十二国記 | ★F**kin' Perfect★

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徒然なるままに、つらつらと。。。

もうずっとずっと、それこそ文字通り何年も待ちわびていました。続きが出るのを。

物語のはじめは1991年前回の本編が出たのが2001年。実に18年も待たされてきたわけで。

(その間直後に物語の補完的な短編集、2013年に世界観を補完する

短編集がでましたが←世界観をってのがミソ)

 

初版から読んでいたわけじゃないですが、それでも15年以上は待っていたはず。

これだけずっと続きを待っていた本は他になかった気がします。

(ガラスの仮面は途中であきらめてしまいましたからねあせる黒電話からスマホは凄すぎる)

 

ご存じない方が多いと思うので簡単に説明すると。

(というかご存じの方がいるかどうか・・・少なくともアメンバー様一人は知っているw)

 

物語の初めは一人の少女が異世界に流されてしまった~という、

最近では流行の物語のはしりなのですが。この異世界の作りこみが凄い!

古代中国を手本に、軍や政治体系、神話、文化や生活までしっかり作られています。

異世界の雰囲気としたら『BASARA』やヅカファン的に言ったら『サンファン』みたいな感じか?

(個人的にはそれよりもっと現実的で非情ですが)

 

魔法は出てきませんが魔物(のようなもの)が跋扈し、天が存在し、麒麟という神獣が

天意に沿って王を選び神に代わって王が国を統治し、

政治にかかわる王以下の公職(いわば公務員)が半永久的に生を得る世界。

実はこの最後の一文がとても重要といいますか。

 

この十二国記。『銀河英雄伝説』から着想を得られて書かれたそうで。

腐敗した民主主義(ヤンがいる民主共和国)か優れた独裁政治(ラインハルトがいる帝国)

どちらがいいのか。短期的に見ればラインハルトのような優れた人物が導く方がいい。

でもずっと統治することはできない(実際ラインハルトは20代でこの世を去りましたし)

その後継者が優れているとは限らない。

 

では、その優れた人に長命を与えてはどうか。これが十二国記の世界観なんですが。

それでも上手くいかないのが世の性。優れた人がずっと優れたままではいられないし、

優れた人であっても足をすくわれることだってある。(実際ラインハルトが長命だったとしても

あの苛烈さが平和時の王として優れているとは限りませんからね)

 

どこか神話のような世界観ですが妙にリアリティがあるせいで、

ただの日本の普通の少女が流された所でどうにもできないわけで。

物語の最初はあまりにこれでもかという展開に目を背けたくなるわけなんですがダウン

それでも最後に救済があるのは(少女も読者も)物語たる所以ですね。

 

なぜ少女を主人公と言わないのかというと、この話以降どんどん時代や国

主要人物を変えて物語が展開していくから。(と言っても彼女が物語の

一番最初?の主人公なので読者も肩入れしていると思いますが←かくいう自分も)

そのおかげで、この物語が一つの史伝のような歴史物語を読んでいる錯覚に陥ります。

 

今なぜ最初?という?マークを付けたかというと。実はこのシリーズが始まる前に、

『魔性の子』というホラー小説を書かれているのですが。それが十二国記の

外伝的話というか、もっと言えば今年出版された物語にもつながる話を書かれてて。

本編より前に28年後にもつながる話を書いてるだなんて、この人天才じゃないかと叫び

 

さて、18年ぶりに出版された話。10月に2冊、11月に2冊と怒涛の勢いで出ました。

個人的な感想を言わせてもらえば、物語としては文句なしに面白い。

ただ、本として面白いかと言われたら若干疑問符が・・・

 

物語を動かすのはキャストです。でも、その周りにも各々の物語が存在する。

フランス革命を動かしたのはロベスピエール、でもそこにはロナンもいた、みたいな。

そのスポットが当たらない人達、名もなき役人や飢えた人民もその世界で生活をしている、、、

そこにも目を向けてほしいとおっしゃっていた作者が以前短編集として本を出されましたが。

 

今回は本編のキャストの物語の中にも織り交ぜながら本を描かれてます。

言うなればベルバラと眠らない男、1789、ひかりふる路をひとまとめにしたかのような。

話としては面白いんですが、、、とにかく読みにくい汗文字を読むのは慣れてますが、

読むのに時間がかかってしまいました(それでも後半は展開が気になって読み進めましたが)

 

そんなこんなではありますが、宝塚で上演するには難しい内容ではありますが

ファンタジーとは言え皆さんにぜひ一度読んで欲しいと思うシリーズでもあります。

 

シリーズ中とても印象に残った言葉が“責難は成事にあらず”

間違っていることを間違っていると声を上げるのはたやすい、

でも責める事だけでは何か成し遂げることはできない。

これはとある国で心ある青年が腐敗した王様に対して弾劾し自分が国王になったものの

国政を担うことが出来ずに自分も堕ちてしまったという短編だったのですが。

『ひかりふる』のロベ君観た時にまんまそうやん!と思ってしまって。

 

“生きるという事は幸せ半分、辛い事半分 人が幸せであるのは 

その人が恵まれているからではなく  ただその人の心のありようが幸せだから

苦痛を忘れる努力 幸せになろうとする努力 それだけが人を真に幸せにする”

これも心に痛いというか、身に染みるというか。

幸せなんて気持ちは数値で表せるものじゃないですから、

どれほど自分が幸せかと思うことが大切なんですね。

 

・・・実は待ってる年月で本を売ってしまったのであせる

これを機会にまた集めてみようかなと思ったりです。