【劇場鑑賞】『コヴェナント 約束の救出』(ネタバレなし感想) | 後追い80's

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本日の20時に観に行く決断をして、20時30分の回で観てきました(笑)

 

公開前から良さげな映画だと思って注目していたら、公開後の評判も予想通り良かったので、99%ハズレ無しだと確信していましたが、結論から言うと全く想像していた通りの良作でした。

 

これは劇場で観た価値が十分感じられる内容でしたね。

 

 

まず舞台設定が2018年と、つい最近の話である事に驚きを感じてしまいます。

 

アフガニスタンでタリバンの武器や爆弾を捜索する部隊を率いるジョン・キンリー曹長が、任務の最中にタリバンからの襲撃を受けて瀕死の重傷を負った際、通訳として任務に同行していたアフガン人のアーメッドが動けなくなったジョンを運んで米軍基地まで100キロという距離を命懸けで送り届けます。

 

一命を取り留めたジョンはアメリカに帰国して日常生活に戻るが、自分を助けたことによってタリバンを怒らせたアーメッドが多額の賞金をかけられ狙われている事を知り、アーメッドを救い出すためにアフガニスタンに戻るという話です。

 

 

基本的にはジョンとアーメッドに芽生えた絆だとか恩義のようなものを描く内容ではあるのですが、変にお涙頂戴な演出は一切なく、淡々と進行するところが今の時代らしいと感じられました。

 

アーメッドは損得勘定抜きでジョンの命を救おうとする情に厚い男で、ジョンも命を救ってくれた男を見捨てることなどできない義理堅い男なので、2人とも熱い心の持ち主だとは思うんですが、そういった内面を表に出さない演出も現代風だなと。

 

互いに余計な言葉は一切交わさず、目で意思を伝え合う描写も含めて。

 

ジョンを演じたジェイク・ギレンホールと、アーメッドを演じたダール・サリムという役者さんの抑えた演技が素晴らしくて引き込まれました。

 

観に行く前は絶対泣いてしまいそうだと思っていましたが、実際には感極まることもなく、感動が深々と染み渡ってくるようなタイプの内容でした。

 

 

銃撃戦の迫力も期待通りで、劇場ならではの銃声の迫力とリアル感が堪能できました。

 

最近ミリタリー系のFPSばかりプレイしているせいか、「こういう場所はゲームに出てきそうだな」とか「この音楽はスナイパーゴーストウォリアー3の世界観っぽいな」とか「赤いドラム缶を見ると無性に撃って爆発させたくなる」など、ゲーム脳になっているせいで余計なことばかり頭に過ぎってしまう始末(笑)

 

 

これまた最近の傾向なのですが、日に日に軍用車両が好きになりつつあるので、大きなスクリーンでそれを拝めた事に目が喜びましたね。

 

 

本作はガイ・リッチーが監督なのですが、音楽の使い方や独特のリズム感にガイ・リッチーらしさが感じられました。

 

特にあのリズミカルな音楽は『キング・アーサー』を彷彿させるものがあり、音楽を手掛けた人が本作と同じなのか調べてみたら違っていたので、やはりあれはガイ・リッチーの作家性によるものであろうと想像します。

 

 

内容について少しだけ触れさせてもらうと、現地のアフガン人が命の危険を顧みず通訳の仕事をする理由が「アメリカへの移住ビザを取得する為」だと知ることができたのですが、一命を取り留めたジョンが帰国して日常に戻った後、アーメッドのアメリカ渡航のビザを申請しようと問い合わせるも、まともに取り合ってもらえず、協力者に対する約束を反故にするアメリカのいい加減さには苛立ちを覚えました。

 

でも、このようにアメリカという国の杜撰さまでちゃんと描いているところは良かったと思いますし、そこはイギリス人の視点によるものなんでしょうか。

 

 

ちなみに、私が観に行った劇場は自分を含めて観客は3人。

 

予想はしていましたが、やはり洋画は客が入っていない。

 

先日観に行ったガンダムSEEDの劇場版はたくさん入っていたのに。

 

昨今の傾向を見るに、この国はアニメかアニメっぽい実写しかウケなくなっている気がします。

 

ハリウッドの凋落が招いた自業自得とはいえ、洋画を観ることなくアニメばかり観にいく中高年というのも如何なものかと考え込んでしまいます。

 

本当にこの国は大丈夫なのか?

 

今回も本編が始まる前にいくつかのアニメや邦画の予告編が流れたのですが、こういうのを作る側も観る側もどこか壊れてしまってるとしか思えないような内容で、やはり異様な時代だと感じずにはいられません。

 

でも、最近は世界中がヒーロー映画疲れしてきてくれたおかげで、今回のような大人向け映画もポツポツ増えつつあるように感じるので、そこには少しだけ期待を持つようになってきています。

 

大人向け映画が(シネコンから)消えて、軽く10年以上は経ちますからねえ…。

 

さすがに、もうそろそろ正気に戻っても良い時期なんじゃないかと思うのですが。

 

そんな事を考えながら家路につきました。

 

やはり良質な映画を観ると幸福感で満たされます。

 

これはアニメ映画からは得ることが出来ない充実感です。

 

だからこそハリウッドには頑張ってもらわないと困るんですよね。

 

 

最近はまた映画に対する熱意が復活してきたので、今後も観たい作品さえあれば積極的に観に行きたいと思っています。

 

昨年までは、今後劇場に足を運ぶことなんて二度と無いような気すらしていたので、またこのような気持ちになれた事が本当に嬉しいのです。

 

子供騙しではなく、質の高いエンタメさえ提供してくれれば、それに対価を払う気持ちはあるんです。

 

本作を観に行く前に少しだけユーザーレビューをチェックしたら、「今これを観に行かずして何を観るというのか」といったコメントを目にしましたが、まさにそう感じるような映画体験でした。