星組DC『Le Rouge et le Noir~赤と黒』観劇感想③ | ★F**kin' Perfect★

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徒然なるままに、つらつらと。。。

の続き右矢印

 

演出、セットについて。最初何故にDCで?と思っていた今作品。

この小ささこそが『赤と黒』の世界観を表現するのにピッタリだったわけで。

元々入りがジェロニモが舞台に誘う風でしたが、小さなおもちゃ箱を覗いているかのような、

サイドや上も舞台を立体的に効果的に使用していて、どの空間も意味にあるものになってて。

舞台に余白を持たせて観客に考えさせるものがありますが、それとは真逆の

余白のない書き込みがされているって感じでしょうか。それも小劇場ならではですね。

 

映像の使い方も凝っています。公演始めの幕もやたら豪華に見えたり(笑)

冒頭でジェロニモが幕を開けたときに、まるでジュリアン自身の炎のように

幕を焼き尽くす演出で一気にこの世界観に引き込まれました。

 

他にも幕に投射してシルエットで表現したり(ジュリアンとルイーズのシーンは逆に

普通にやられるより官能的に思えました)奥の映像も凝ったものが多かったです。

見えにくいのですがジェロニモステッキに合わせてコロコロかわったりw

 

一番言及しなければいけないのはオンブル(コロス)の存在でしょう。

宝塚でよくある、キャストの心情を踊りで表現するのはもちろんのこと、

ある時は『赤と黒』のその他登場人物になったり、影(シルエット)として演じたり、

ある時は一観客になって野次馬してたり。他にも、セットを移動させたり

ライティングまでこなすという。何気、一番忙しかったのはオンブル達じゃないでしょうか?

 

その中でも特殊なオンブルがノワールとルージュだったわけですが。

最初は『ロミジュリ』の愛と死みたいに相対する感情とかを表現してるのかなと

思っていたのですが(闇と光みたいに)2幕冒頭で遊んでいる二人をみると

どうやらそんな感じでもなく。二人がどういった意味を持って何を表現しているか、

もう一回見て確かめたかった・・・あえて言うなら野心と欲望といったところか。

 

印象に残った演出は、一幕ラストのジュリアンの熱唱に合わせて大量のバラが

降り注ぐところ。『ロクモ』でも同じようなラストだった気もしますが(笑)

礼君とくらっちの歌声とも相まって、衝撃で幕が閉じてもしばらく身動きできませんでした。

 

それと十字架。敬虔なクリスチャンであるルイーズを象徴するセットですが、

ジュリアンがルイーズを打った時にその横板が外れて斜めになり、

そのままジュリアンの首を落とすギロチンの刃を表現するとは叫び

本当に細かいギミックが若谷先生らしさ全開って感じですね。

 

 

音楽、衣装について。最初予習のために最初にざっくり原曲を聞いたときは、、、

実はあまりいいなと思う曲がありませんでした汗それが何度も聞いてると

不思議と頭にこびりついてくるというか(フレンチμあるあるですね)

 

いざ舞台で聞くと。星組が誇る歌うま勢ばかりで殴りこまれたのも相まって、

どの曲も引き込まれすぎてずっと頭から離れません。歌の力はもちろんのこと、

歌い手の力が本当に大きいでしょうね。。。まるでジュリアンが歌う

爆音ラテン語歌を聞いて衝撃を受けたあの場にいた人たちのように。

 

今回主要キャストそれぞれにきちんと歌のソロ(デュエット)があったのも良かった。

娘役さんの歌が多いのも外部公演あるあるですね!

何気にヴァルモ夫妻の歌が好き(笑)しかも実はかなりの難曲!あれをすんなり

歌いこなせるヒーローとほのかちゃん凄いわ~まぁどれも難曲なんですが。

 

衣装は赤、黒、白、そして黒と白の合間のグレーをオンブル達が身に着けてます。

礼君、また衣装にファスナーつけてとも思いましたが(笑)2幕の衣装が何であんなに

ボロボロなの?と思っていたら、1幕でルイーズとの恋に身も心も

燃やしつくされたからだったのね。秘書の服としてはどうよとも思いましたがあせる

元々舞台全体が抽象的な印象なので、これはこれでありかなと。

 

上記でノワールとルージュが「野心と欲望(情熱)」と述べましたが、登場人物の衣装も

それに合わせているのかなと思ったり。とくに赤い衣装の人たち、

ルイーズのガウンやエリザの前の部分はひそかに抱えている欲情、

マチルドは退屈な心を満たしたい欲(なのでジュリアンに会ってからは赤は

身にまとっていませんね)ヴァルノ夫妻はもう自己主張が身に着けて歩いてる(笑)

 

今回バラもキーとなってますが(舞台セット、ルイーズがジュリアンに渡した髪飾り、

1幕ラストに降り注ぐ花びら)衣装もそれぞれバラをあしらっていますね。

本当に次回殿堂で間近で見られるのが楽しみですラブラブ

 

 

フィナーレについて。ジェロニモが冒頭と同じ曲でメインの出演者全員で

『赤と黒』の幕を閉めます(実はこの構図や歌はフランス版と同じ)

この時、男性陣女性陣それぞれ出てくるのですが(女性陣の出てきかたが

ほのかちゃんが一番のメインかって感じでちょっとおもしろかったw)

やっぱりあまりに歌が皆うますぎてゾクゾクする。

(そしてユニゾンの時は声のあまりの大きさに人数を思わず数えるw)

 

ジュリアンを囲んで踊るルイーズとマチルド。今回踊るシーンがなかったので

(あり君は1か所オンブル達と爆踊りするシーンがありましたが。

ちょっと思うに、あそこジェロニモが踊る必要性はなかったですよね(笑)

若谷先生があり君に踊らせるシーン入れたかったのかな?)

フィナーレでは水を得た魚って感じですが、如何せん衣装が踊りにくそう汗

そこでもルイーズとマチルドの対比が面白かった。(決してくらっちが

踊りが得意ではないからあの振りということじゃないとは思うw)

 

カテコではカテコ用のナンバーで(これもフレンチ版と一緒)

全体的に重苦しい感じだったのが一変、ジュリアン始めにっこにこで

(というか、もはやふざけあいながらにやり楽しそうでなにより)

出てくるのを見ると、ようやくこちらも『赤と黒』の世界から解放された気に。

 

 

本当に何度咀嚼しても凄いものを観たなと、余韻にいまだに浸っております。

出来るならもう一度みたかった。。。多くのファンに観てほしいけれど、

客席数も公演日数も少ないのが本当に残念。星全ツも星バウも

素晴らしいパフォーマンスを見せてくれてて、今度これが一つにまとまって

『1789』だなんて、、、、本当にチケットが心配すぎて吐きそう(笑)

6月に星組生に会える日を心待ちにしております!

 

最後に、、、これで退団のあかし君。オンブル役だったのでセリフも

ちょこっとしかなかったですが(そもそもセリフがあるオンブルがあかし君と

夕陽君ぐらいでしたが)あちこちで登場してくれてて得意げ

楽の日まで、輝き続けられますよう。素敵な笑顔をありがとう音譜