今回、付随音楽はすべてシンセ・合成音のみで構成しています。(厳密に言うとサンプラーなどの生音系音源もシンセになるので、以下シンセ=非生音系音源と読み替えてください)
そもそも自分は生楽器系が好きな人間なので、シンセ系の音の扱いはあまり慣れていません。
とは言え、シンセというのは現代においては避けて通れない基礎技術であることは否めず、ぼちぼち使いこなせるように時間を見付けては勉強しているところなのです。
今回、ちょうど実験的な映像でシンセ音が似合いそうなので、思い切って生楽器系の音を完全排除してみました。
まあ、まだまだ稚拙なのは仕方ありませんが。
曲調ですが、ヒメボタル=かぐや姫の由来説というものがあるというのを事前にWebで読んだのがきっかけで、純邦楽、特に雅楽のイメージが撮影中も頭の中にずっとついて回ってました。(結構単純です…)
そこでどうせなら雅楽のエッセンスを取り込んだものを作ってみようと思い立った次第。
雅楽の知識は持っていないので、ウチにある参考になりそうな音楽本を物色したところ、前世紀に購入してずっと愛蔵していた松平頼則著・近代和声学という本(非常に良書なのに既に絶版で、なんと今だと中古市場でン万円のプレミアが。。。)に譜例つきで詳しい解説が載っていた。


この本の解説を参考にしながら、A音のドローンの上に笙の和音(+少々テンションノート)を連結、加えていくつかの音色を散りばめて今回の曲が完成しました。
しかしながら笙の和音って弾いて見ると本当に面白いです。西洋音楽で言うところのトーン・クラスター(密集音)という20世紀後半になってようやく定着した手法が日本では何世紀も前に既に行われていたという事実。
世界にはまだまだ我々の知らない音の組み合わせがたくさん眠っているのかもしれません。