指揮:ファビオ・ルイージ
ピアノ:エリック・ルー(第19回ショパン国際ピアノコンクール優勝者)

ショパン/ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 作品21
アンコール
バッハ/ゴールドベルク変奏曲よりアリア
ニルセン/交響曲 第4番 作品29 「不滅」

N響の第九は聴きにいかないので、個人的には今年最後のN響
公園通りからNHKホールへの道は、すっかり定着した青の洞窟、今年は雪だるまが新たに出現していた

今年のショパンコンクールは、前回に引き続き、ダンタイソン門下のエリック・ルーが制した
そして、注目されたのはファイナルで2番を弾いたこと、2番を弾いた覇者はダンタイソン以来2人目という
そして、本日演奏されるのもその2番だ
ステージに現れたルーは長身痩躯、何となく幼いイメージだ
オケは14型、コンマスは川崎さん、
ルイージのタクトで早めのテンポで曲は開始したが、程なく客席がはっきりと揺れた、
どうするか見ているとルイージは何事もなかったかのように演奏を進め、客席がざわめくこともなかった

さて肝心のルーの演奏だが、独特の間合いので、何とも捉えどころのないというのが正直な印象
地震で、私の心が揺れていた影響もあったかもしれない
アンコールはショパンの何だろうと思っていたら、いきなりバッハだった、

後半のニールセンは。N響では退任前のパーヴォが不滅を振ってたし、ブロムシュテットも得意としており、聴く機会が多い
ルイージも昨年2番を取り上げ、来シーズンに6番を取り上げる予定になっている
ニールセンに限らず一部の楽曲の演奏頻度が高すぎるように思われるのだ、もう少し色々な作品が聴きたい

さて、会場に来るまでは今日は植松、久保の共演がみられると思っていたのだが、
前半のティンパニは若手の奏者、そして後半登場したもう一人のティンパニも若手で、鮮烈な叩き合いが披露された
N響は現在ティンパニの首席を募集しているので、2人のうちどちらかが入団するのだろう
演奏のほうは、いかにもルイージらしいきびきびとしたもので、16型のオケも見事に応じていたが、今日は自身のせいか今一つ気分が乗らなかった

 

12月11日19時 みなとみらい小ホール

指揮:濱田芳通(リコーダー、コルネット、ドゥセーヌ)

アントネッロ:ヴォーカル鈴木美登里・中川詩歩・中山美紀・中嶋俊晴・
       新田壮人・彌勒忠史・田尻健・清水健太郎・谷本喜基(オルガネット)
       フィーデル天野寿彦、レベック&サンフォニー武澤秀平、
       ショーム長谷川太郎、スライドトランペット南紘平、
       ハープ&オルガネット伊藤美恵、
       リュート高本一郎、オルガネット上羽剛史、
       パーカッション立岩潤三

曲目:中世ブラヌス写本より
   《正義と不正とが》 Fas et nefas
   《酒場にいる時には/ エピキュロスは高らかに叫ぶ》
    In taberna quando sumus / Alte clamat Epicurus
   《良いことだ 主の中の主に身を寄せることは》
    Bonum est confidere
   《くださいな、小間物やさん》 Michi confer, venditor
    結婚は望まない / 王宮のエスタンピー第4番
    Non veul mari / La quarte estampie royal  [器楽]
   《悪意が向けられても》 Procurans odium
   《このようにわが身の不幸を》 Sic mea fata
   《今は歓びの時》 Tempus est iocundum
   《ある日のこと / 夏の季節が / 花よりも美しい》
    L'autrier joer / Quant revient et feulle / Plus belle
   《ばくち打ちたちのミサ》 Officium Lusorum
   《時は冬》 Hiemali tempore
    無題のエスタンピー Douce 139 Estampie  [器楽]
   《私はとてもきれいな娘でした》Ich was ein chint so wolgetan
   《やさしい大地》Dulce solum
   《バッカスよ ようこそ》 Bacche, bene venies

カルミナ・ブラーナについては、中世の歌曲集で、それらをもとにカール・オルフが作った同名の曲が、今日多く演奏されているといった程度の知識しかない
しかし、濱田芳通&アントネッロが、最近発見されたカルミナ・ブラーナを演奏するというのであれば聴きに行くしかない
ついでに、みなとみらいの小ホールも今日が初めて

楽団は小編成でしたが、ヴァイオリンの祖先のフィーデル、レベック、サンフォニー
オーボエの祖先っぽいショーム、小型のトロンボーンのようなスライドトランペットなど、珍しい楽器大集合
濱田さんもリコーダ以外の笛も吹いていました
ステージ左右にの字幕はありがたい

最初はカウンターテナーの二重唱に始まり、続く2曲目はヴォーカル全員で歌唱、濱田さんの所作を見て、拍手です
次は、いきなり男女の歌手がステーで夫婦漫才を展開してから曲に移行、
その語も3人修道女のなど、ヴォーカル陣の演技の達者なこと

後半も、ヴォーカル男性陣の体を張った演技に加え、聴衆にご一緒の歌唱を求めるなど、ありえないステージが展開されましたが
それもこれも、中世の人々がどのような時に歌っていたのか、再現は困難だけれども、その状況など想像力が搔き立てられました

 

12月4日19時  サントリーホール

指揮:ファビオ・ルイージ
ピアノ:トム・ボロー
オルガン:近藤岳

藤倉大:管弦楽のためのオーシャン・ブレイカー(2025)[NHK交響楽団委嘱作品/世界初演]
フランク:交響的変奏曲
アンコール
J. S. バッハ(ラフマニノフ編):無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006(ピアノ版)-「ガヴォット」
サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 Op. 78 「オルガンつき」 

名曲プログラムが多いルイージのBプロだが、
今日の一曲目は、藤倉さんのN響委嘱作品
オケは16型、コンマスは川崎さん
全体的に静かな雰囲気の15分くらいの作品、演奏後には作曲者もステージに登場
雲をイメージした作品だそうだが、正直ピンと来なかった

2曲目は14型で、ピアノのトム・ボローは25歳の新鋭、初めましてだ、
しかし、フランクのこの晩年の作品は果たして彼の希望だったのだろうか
演奏は無難にこなしていたが、アンコールの演奏のほうがキラキラしてた

休憩時間、眠気覚ましにコーヒーを頼むが、500円玉を置くと「今月から600円に」とのこと
後半は16型に戻ってオルガン、ルイージの指揮なら間違いないだろう
そういえば、前回N響で聴いたオルガンはネーメ指揮、その時オルガンを弾いていた鈴木さんはネーメの指示でステージまで降りてきていたことなどが思い出された
いい感じに盛り上がって終演を迎えたが、しつこく拍手をする一団がおり、ルイージも仕方なく顔を出していた