【80年代洋画】レモ/第1の挑戦(1985) | 後追い80's

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かなり昔・・・レンタルビデオで一度観ただけの気がするので、スパイ映画なのに拳法の修行をする地味な映画という印象が僅かに残っているだけで、内容はほとんど覚えておらず。

 

でも、何故か字幕版と吹き替え版の両方ともBDに録画して持っていたりする。

 

と言っても、一応録画しておいただけで観るのは今回が初めてなのだけど(笑)

 

 

重い腰を上げてようやく観ようと思ったきっかけは、シネモアというサイトで『ネメシス』の記事を読んだ際に、たまたま本作の記事が目に入ったから。

 

この記事を読んでみたら、監督がガイ・ハミルトン(007シリーズを4本監督)、同じく『007/私を愛したスパイ』と『007/ムーンレイカー』の脚本を手掛けたクリストファー・ウッドが脚本という事もあって、007ファンとしては改めて観ておくべき必要性を感じたわけです(笑)

 

 

そんなわけで、今回はBSテレ東で2021年に放送された吹き替え版を鑑賞。

 

番組説明に「007+ベスト・キッド!」とあったので、まさに私の為の映画じゃないか!と思ったものの、以前観た時の冴えない印象が残っていたので、あまり期待せずに観てみた。

 

まず驚いたのが、主人公がオッサンだった事(笑)

 

私の記憶ではそこそこ若い男性だったような気がしていたので、ここは完全に記憶違いだった。

 

主役のレモ・ウィリアムズを演じるのはフレッド・ウォード。

 

顔は見覚えあるけど、何に出てた人だったのか思い出せなかったのでフィルモグラフィを調べてみたら、『地獄の7人』と『トレマーズ』に出てる俳優さんだった(2022年に亡くなっていたことをたった今知る)。

 

 

冒頭、警官がパトカーの中でハンバーガーを食べながらラジオでNBAの中継を聞いているシーンに時代を感じてしまった。

 

パトカーでハンバーガーやドーナツを食べるシーンやNBAの実況を聞いているシーンは洋画でよく見るけど、今ではもうスマホがあるのでラジオで聞く必要なんて無くなったのだろう。

 

でも、こうやってラジオで聞いている方が味があって好きなのだ。

 

そして、昔からパトカーで食べるハンバーガーやドーナツを見せられると、触発されて無性に食べたくなってしまうのは私だけだろうか(笑)

 

 

その警官が不審な輩を見かけたので尋問しようとしたところ、3対1の殴り合いになって、何とか3人のゴロツキどもをしばき倒したものの、結構なダメージを食らったのでパトカーに戻って無線で連絡する前にコーヒーを1杯飲んでいたら(コーヒーなんて飲んでないでさっさと連絡せんかー!と心の中でツッコミましたがw)、何者かによってパトカーごと海に突き落とされてしまう。

 

意識を取り戻すと、顔は整形され、名前と指紋まで変えられており、秘密機関《CURE》の特殊工作員として仕事をしろと言われる。

 

(この警官が……)

 

(目覚めるとこのような顔に)

 

この設定だけ見ると『ナイトライダー』と似ているものの、ナイトライダーの場合は刑事が職務中に顔を撃たれて瀕死の重症を負ったことによって、整形して名前も変えて…という流れだったので納得もできるが、本作では主人公を組織に入れる為に罠にかけた挙げ句、あろうことかトラックで海に突き落とすという卑劣極まりないやり方だったので、これではどっちが悪の組織なのか分からなくなってしまう(笑)

 

妻子がいないからという理由だけで選ばれた主人公の警官に同情してしまった。

 

組織のボスが任務の説明をする際、「標的を抹殺する」といった言葉を使わず「社会の不純物を取り除く」という言い方をしたのが気に入った。

 

今度から私もFPS系のゲームをプレイする際などに使わせてもらおうかな(笑)

 

 

レモは「シナンジュ」と呼ばれる韓国の拳法を使うチュンという名の爺さんの弟子入りをする事となる。

 

(↓このすっとぼけた顔した爺さんがチュン師匠。何とも言えない滑稽さと不気味さを感じていたのだが、実は特殊メイクだったことを観終わった後に知った)

 

このシナンジュが、どうもジョジョの波紋の元ネタに思えてしまうのは私だけだろうか。

 

本作が日本で公開されたのが86年の6月で、ジョジョの連載開始が87年なので、時期的に考えても荒木飛呂彦さんが本作を観て触発されたと考えても何ら不思議ではないし。

 

本作でもシナンジュを会得する為にまずは呼吸法の修行から始めていたし、チュン師匠が水の上を走っていた事からも、やはり波紋の元ネタとしか思えない。

 

 

このシナンジュを駆使して「社会の不純物を取り除く」事がレモの任務となるわけだが、本作の大半は修行のシーンとなっている。

(シナンジュの修行は文字通り命懸けです)

 

 

肝心のアクションシーンはかなりショボい。

 

そら興行的にもコケるわと納得してしまうほど見せ場らしい見せ場もなく、とにかく地味でヌルい。

 

でも、どういうわけかそのヌルさが心地良くて、観ている最中、何故かご機嫌なテンションだった事からも、この映画には言語化できない不思議な魅力があるような気がした。

 

 

シナンジュには銃弾を避ける技もあるのだが、これは『マトリックス』を彷彿させた。

 

恐らくエージェント・スミスが見せたあの銃弾避けも、元ネタは本作なのではなかろうか。

 

全般的にユーモアが多めの作風となっていたのも好みだった。

 

ファーストフード(ファストフードではなくあえて当時の呼び方で)を好むレモに対して、「なぜファーストフードというか知ってるか?墓に入るのが確実に早くなるからだ!」と茶目っ気たっぷりにチュン師匠が笑い飛ばすシーンとか、ほんと好きだし。

 

昔見た時は古くさくて、ろくに見せ場もない駄作だと感じたけど、何故か印象は悪くなくて、妙に爽やかな余韻が残った事だけ薄っすら覚えていた。

 

今回改めて観ても、何か観た後に気持ちが明るくなるというか、80年代洋画らしい清々しい余韻を残してくれる良作だと感じられた。

 

ちなみに、レモが悪党からガス室に閉じ込められる危機一髪のシーンがあるのだが、他では見られないユニークな脱出の仕方だったのが印象的だった(あれはあの悪党がマヌケとしか言いようがないけどw)。

 

満足度は・・・79点

 

 

 

本作は興行的な失敗によって第2の挑戦を見ることなく終わってしまったが……

 

 

こちらの記事にあるように、私も第2の挑戦が観たい気持ちがあるので、何らかの形で実現する事を期待したい。

 

出来れば配信ドラマじゃなくて映画が良いんだけど、それは難しいんだろうなぁ。

 

原作の『デストロイヤー』という小説は100冊以上出版されているようなので、元ネタには事欠かないだろうし、むしろこういう作品こそリブートしてシリーズ化すればいいのに…と思ってしまう。