10月17日19時 サントリーホール

指揮:出口大地
ヴァイオリン:服部百音*

ハチャトゥリアン/『ヴァレンシアの寡婦』組曲より
ファジル・サイ/ヴァイオリン協奏曲『ハーレムの千一夜』*
アンコール
パガニーニ:ヴェニスの謝肉祭
コダーイ/ガランタ舞曲
コダーイ/ハンガリー民謡『孔雀は飛んだ』による変奏曲

出口は一昨年、ハチャトゥリアン国際コンクール優勝を引っ提げて東フィルの定期に全曲ハチャトゥリアンのプログラムで登場、なかなかの演奏だったと記憶している
その後も複数の国内オケを振っており、若手の中で人気だが、どうもタイミングが合わず、聴きに行けておらず、今日が2回目

さて、今日のプログラムも、なかなか個性的なラインナップで、そのせいかサントリーホールは若干空席が目立った
最初に演奏されたのが、初めて聴くヴァレンシアの寡婦組曲より3曲、全く予習しないで聴いたのだが、分かりやすい曲調で愉しく聴けた、
オケは14型、コンマスは三浦さん

次は、これも初めて聴くファジル・サイのVn協、ソリストの服部百音さんは活躍が目覚ましい若手だが、個人的には音が弱々しい印象が強く、ここ2年くらい演奏は聴いていなかった
久しぶに見る百音さんは、人魚のように煌びやかな衣装で、前に見た時は少女の面影が有ったのだが、化粧のせいも有ってか大人の女性の風格が出ていた、
指揮台の右側にはトルコの民族楽器と思われる太鼓が配置され、この太鼓のリズムで曲は開始された、そのリズムに乗って百音さんがオリエンタルなメロディーを奏でた
百音さんの演奏は見た目の印象と相俟った妖艶な雰囲気さえ漂わせる美演、以前抱いた音が弱々しい印象は全く払拭された
演奏後にファジル・サイが登場かと思ったが、どうやら来ていなかったようだ、アンコールは東フィルの弦セクションと共演

後半は16型に増強してコダーイ、まずガランタ舞曲
出口さんの指揮は動きが明確で指示も的確、そして東フィルの管楽器はやはり上手い
続く、孔雀変奏曲も同様の感想、でも東フィルの演奏はお仕事的というか、感情移入が感じられない、
そして、ハンガリー民謡なのにハンガリー的な感じがしない、まあハンガリー的とは何かは問われても、きちんとした答えを用意しているわけではないのだが

まあ、それでも珍しい曲が効けたし、百音さんを再発見できたので、有意義なコンサートではあった
だが、直前に発表になった来シーズンのラインナップには強烈な違和感を感じざるを得なかったのである、正気か東フィル

10月21日14時 ミューザ川崎

指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ
ピアノ:デヤン・ラツィック

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 op.18
アンコール
ショスタコーヴィチ:3つの幻想的舞曲より 2.Andantino
ショスタコーヴィチ:交響曲 第6番 ロ短調 op.54

今年もウルバンスキが来た、今日は完売ではないが9割方は埋まっているように見える
オケはコンチェルトだけど14型でCbが7台と大編成、コンマスは小林さん

最初のラフマニノフのソリストのラツィックは初めて聴くが、これが実に個性的な演奏だった、
音の強弱のレンジが広く、速度も変化に富み、特に遅いパートにはゲネラルパウゼが挿入された、劇的な演奏だった
ウルバンスキーも単なる伴奏でなく、目立った伴奏だった、この曲で全楽章がアタッカで通されれた演奏は初めて聴いた
このような演奏スタイルに至った主犯は間違いなくラツィックだろうが、ウルバンスキも立派な共犯者だろう
聴衆からは最大級の拍手がおくられた

後半のショスタコーヴィチ6番は久々に聴く。弦セクションは増やすかなと予想していたが、前半と同じ仕様だった
ウルバンスキは期待に違わぬ快演を披露、何時もながらの的確な指示であった
しかし、快演の立役者は東響の木管楽器奏者であろう、本日のMVPはピッコロ、次点は葉加瀬太郎の影武者さん
ショスタコーヴィチにも聴衆からは大きな拍手、私は途中で席を立ったがソロカーテンコールもあった模様

10月10日19時 サントリーホール

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
クラリネット:伊藤 圭(N響首席クラリネット奏者)

シベリウス/交響詩「4つの伝説」作品22─「トゥオネラの白鳥」
ニルセン/クラリネット協奏曲 作品57
アンコール
ニルセン:木管五重奏曲 作品43 より 第2楽章「メヌエット」
ベルワルド/交響曲 第4番 変ホ長調「ナイーヴ」

昨年の来日がキャンセルになったときは、誰もが「もう来日は無理」と思ったことだろう
その時の本人からのメッセージ「来年も来日の予定が決まっており楽しみにしている」は社交辞令に過ぎないと思われた
しかし、ここ数か月ヨーロッパでの旺盛な活動が伝えられ、Eテレのクラシック音楽館で元気そうな映像が流れると、絶対無理という考えにも、ひょっとしたらという期待が混ざってきた
そして、ついに来日が現実のものになった

ステージに楽団員が登場しパラパラと拍手が起こる、最後に登場と思いきや、他の団員に混じって郷古さんに肩を借りてブロムシュテット登場で一挙に拍手が盛り上がる、
マエストロは拍手に応えた後、ゆっくりと指揮台に向かい椅子に腰を下ろす

最初はトゥオネラの白鳥、数十年前にカラヤンでシベリウスを聴き始めたころ、レコードの余白を埋めていたのが、トゥオネラの白鳥と悲しきワルツのコンビだった
最近のコンサートでは、こうした小品を聴く機会が減っているので、嬉しい選曲ではあるが、マエストロは映えない
オケは14型、ゆったりとした演奏が終わり、マエストロはコールアングレに始まり、管楽器、ハープ奏者、辻󠄀本さん、郷古さんを称賛した

マエストロが着座したまま、クラリネット協奏曲用にステージが整備され、伊藤圭さん入場、
リハーサルの模様を伝えるTwitterではなかなかの難曲と言われているのだが、予習しなかった私も悪いのだが、全く退屈な曲だった、
P席では曲の途中で退出者が出る始末、アンコールでは、このクラリネット協奏曲作曲の動機になった木管五重奏曲の一部が演奏されたが、これもピンと来なかった

後半はベルワルドの4番、これが実に活気に満ちた演奏、ブロムシュテットの指揮に緩慢なところは全く見られず溌溂と指揮ぶりが確認できた
オケは14型対向、2楽章3楽章はアタッカで、4楽章のクライマックスではマエストロの腕は時より肩より上がっていた
譜面台には楽譜が置かれていたがマエストロによってめくられることは無かった

大きな拍手に応じた後、マエストロは郷古さんに支えれれて退場、オケも早めにステージをはけた
マエストロを案じる多くの聴衆は、過剰なカーテンコールを自粛していたが、それでも拍手はr続いたので、ブロムシュテットは郷古さんと舞台袖に顔を見せた