トカラ列島・宝島にて。
海中の探索を始めようと海岸からリーフの切れ目を抜けて外海に出たとたん、大きな影が遠くから一直線にこちらに近寄ってきた。
もしやサメか…と身構えた。
落ち着いてよく見てみるとこいつ。
フォーカスも合わないほど近づいてくる。
こちらから近寄っても逃げない人馴れしたカメは伊豆七島などにもいるが、向こうから積極的に近寄ってくるのは初体験。
しかも、いつも他所で見るカメとは様子が違う。
背中一面に海藻がこびりついていて、頭が異常にデカい。
そこで気がついた。アカウミガメだ。
尻尾があり鰭に鉤がついているのでオスの個体。
かなりの大きさなので随分と先輩なのかもしれない。
普段我々が海でよく遭遇するのはアオウミガメもしくはタイマイで、こいつらは陸地近くの比較的狭い範囲を回遊しているので出会う機会は多い。
しかしながらアカウミガメは地球規模で回遊していてメキシコあたりまで往来するため普段は外海にいる。更には絶滅が心配されているほど個体数が減っているので自然界で出会うことは滅多にない。
どうやらこの時期、繁殖のために陸地に近づいてきた個体のようで、こちらをメスと勘違いして寄ってきたのかもしれない。多分海の中で人間など見たことがないのだろう。
放っておいたらいくらでも遊んでくれそうな勢いで、こちらも撮影を忘れて遊んでしまった。
冷静になってもっと撮影しておけばよかったと少々後悔している。