7月29日19時 サントリーホール

指揮:ダン・エッティンガー(桂冠指揮者)
ピアノ:阪田知樹*

モーツァルト/ピアノ協奏曲第20番*
アンコール
ドビュッシー/前奏曲集第1巻より第8曲「亜麻色の髪の乙女」
ブルックナー/交響曲第4番『ロマンティック』(ノヴァーク版第2稿)

東フィルの常任指揮者を務めていたエッティンガーの久々の登場、何と私はエッティンガーは初めましてだ
ここ10年くらいはできるだけ色々なオケを聴くようにしているが、以前は読響と東フィルのコンサートには滅多に行かなかったからだ
前半がモーツァルトのPf協で、後半がブルックナーというのは良くあるプログラムで、新鮮味の無いプログラムだが、エッティンガーはどんな演奏を聴かせてくれるのだろうかすこしたのしみだった

最初のモーツァルトのソリストは阪田さん、ここ2、3年の彼の演奏活動は活発を通り越し、超人の域に達している、
確かな技術力で、多彩なレパートリーを難なく弾きこなしてしまう、でも俗な表現になるが演奏に深みが無いように思われて仕舞う
今日のモーツァルトも、それなりにしっとりとした演奏だったが、特に記憶に残るものではなく、むしろ、メリハリの利いたエッティンガーの伴奏が印象深かった
そう思って彼のWikipedia を見たが、何とも独特な経歴だ、反田さんもそうだが、一介のピアニストに収まる玉ではない、ガンバレ

後半のブルックナーは、14型、14, 12, 10, 8, 7、ホルン5、トランペット4
凄い演奏だった、ブルックナーの記した音符が分解能高く、非常にゆったりとしたテンポで演奏された、
ホルンの出来が良く、他の管楽器も優秀で、私にとっては発見の多い演奏だった
エッティンガーの指揮は的確で、彼の所作から演奏意図が伝わった
良い指揮者だと思うのでエッティンガーには又聴きたいです
終演後に指揮棒が振り下ろされるまで、フラ拍が無いのは良かったが、時間を気にしてか無言で多くの聴衆が席を立った、

7月27日15時 

指揮:ジョナサン・ノット(東京交響楽団 音楽監督)

チャイコフスキー:交響曲第2番 ハ短調 op.17『ウクライナ(小ロシア)』[1872年初稿版]
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op. 74『悲愴』

前回のチャイコフスキー3番、4番に続き、今回は、2,6
ノット監督の任期は、公式発表にも有ったが来年限り、
とういうことは、来年のオープニングコンサートの演目は、1, 5か、

プーチンのウクライナ侵攻以降、言い方には気を付けているが、
交響曲2番が小ロシアと呼ばれれ、別称ウクライナと、堂々と表題記載する解説はどうかなと思う

本日のコンマスは景山昌太郎、聞きなれない名だったが、主に海外でキャリアを積み、2013年より、ハーゲン歌劇場オーケストラのコンサートマスターを務めているという
ということは、水谷さんが抜けた後の、新コンマス候補ということだろう

さて今回のプログラムでも昨年と同様に、ノット監督は、従来のチャイコフスキー演奏の問題点
「これまで耳にしてきたチャイコフスキーの交響曲演奏のほとんどは、粗暴にすぎて、優美さや詩情が存分には無い」
の解決に向け、これまで経験したことの無い感動を創り出すことを、メッセージで述べていた

さて、一曲目の2番だが、私は初稿版が存在することを今日の今日まで知らなかった、不明を恥じるべきなのだろうが、普通は知らないですよね
今回は、ノット監督の表現に由ればクレイジーな初稿版が採用されたという
聴いてびっくり、1楽章から結構違う楽想が含まれていて、4楽章もなかなか終わらない
チャイコフスキーは諄いとか、冗長だとか言われることが多々あるが、その意味で初稿版は外連味たっぷり、好事家には堪らない演奏だった

後半の悲愴、少なくとも粗暴ではなかったが、適度にダイナミックで、優美さは抑え気味、そして、詩性は感じられなかった
それでも、少し前に読響で聴いた悲愴よりは格段に面白い演奏だった
管楽器は何カ所か残念なところが有ったが、フルート、クラは流石だった、

聴衆は、フェスタサマーミューザということでなのか、いつもより騒々しい人が多く閉口したが
演奏後には大きな拍手がおくられていた
それにしても、ノットの悲愴、この1回だけというのは惜しい

7月24日19時 東文

指揮/アラン・ギルバート
コントラバス/池松 宏(都響首席奏者)

マグヌス・リンドベルイ:EXPO(2009)    
エドゥアルド・トゥビン:コントラバス協奏曲 ETW22(1948)    
アンコール
アメイジング・グレイス
リムスキー=コルサコフ:交響組曲《シェヘラザード》 op.35(ヴァイオリン独奏/矢部達哉)

都響は会員でないので、聴きたい公演のチケットを都度購入している
フルシャ、ギルバートと良い指揮者が続き、プログラムもなかなか興味深いものだったが、必ず聴きたいほどでもなかった
また、都響は平日昼の公演が多く、他の予定と重なって行けない場合が多々ある
そういうわけで、今月のギルバートの2プロのうち、今夜のプロだけ聴くことにした

久々の東文、客席はプログラムの割にはなかなかの入りだ、8割以上は入っているのではないか
最初の曲はアランがNYPに赴任した際の委嘱作品、聴きやすい曲だが、ああそうですかという感じ

その次のトゥビンが聴きたかった曲、実はトゥビンはBISでネーメ・ヤルヴィの交響曲を集めており、好みなのだがなかなか実演で聴けない、数年前、N響にネーメが客演したとき、交響曲5番を聴いたくらい、
それにネーメのBIS録音にはバラライカ協やピアノ協は入っていたが、CB協は含まれていなかった
さて、肝心の演奏だが、特に後半が大変な熱演で、池松さん自身の解説を読んだうえで面白く聴けた
しかし予習をさぼったせいか、音楽的にはあまり理解できなかった、時間があるときに意地悪をしたクーセヴィツキーのCB協と聴き比べてみたい
演奏後、CB奏者陣が数名が還暦の装いを池松さんにプレゼントし、アンコールは赤いちゃんちゃんこを羽織り、吉野直子さんとの共演となった

休憩後のシェヘラザード、これは曲良し、矢部さん良しなので、何の問題も無いのだが
最初の方の、FgとObソロが、かなりテンポを揺らしながら非常に表情豊かに演奏していたのが、印象的だった、これはアランの意図なのだろうか