明文化した形で提示したことがなかったため、今回あえて「宣言」として取り上げました。
 我々が伝える「想い」をここに込めたつもりです。


 また今回はこの10年間の取り組みを「10年のあゆみ」としてまとめ、、田中邸母屋で展示しました。過去に参加してくれたメンバーからも感想を書いてもらい、全容が分かるコーナーにしました。懐かしい写真も満載です。


 伝世舎では掛け軸の部分修復を展示致しました。文京区の菊坂町会様のご協力を得て、依頼された「櫻木神社大祭碑 拓本」の修復報告と、実物を展示致しました。
 ご協力頂きました菊坂町会様には、厚く御礼申し上げます。
 どのような展示になったかは、次回このブログでお伝えします。

 10年前、小さなギャラリーで細々と始めた「修復のお仕事展」でしたが、それぞれ若手だった参加者も中堅になり、以前のように容易に集まることも難しくなり、キリのいい10回目で一旦終了することとなりました。
 毎年お越し頂く方もおられ、微力ながら「修復のお仕事」の普及に関して一翼を担えたと自負しております。
 また何かいい企画がありましたら、再びお目に掛かることがあるかと思います。
 10年間ありがとうございました。

 頂戴いたしましたご意見、ご感想を今後の糧として、修復の仕事に取り組んで参りたいと存じます。
 今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

第26回 芸工展2018
「修復のお仕事展'18 ~伝えるもの・想い~」を開催します


 芸工展とは、東京・谷中地区を活性化させる取り組みのひとつとして平成5年に始まった地域のイベントです。谷中・根津・千駄木・日暮里・上野桜木・池之端界隈で「まちじゅうが展覧会場」と銘打って、地域に暮らす人々が様々な企画展示・イベント等を行います。谷中界隈を散策しながら、皆さん思い思いに楽しんでおられます。
 (芸工展URL:http://www.geikoten.net

 この芸工展で伝世舎の主催として「修復のお仕事展 ~伝えるもの・想い~」を開催します。あまり一般的には知られていない「修復」の仕事を、知ってもらえればと思い、様々な分野の方々の参加を得て展示を行っています。
 今年はおかげさまで10回目を迎え、「修復のお仕事展'18」として展示します。そして今回をもってこの展示会を最後とすることに致しました。
 一定の期間を充電期間として、また新たな「何か」を見つけたとき、お目にかかることがあるかと思います。10年間本当にありがとうございました。
 またこの機会に、普段は月に1度しか公開しない旧・平櫛田中邸アトリエをご覧頂ければ嬉しいです。

 皆まだ(そこそこ)若く、分野も別々ですが、「次の世代に作品を残す」ためにがんばっている人たちです。その仕事の一端をご覧ください。
 谷中界隈散策がてら、是非お立ち寄りください。



会   期:2018年10月7日(日)~14日(日)
会   場:旧平櫛田中(ひらくしでんちゅう)邸アトリエ※
        〒110-0002 台東区上野桜木2-20-3
開催時間:11:00~17:00(最終日は16:00まで)


油絵保存修復 武田恵理・中右恵理子
建造物保存活用 もば建築文化研究所 梅田太一・中村文美
紙本・写真修復 白岩修復工房 白岩洋子
染織品保存修復 山崎真紀子
地域文化財保存修復の支援 ㈱文化財マネージメント 宮本晶朗
長期保存容器の製造販売 ㈱資料保存器材
展示企画・陶磁器の調査研究  ㈱森企画 森由美・松田佳代
陶磁器保存修復 東京藝術大学大学院 保存修復工芸研究室 北野珠子・張立
東洋書画保存修復 伝世舎 三浦功美子・嶋根隆一
文化財保存支援・人材育成 NPO法人 文化財保存支援機構 八木三香・松本洋子
保存・修復用品販売(文化財科学) (株)パレット 長谷川雅啓
埋蔵文化財公開・活用 東京大学埋蔵文化財調査室 原祐一
埋蔵文化財修復 ㈲武蔵野文化財修復研究所 石原道知
立体作品・絵画修復 おいかわ美術修復 及川崇・古賀路子

※旧平櫛田中邸アトリエ
 日本近代を代表する彫刻家である平櫛田中は、谷中・上野桜木に70年にわたって暮らし、数多くの作品を世に送り出しました。
 上野桜木の平櫛田中アトリエは大正8年、横山大観、下村観山ら日本美術院の画家たちの支援により建てられました。日中安定した光を得るため、北側に天窓を備えた近代的アトリエ建築の先駆けです。
 普段未公開のアトリエをご覧になれるいい機会ですので、皆様お越し頂ければ幸いです。

 会場は少し分かりにくい場所にあります。以下の記事に根津駅、鶯谷駅からの写真入りルートを紹介していますので、参考になさって下さい。

平櫛田中邸アトリエの道のり(根津駅から)
http://ameblo.jp/denseisya/entry-11361245963.html
平櫛田中邸アトリエの道のり その2(鶯谷駅から)
http://ameblo.jp/denseisya/entry-11368416676.html
※2012年のデータですので、日付は微妙に違っていますがご容赦ください。

東京藝術大学大学美術館「東西美人画の名作《序の舞》への系譜」を観てきました。



これは藝大美術館所蔵の上村松園作《序の舞》(昭和11年製作、重要文化財)修理完了を記念して、《序の舞》へと繋がる古今東西の美人画を集めた特別展です。
《序の舞》は修理完了後の一般初公開となります。

江戸時代の舞踊図に始まり、浮世絵、菱田春草ら明治の美人画、なまめかしい大正の絵から松園と繋がる「美人画の系譜」が展開されています。
また、東の清方、西の松園として、東西画壇を比較するような展示がされています。
鏑木清方の《一葉》と《にごりえ》は素晴らしかった。
また、関西画壇の美人画はどれも素晴らしく、大正期のなまめかしさはやはり凄いと思いました。
上村松園も《序の舞》をメインに数点あり、《序の舞》と《草紙洗小町》は下絵の展示もあり、作家の試行錯誤の跡が窺えます。

そんな中、藝大の学生が課題、卒業制作として描いた作品があり、これは伝世舎で修理をしたものでした。
展示用に応急修理をしたものと、掛け軸を額装に仕立て直したものです。
どこかで展示をするのかと思っていましたが、ここで再会するとは思いませんでした。
状態がよかったので、少しホッとしたところです。

また、入り口のエントランスでは修理行程のビデオが流されています。会場内でも流していますが、小さな画面なので分かりにくいところがあります。ここはぜひ入場前に見ることをお勧めします。

東京藝術大学大学美術館
「東西美人画の名作《序の舞》への系譜」
3月31日(土)~5月6日(日)まで
http://bijinga2018.jp/index.html