月組梅芸『ON THE TOWN』感想① | ★F**kin' Perfect★

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徒然なるままに、つらつらと。。。

星組感想の途中ですが、こちらが上書きされてしまいそうなので先に。

 

ということで月組『OTT』を観てきました!といっても初日なので結構経ちますがあせる

観たのはAパターン。るねクレア、さち花ヒルディ、海ルーシーの配役。

 

海外ミュージカルというのはどうしても配役が少なくなってしまう。

役の少なさを補うために、あるいは話題作りに役替わりをするのはよくある手。

役替わりがあるたびにずるいよな~と思いますが、、、

 

実はフォーラムで演じられたときはさほど興味を持てなかった演目。

なんだかわちゃわちゃしているな~というのと、さくらちゃんが逆立ちしとる!

とビックリしたのが正直な感想(著作権の関係であまり映像が出なかったのもあるか)

今回観に行ったのも、ちなつ君が月組に帰ってくるから見守らなければ!!

という、ちょっとした義務化も少なからずあった気が(楽しみな部分ももちろんありましたが)

 

なのですが、Bパターンも見てみたい!と(特にるねヒルディがとても気になる)

映像にも残りませんし、特別な事情がなければBパターンも見に行ってたかも。

(特別な事情=星組公演中)

 

幕が上がってからの評価もフォーラムよりいい感触ですし、

役替わる方も受ける方も大変ですが、今回の役替わりも大成功ですね。

(そしてファンはまんまと劇団の思惑に踊らされるという)

 

面白いなと思うのは、このフォーラム→梅芸再演というパターンは3回目ですが、

星組の『OSO』にしても月組の『OTT』にしても再演の方が評価が高い気がする。

というか、もっと直接的なことを言えば、初日前までは低飛行だったのが

初日以降はグングン伸ばして最終的には初演時の熱量を超えてくるというか。

(宙組『WSS』に関しては作品力もあり双方とも評価が最初から高かったですね)

 

キャストウンヌンについては好みもあるでしょうから置いておいて。

どの公演も配役ががらりと変わるとはいえ組としては積み重ねたものがありますし、

演出側もブラッシュアップされてよりわかり易く面白くなる。

さらにどちらの公演もフィナーレが良い相乗効果になってますねアップ

(星組は新たにフィナーレがつく、月組もキャストに合わせて変更)

 

まぁ後は東京と大阪というお国柄ならぬ土地柄もあったり(笑)

寒い冬と暑い夏という違いも(両公演とも暑い夏の方が似合いそう)

同じ作品、同じ組、間髪入れずの再演であってもこうも違うのかと驚かされます。

 

基本的には新作のワクワク感が好きではありますが。

そういう意味では再演は再演で内容がわかっているからこその楽しみがある。

ということで、花組の『はいからさん』も再演ならではの楽しみ方がありそうです。

 

 

話が少しそれてしまいましたが汗以下ネタバレありです注意

 

脚本について。単純明快なハッピーエンド。一見おいおいと突っ込みたくなる

登場人物たちの行動も明るい歌とダンスで深く突っ込まずにサラッと流してしまう。

これぞミュージカル、古き良きブロードウェイ作品という趣きです。

 

このブロードウェイの変遷というのはなかなかに面白く。

世界恐慌から抜け出したころからミュージカルが活性化。第二次世界大戦中は

ブロードウェイ第一次黄金期と呼ばれるぐらい多くの後々まで作品が作られるように。

宝塚でも上演された『オクラホマ!』『回転木馬』もこの頃ですし、

当時の世情を表した作品としては『南太平洋』『サウンド・オブ・ミュージック』も。

 

この『オン・ザ・タウン』もまさにこの頃作られた作品。詳しくは言及されていませんが、

あの水兵たちの船の行先(つまり戦地)は日本と考えると少しやるせなく。

さらに当時の日本が国家総動員法で臣民みな兵士なんてやっている最中、

方やこのように後々残るミュージカル作品が出てきていたのかと思うと

そりゃ勝てないわ~と更にやるせなくなりますがダウン(本土が戦地になってない強みか)

 

 

ゲイビーたちはつかの間の休暇をNYで過ごす。と言っても船員すべてで払うわけにいかず、

交代制で街を繰り出すことに。そのリミットわずか24時間。仲良し3人組は

おのが本能に命ずるまま(笑)愛を求めニューヨークの道を縦横無尽に走り回ることに。

 

現在の海軍にしろ海自にしろ船艇勤務者は1年のほとんどを船中で過ごし、陸へは大体は

休暇のときに上がるだけ。そういったたぐいの感じなのかと思いきや(大まかはおなじだけれど)

時は第二次世界大戦中。当時のアメリカ海軍の戦死者は6万人強で海軍全体の1.5%ほど。

アメリカ軍全体のが3%の事を思うと割合としては少ない方ではありますが、

それでも200人に3人は死んでいる(大日本帝国海軍に至っては2割ですけれど)

 

台詞の中にあった「ニューヨークへは次に来るのは〇○○年後かもしれない」

勿論今度ニューヨークに寄港するのがいつになるかわからないというのもありますが、

もしかしたら戦死してしまうかもしれない。そうでなくても戦争下のこのご時世、

こんな平和な時間を過ごすのは当分こないかもしれない。

 

そんな刹那的な気持ちがあったからこそ、あそこまではっちゃけたし(ゲイビー達に限らず)

地下鉄のポスターの女性を探すだなんて雲を掴むかのような非現実で、

言ってしまえば馬鹿げたことに時間目一杯使って全力で取り組んだんでしょうね。

 

思えばチップもオジーもそれぞれに目的がありましたが(NY観光と女性漁りw)

ゲイビーの思いつきに親身になって付き合ってあげます。まぁチップは

最初駄々こねていましたが(笑)それでも「僕、がんばったよね」でしたし、

オジーに至っては失恋?したあともこれでもかというぐらい世話を焼きます。

 

その理由についてはサラッと「アル中になりかけて刑務所送りになる所を助けてくれた」

と言っていましたが、兵士がお酒に逃げると言ったらやっぱりPTSDかなと。

 

この概念は第一次世界大戦の頃からあったみたいですが、現在も多くの

現役&退役軍人がアルコール依存症に悩まされ苦しんでいます。

ましては当時は正式には認められていない病気。底抜けに明るい彼らの過去には

そんな影がもあったのかも(そんな状況からゲイビーが救ってくれたとしたら

それはもう自分の事は二の次三の次でゲイビーの為に時間を使うだろうよと)

 

 

戦争に絡めたまじめな話はまだ少し続きます右矢印