久々の宙組生観劇。どれだけ久々かというと、前回は何と『銀英伝』別箱入れても『逆裁3』以来。
スカステの映像では観てましたが本当に久々でして。そういえば真風君を生で観るのはちえさんの
退団公演以来だな~と思うと、大きくなった姿に(元々大きいですがw)何とも感慨深い想いで一杯に。
席は2階席のサイド。所謂“L”とか“R”とかですが、2階席のセンターやサブセンはあるものこの角度で
見るのって初めてで(ちょうど放送で斜め上の引きから映すアングルと同じ)音響とか正面の顔が
見えないのが、やはり舞台って正面を向けて作っているのだなと思いつつ。中々に面白い席でした
以下、全体の感想です(ネタバレも含みますので未見の方ご注意ください)
浅田次郎氏原作の今作。原作はオムニバス形式(グランドホテル形式)であり、誰が主人公でも
おかしくない作品。(あえて言えば桜井香でしょうが、完全にその存在消えてましたからね。
みりおんの役が兼ねていると思っていたのですが、9割朝霞要素でしたし)少なくとも北白川右京は
映画ならまだしも宝塚の主人公像とは程遠いですし、ルイの話も完全に独立した話でした。
丁寧に話を追うには長いですし、また宝塚でやるにはちょっと表現しずらい世俗的部分(ダーイシ要素
と言いますかw)もあり、楽しみ半分この作品をどう宝塚風にアレンジするのか不安でもあり。
そんな原作の複雑さを簡潔に宝塚らしく美しく(不倫とか、元夫婦とか、トイレネタとかw)原作の
エピソードを“ダブルブッキングの成功”“北白川の小説”“ルイ14世の想い人”“下田夫妻事件”に
スポットを当て、大きく話を改変しております。笑いの中にしっかり客席に問いかけるようなホロっと
くるシーンもありますし(ツッコミどころは多々ありますがw)帰りには心軽やかに笑顔で帰れる。
そんな作品に仕上がっております。のですが、、、原作の良さも削がれているという事実も
脚本について。先述したとおり観ていてクスッと笑えるし(大笑いではないですが)最後はホロっとくる。
この感覚って何かに似ているな~と思ったら『めぐ逢い』観た時と同じ感覚かもしれない
ツッコミどころも多いですよ!まずルイ14世は何語を話しているのかとかw(幽霊だから意思疎通は
何語でもできるのか?でもツアコンとして働いてましたしw)ピエールはカタコトでしたけど支配人の
さお君は何語を話しているんだろうとか。影ツアーの人が毎晩夜通し外で過ごすのは無理が
あるんじゃないかとか(たとえ戸川君のアドリブのためとはいえw←原作ではホテルの地下室に
泊まる事に)ピエールは早川さんのどこに惚れたんだろうとかwそんなツッコミさえ、最後の大団円を
見たら帳消しにできそうな。そんな幸せな気持ちになります(丹野夫妻を許し、二人と下田夫妻を
金沢さんが引き取るのはご都合主義じゃないかって思いますが、原作は更にツアコン二人、
クレヨンとまこちゃん、岩波夫妻すらホテルに再就職させるという超聖人的な人になってますからw)
原作ではルイの話はホテルの支配人デュランのお伽噺的要素として夕食の際に語られます。
それが今回お化けとして北白川右京と直接語りあうことによって右京の行動が受動的から能動的に。
そうすることによってより右京の内面を描くことができますし、ディアナ探しを通じて葛藤と苦悩、
成長もすることができます(原作のままだとただの変な作家先生ってだけですしw)曲がりなりにも
太陽王から「お前に小説なぞかけんわ!」なんていわれたら相当凹むでしょうがw下田さんの事件で
俺様(むしろ僕様)で自分本位だった人が人を想う心を知り、最後の玲子にかける言葉にもつながり。
ルイ自身も彼らとの交流を通じてディアナの本質を300年越しに理解することが出来たというか。
彼女や息子に対する負い目から曇っていた瞳が、本当はずっと微笑みかけていた魂をようやく
見つけることができ。(原作の話も綺麗でよかったですけどね)本当なら会合することのなかった
二つの物語が交差することによって、一度は失敗したことが“上手くいく”。王道パターンですけれど
物語として綺麗に収まっていますね!(どうやって日本語の小説読むんだろうとは思いましたがw)
続く