【映画感想】トランスフォーマー/ビースト覚醒(2023) | 後追い80's

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絶対に観に行くつもりだったけど、結局観に行かなかった本作。

 

その理由は主に2つあって……

 

①公開当時、ちょうどハリウッドの俳優と脚本家がストライキ中だったので、それを支持する為にはスタジオの利益に繋がるような行動は極力控えたかったから

 

②前作『バンブルビー』が87年という時代設定で、80年代の豊かな洋楽がたくさん流れて最高だったのに対し、本作の時代設定は94年となっており、そのせいか音楽がほぼヒップホップ一色となっている事を知ったから

 

更にもう1つはユーザーレビューの内容も全体的にパッとせず、どちらかといえば期待外れだとガッカリしている感想が多い印象を受けた事も少しだけ影響している。

 

 

そして、今回ようやくスターチャンネルの字幕版で鑑賞。

 

まず、観る前に「今日はトランスフォーマー観るぞー」とちょっとばかりワクワクする気持ちになれたのだが、もし劇場公開時に少しでもこういう気持ちになれていたら観に行った可能性もあったかもしれない。

 

劇場で観るよりも、自宅で観る時の方がワクワクしてしまう傾向が年々強くなってきているのだからどうしようもない。

 

もはや劇場で観るという体験に全くワクワクしなくなったどころか、行くのが面倒だという気持ちの方が強く、それが楽しみを上回ってしまうせいで全然ワクワクできなくなっているのだろう。

 

シネコンの無味乾燥で侘しい雰囲気が全く好きになれないし、自宅なら超リラックスして、自分が落ち着く雰囲気の中で好きなように鑑賞できるから、もう映画館にメリットを感じる要素が無くなりつつある。

 

15年前辺りまでは大画面や大音響で楽しめる事に特別な魅力を感じていたけど、それももう一昔前の話となってしまった。

 

そんなわけで、本作を観ても「劇場で観ておけばよかった」と後悔する気持ちは1%も無かった。

 

ただ、単刀直入な感想としては、想像していたよりも面白かったけど。

 

 

まず、懸念していたヒップホップは想像通りに雑音でしかなく、しんどかった。

 

ヒップホップ流れるというのであればまだ我慢できるけど、ほぼヒップホップだけとなると拷問に等しい。

 

前作『バンブルビー』のサントラが最高に好きなだけに、音楽に限って言えば前作と本作では天国と地獄ぐらいの差を感じた。

 

良質でバラエティー豊富な楽曲で構成されていたバンブルビーのサントラが文化的な豊かさや層の厚さを感じさせた分、本作から90年代の洋楽は文化的に貧相になった事を感じずにはいられなかった。

 

 

 

あと、キャスティングに関しても前作と比べると大きく魅力を落としており、この2人が主役というのは絵面的にもかなりキツいものがある。

 

男性の方はまだいいとして、ヒロインポジションの女優さん…さすがにこれはないだろと呆れてしまうレベルで、いかにも現代のハリウッドらしいキャスティング。

 

いよいよトランスフォーマーにもポリコレの波が押し寄せてきたかとガッカリ。

 

前作のヒロイン(ヘイリー・スタインフェルド)が凄く魅力的だっただけに、あまりにも落差が激しすぎる。

 

 

いきなり大きな不満を2つも挙げてしまったけど、裏を返せばそれ以外に不満を感じた要素は特になく、マイケル・ベイのTFを観た後のような妙なモヤモヤも残らず、気分爽快スッキリな余韻が残ったので、私の中ではバンブルビーの次に満足感が高い作品かもしれない。

 

というのも、肝心の戦闘シーンがベイ監督の作品と違って見易いし、メインストーリーもベイ監督のは全然面白くなかった上、つまらないギャグをくどいぐらいねじ込んでくるような作風も好きになれなかったが、こちらは普通に面白かったし、尺も長すぎず2時間でスパッと終わってくれたので、個人的には断然こちらの方が好み。

 

ベイ監督のTFは「素材は良いのに何でこんな味にしかならないかなぁ…」と勿体なく感じるモヤモヤが常に付きまとったから。

 

 

本作から登場したマクシマルという動物に変形する生命体に関しては、元々アニメの『ビーストウォーズ』を観たことがないせいか全く興味が持てず、本作のコンセプトが発表された時点で「そっちに行くのか…」とシリーズの方向性にガッカリしたぐらいなので、むしろ邪魔な存在ぐらいに思っていたのだが、蓋を開けてみたらそんなに悪くなかった。

 

マクシマルの野性的な戦闘スタイルが、オートボットとはまた違う魅力をもたらしてくれたので、アクションシーンの見応えが増したように感じられた。

 

 

特にマクシマルのリーダーであるオプティマスプライマルは見ているだけで気持ちが良くなるような器の大きいリーダーで、むしろオプティマスプライムよりもリーダーに相応しいぐらいだと思ってしまった(笑)

 

 

 

 

あと、本作ではオートボットにミラージュというムードメーカー的なキャラが追加され、これまでは人間の主人公の相棒ポジションはバンブルビーの役割だったところをミラージュにやらせた事も新しい試みとして面白かったと思う。

 

 

 

あと、前作ではあまり活躍が見られなかったアーシーの出番が多かった事も嬉しい要素だったかな。

 

 

 

敵側のインパクトはそんなに強くなく、ボスキャラのスカージもまあまあな印象だった。

 

 

とはいえ、トランスフォーマー映画としては面白い内容に仕上がっていて、概ね満足している。

 

とりあえずネタバレなしの感想はここまでとさせてもらい、ここからはネタバレありの感想を書いていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは余談から。

 

主人公ノアが着ていたジョーダンのタンクトップは、90年代当時に私もこれの色違い(確か赤だった)を持っていた記憶があるので、ほんの少し親しみを感じてしまった。

 

 

そんなノアが履いていたスニーカーはエアジョーダン6のカーマイン

 

90年代はジョーダンがアイコニックな存在だったので、こうしたファッションで時代性を表現したかったのだろう。

 

終盤の戦いではノアをかばったミラージュが死んで、ミラージュの体のパーツが聖闘士星矢の聖衣のごとく独りでにノアの体に装着され、突然ノアがアイアンマン化(笑)

 

 

いや、スライディングしながらブラスターを撃つ姿を見るにロックマン化と言うべきか(笑)

 

この展開には賛否両論ありそうだけど、私はシラけることもなく普通に楽しめたので全然アリ。

 

ただ、エンディング時にほのめかされたGIジョーとのコラボは正直要らないなぁと思ってしまったけど。

 

それって玩具会社(ハズブロ)の都合であって、こっちは普通にトランスフォーマーが観たいだけでGIジョーなんてどうでもいいんだが…としか(GIジョーの映画2本とも微妙だったから良い印象が無いし)。

 

でも、最近GIジョーとのクロスオーバー展開が正式に発表されちゃったしなぁ。

 

面白くなってくれれば問題はないけど、今のところ嫌な予感が90%。

 

結果的に私の中では生涯バンブルビーがシリーズ最高傑作という評価で落ち着きそうな気がしている。

 

バンブルビーの続編として、オプティマスとバンブルビーのバディものを企画しているという話もあった気がするけど、いきなり90年代に飛ばないでもう一度だけ80年代を舞台にしてそっちの方向に進んで欲しかったな。

 

本作がバンブルビーと比べてイマイチな評価になってしまったのも、90年代という時代背景に(80年代と比べると)魅力が薄いというのも関係している気がしてならないし。

 

トランスフォーマーのアクションを楽しむという意味ではなかなかの良作だったものの、バンブルビーの続編として見るとかなり微妙な出来だったというのが最終結論かな。

 

でも、最後にミラージュが復活してくれたのはちょっと嬉しかった。

 

吹き替え版も録画しているので、気が向いた時にまた吹き替え版の方も観てみようと思う。

 

 

本作と『キャッシュトラック』を観たいがためにTSUTAYAに行かなければと冬の間から思っていたけど、結局ミッション:インポッシブルの新作も含めて観たかった映画は全てスターチャンネルで録画できたので、TSUTAYAに行かずに済んでしまった。

 

近年は年に1回ぐらいしか利用する機会がなくなり、レンタル料金よりも会員証の更新手数料の方が高くつくなんて事も珍しくなくなってきているぐらいなので、これでもう今年はTSUTAYAに足を運ぶ機会も無くなったかもしれない。