ボクらの時代
出演者:岸谷五朗、寺脇康文、風間俊介
私は基本的に話が面白い人が好きで、特に対談系の番組や動画をよく観るのですが、ここ数年・・・特にコロナ禍になって以降は面白いと感じる事が激減して寂しさを感じていました。
昔はあんなに面白かった人さえも、まるで牙を抜かれたように面白味を失ってしまったように感じられ、これも時代(の空気による影響)か…とガッカリして、あんなに好きだったトーク系の動画を見ることさえ少なくなっていたのですが、久々にこの番組を母に勧められたので観てみたところ、ここ最近で一番面白いと思える非常に有意義な会話を聞くことができて、凄く励みになりました。
岸谷さんと寺脇さんを拝見するのは、もうどれぐらいぶりなのか覚えてもいないぐらいなのですが、久々に見ても全く印象が変わっておらず、とても還暦を過ぎてるとは思えないバイタリティに驚かされました(岸谷さんは59歳なのでまだ還暦前ですが)。
そしてお二人共、むしろ若い頃より若く見えると言いますか、そんな風に感じられるぐらい活力に満ち溢れていて、言葉の一つ一つが分かりやすいし、力があるし、ユーモアがありながらも下品じゃないしで、久々に見本にすべきような大人の姿を見たような気がしました。
特に言葉遣いが綺麗で、「てか」「うまっ」「めっちゃ」などといった稚拙な言葉を使わないから、話を聞いていても心地良く入ってくるのです。
先日、鳥山明さんが亡くなった際、TVの街頭インタビューで訃報を聞かされた中年女性が「え?ウソ?マジで??」と言ってるのを見て、本当にこの国はダメになったなぁと情けなくなったばかりだっただけに、大人らしい言葉で会話してくれるだけでも凄く好感を持ってしまうところもあるんでしょうけど。
だって、普通は人が亡くなった時に「マジで?」なんて言葉は使わないものですから(そんなコメントを普通に使うテレビ局のモラルの低さも含めて残念)。
昨今は深刻な場面でも軽々しい言葉を使う中高年が凄く増えたように感じます。
でも、やっぱり言葉というのは凄く大事なんですよ。
その人の内面や人間性を表すものですから。
たとえ上品ではなくとも、最低限、下品ではないようにしなければならない。
でも、今の時代はそういう自覚や緊張感を持った大人が少ない事が残念なんですよね。
今やアナウンサーやNHKでさえ言葉が崩れてしまっている有様ですから。
それが80年代のドラマなんかを見るとみんな言葉が綺麗だから、それだけでも凄く心が洗われたような気分になるのだろうなと度々感じています。
しかし、岸谷さんや寺脇さんのように知性とユーモアを感じさせてくれる魅力的な大人もまだいるのだと分かって元気がもらえましたし、人の話に刺激を感じたのも久々の事だったので凄く貴重な時間でした。
浦沢直樹の漫勉neo 「水木しげる」
水木しげるさんの特集番組は割と欠かさず観ているのですが、今回の番組は大好きな漫画『YAWARA!』の作者でもある浦沢直樹さんと、水木さんのアシスタントをされていた方々が水木漫画の魅力を語るという内容で非常に面白かったです。
水木さんが漫画を描く際に空気感を重視されていた事、妖怪という突拍子もない存在があたかもそこに実在するかのように感じさせるために「背景を緻密に描く」というメソッドを生み出したのは凄い発明だったという事など、作り手ならではの視点から水木漫画の真髄を解説してくれたので大変分かりやすく見応えがありました。
この番組を観た事で、昨年録画だけしていてまだ観ていなかった『コネクト「“戦争漫画家”水木しげるのメッセージ」』というNHKの番組も観ることに。
水木さんが自らの戦争体験を書き綴った『総員玉砕せよ!』という漫画と、その作品に対する水木さんの思いを掘り下げる内容だったのですが、こちらも良い内容でした。
戦地における惨たらしい体験、呆気なく散っていく命、誰にも知られず死んでいく悲しさなど、戦争の無慈悲さが伝わってきて、凄い覚悟が要りそうだけど一度はこの漫画を読まなければならないような気がしてきました。
「人生は屁のようなもの」という水木さんの死生観には、少なからず共鳴できる部分があります。
ちなみに、水木しげるさんの特番を録画してきたブルーレイを数えてみたら5枚目でした。
あの人に会いたい 「高橋国光(レーサー)」
亡くなった著名人の声を取り上げる10分程度の番組で、興味がある人の回は観ています。
今回はモータースポーツ界のレジェンドである高橋国光さんでした。
私は土屋圭市さんが好きでずっとビデオや動画を観てきたのですが、そんな土屋さんの師とも言える存在なのが国光さんで、お二人の師弟関係が好きでした。
国光さんは、あの命懸けの厳しい世界でトップを走ってきた天才とは思えないほど温厚な人柄なのがいつも不思議で、今回の番組ではまだ現役だった80年代から90年代のインタビュー映像も見れたのですが、誰からも慕われる人格者だった事が容易に見て取れました。
そして、国光さんも本当に言葉が綺麗。
こういった尊敬できる大人がどんどんいなくなってしまうばかりなのは寂しいことです。
はみだし刑事情熱系 最終章
96年の放送開始時から、ほぼ毎週欠かさず観ていた「はみデカ」ですが、確か2002年辺りからは観なくなっていたと記憶しているので、2004年に放送された最終章は恐らく全く観たことがありませんでした。
今回、BSで再放送されていたので最終章だけ毎週観ているのですが、今見てもやっぱり全然面白い。
まず、オープニングのBGMが今風にアレンジされていてカッコ良かった。
「今風」と言っても、もう20年も前になるわけですが、今見ても新しく感じるぐらいカッコいいアレンジなのです。
私が観ていた頃は、柴田恭兵さんが演じる高見兵吾が娘のみゆきちゃんに自分が父親であることを隠して接していたので、みゆきちゃんからは「兵吾くん」と呼ばれていたのに、最終章では「お父さん」と呼ばれていた事に驚きました。
どこかの段階で父親であることを告白した回があったのでしょうが、そんな貴重な回を見逃していたのかと思い、ネットで調べてみたら……まだみゆきちゃんを演じていたのが前田愛さんだった頃から既に父親だと告白していたことが分かりました。
つまり、私はそのエピソードを放送当時に観ていたわけで、単に忘れていただけだったというオチです…(トホホ)
みゆきちゃんの役が木内晶子さんに変わった頃も、まだ普通に観ていましたからね(というかこのドラマがきっかけで木内晶子さんのファンになったので)。
しかし、この時代(2004年)辺りまではギリギリまだこういった人情ものの刑事ドラマが作られていたんですねえ。
脚本や演出から人間らしさが感じられて、何か心が和むというか、温かいのです。
これでも初期に比べたらあっさりめな味付けにはなっているので、そこは時代に合わせて徐々に薄味気味に調整していたのかなと想像しました。
始まった頃なんて、高見兵吾が毎回泣きじゃくるコテコテの人情ものでしたからね。
しかし、この頃までは出ている役者さんもみんな魅力的でカッコいい。
髪型やファッションも古くさいどころか、むしろこの辺の時代の方が洗練されてるように見えます。
当時と今の違いで思うのは、前髪を上げている男性が多いことです。
女性も整形が少ないからか、それぞれに個性があって今より人間らしくて魅力が感じられます。
昔のドラマを見ていると、そういう所にも目がいってしまうんですよね。
キャストも魅力的で、風間トオルさん演じる西崎刑事は今見ても相変わらずカッコよすぎるし、平泉成さん演じる杉浦刑事は安心感を与えてくれ、志村東吾さん演じる工藤刑事も成長して存在感が増しているし、風吹ジュンさん演じる課長さんはいつ見ても本当にお綺麗だし。
でも・・・樹木希林さん演じる菊枝さんがいなくなっていたのが寂しかった。
菊枝さんが最後の回は観たかったなぁ。
あと、Wikiを見て驚いたのが、中山忍さんが3期と4期に出ていた事。
当時、普通に観ていたはずなのに完全に忘れてしまっています…。
そんなはみデカの再放送も、もうすぐ完結です。
当時は既にテレビを観ることは少なくなっていたのですが、そんな私でも観ていた数少ないドラマの1つがこのはみデカでした。
こういうドラマが作られていた事を考えると、何だかんだで辛うじてまだ良い時代にドラマを観る事ができていたんだなと思えてきます。