月組梅芸『ON THE TOWN』感想② | ★F**kin' Perfect★

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徒然なるままに、つらつらと。。。

の続き右矢印今度は女性陣

 

今作は女性陣も個性的でインパクトあります。婚約者がいるのに男性にせまるクレア。

クレアは人類学者としてのキャリアがあり、さらに男性に従うのを良しとせずに

言い方はあれですが自分の欲望に真っ直ぐです。(そういう彼女だからこそ

人間の全てを丸裸にする人類学の道に進んだとも言えますが)

 

首になったタクシー会社の車を乗り回し男性を車内に連れ込むヒルディ。

ヒルディも首になるとわかったとたん最後の客として自分の好みの男性を選びます。

チップをピックアップしたヒルディは自分のペースで彼を巻き込んでいきます。

 

メインの二人をこう書くととんでもな感じですが(笑)飲酒しながら歌唱指導をするディリー、

そして女優になりたいと自分を偽りながら夢に向かってひた向きに走る主役のアイヴィ。

女性陣全員に共通していることが、精神的にも金銭的にも自立した女性であること。

 

バリバリに働いて男性にただ選ばれるんじゃない、自分から選んでいく強い女性像。

勿論これが自由の国アメリカだからという面もありますが、これが戦時中だからという理由も。

 

そもそもアメリカも家事や育児のみをやっていればいいと家庭に押し込まれていた女性たち。

それが女性解放運動を経て、自分たちも働きたい、男性に依存するだけでなく自立したい、

そう願う女性が増えていきます。奇しくも戦時中、男性は戦地に駆り出されてしまったため、

必然的に国内で女性が働かざるを得ない状況に(日本でも軍事工場で女性が働いていましたね)

 

やがて戦争が終わると男性陣がまた職場復帰したために女性が職場から追われましたが。

「男性と同じ仕事ができる」更に自信を持った女性達はやがて“ウーマンリブ運動”を起こすことに。

まぁそれはまたべつのお話になってくるのですが。戦時中に書かれたμという事で、

“このような女性像”が描かれているというのも、なんとも興味深いことでもあります。

 

と、実際は描かれていない背景をずっと言ってきたわけですが(笑)

そんな事わからずとも、最初にも述べたように明るくハッピーな舞台。

登場人物が織りなすドタバタ劇に自分達も身を委ねるだけでも大いに楽しめます。

 

ただ、書かれたときはこの背景がわかっている前提ですから(何しろ最中だったわけだし)

これらのことを「分かるよ~」と思いながら見てみるのも一興じゃないかと(今日で終わりますが)

 

ところで、、、ニューヨーク&水兵といえば此方を思い浮かべます。

戦争終結とともにタイムズスクエアで撮影された女性とキスする水兵。

タイミングさえ違えば、この写真はゲイビーとアイヴィだったのかなと思ったり。

 

戦争といえばかなり昔に思えますが、この写真の女性が亡くなったのは3年前。

男性に至っては今年になってだとか。遠いようで時代は繋がっている。

そして時を経て当時の敵国だった日本で上演されている。

歴史の巡り合わせというものに感嘆を禁じ得ません(裏で恵尺が笑ってそう)

 

 

続く右矢印