月組大劇『グランドホテル』『カルーセル輪舞曲』感想① | ★F**kin' Perfect★

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徒然なるままに、つらつらと。。。

宙組公演が始まり雪組中日初日ですが空気を読まず(笑)
感想は沢山の方が挙げられているので、自分の備忘録用に思ったことを簡単に。
 
 
以下、全体の感想です(ネタバレも含みますので未見の方ご注意ください注意
 
初演や外部は未見、映画を観た時に果たしてこの内容がお披露目、お正月公演、そして宝塚に
果たして合うのだろうかと汗(実際には20数年前に退団公演として上演されていますけどね)
 
観劇後も正直疑問が残ります。誰一人として「清く、正しく、美しく」がいない黒と赤の陰鬱とした世界観。
どこかしら皆闇を抱え、唯一の光と言えばエリックのみ。(なんだかんだ、一番深い闇はラファエラだと
思います。映画ではあまり出てきてないキャラなだけに、あのセリフには鳥肌が立つぐらいゾワっと)
 
あまりにリアルな描写に目をそむけたくなるというのもあるのかもしれません。宝塚の登場人物って
現実にはあり得ないだろうという人物だったり、居そうで居なかったり。リアル趣向の正塚先生だって
あくまで演出が“自然体”なだけであって、登場人物はかなり作られた人物像(あんなハードボイルドな
人いないですからねw)その分、グランドホテルは時代背景や地位の差異はあるにしろ、誰もが
男爵でありオットーであり(一番身近に感じるのはプライジングか)まるで自身を投射しているかのよう。
 
直接的な“リアル”さもあります。割と際どい演出って今までも結構ありますし(『激情』等々)
台詞にある場合も。明らかに事後表現に「すごくよかったよ」「もうへとへとだ~」と言わせたり、
「私の腹にお前の種が宿った」とか(ってどちらもダーイシやないか~い)流石にこれは引きましたが汗
今回もプライジングがフラムシェンにレイプまがいのことをしますが、その演出に本気で驚いた叫び
 
内容以外にも。今まで海外μの潤色というのは沢山やってきました。割とオリジナルに近いものや
裁量が任されている場合も。ですが、ここまで“オリジナル”のままって中々ないのでは?
(違いといえば場面のカット数と演者の力量ぐらい)結果、盆やセリといった宝塚が誇る舞台機構を
一切使っておりません。銀橋もラストのみ(あの演出が無ければ救われなかったな~)
 
 
そういう意味では宝塚を見たという気がしないですし、非常に人を選ぶ作品でしょうね。
以上を挙げたうえで宝塚で『グラホ』を上演した理由。それは『グラホ』を観ることができるから。
これはかなり個人的な理由なのですがあせる割と同じ人多いのではと。宝塚は見るけれども他の舞台は
少し敷居が高くて。宝塚で精一杯すぎて他の舞台まで手が回らない。そんな人でも『グランドホテル』
という屈指のミュージカルに出会うことができる。(実際外部の『グラホ』観てませんからねあせる
 
なんでしょう?『かもめ』を観た時と同じ感じ?演者に役を近づけるのではなく、限りなく役に演者を
近づけていき。ましてや演出家(ここでは生田先生のこと)の影はかなり薄く“書き手”の意図を
客席にできうる限り伝える。客席もグランドホテルの客になったり、逆にまるで上から見下ろす箱庭を
観ているような奇妙な感覚になったり。居心地の悪い“おもしろさ”を感じたのも『かもめ』以来かも。
 
華やかな舞台ではないですが、圧倒的な舞台。気軽に楽しめるものではないですが、考えさせられる。
役者の魅力を引き出すより、演出家のポリシーやら芸術心やらを押し付けるものはあまり好きでは
ないのですが、舞台を通して考えさせられるものはそんなに嫌いじゃない。(なんせ考察好きw)
 
賛否両論だとは思いますが、私は思っていた以上に楽しめました。宝塚らしくはないですが、
華やかな舞台だけじゃ宝塚じゃないと思いますからね。(そうでなければ正塚先生の立つ瀬がw)
外部でやるような公演を宝塚でやるこそ“意義”があるし、蓄積され技術として次の舞台に生かされて
いくと思いますので。(少なくとも『呪いのどんぐり』やDVD撮りも東京になったほどの問題作だった
アレらよりは(好きな方すみません)演じ甲斐も観劇しがいも、広義的にやり甲斐もあると思いますので)
 
 
ただ、やはりなぜこの公演でと。こんな難しい舞台を発進したばかりの新生月組でとか(それを
こなしちゃう辺りが月組の団体力が垣間見えましたが)あまりに勿体ない組子の使われ方に
別箱でもよかったんではとか(まぁあの迫力は屈指の団員数を抱える宝塚ならではですけど)
 
そんなことはどうでもいいんです(笑)問題は映像化ですよあせる相当大変なんじゃないかと。
元々舞台は生で楽しむものですし、特に今回は生で観てようやく舞台の面白さがわかるんですが。
もし円盤化されなかったら、たった一度しかないお披露目なのにファンの方かなりショックなのでは汗
(『ガイズ』の時もかなり問題になりましたよね。結局販売されて万事OKとなりましたけど)
 
満を持してお披露目にという事でしょうけれど、せめてもう一作待てなかったのかなと。演者が今の
タイミングで演じるのが一番(男爵は勿論キーパーソンのちゃぴちゃんやみやちゃん)という判断なら
まだいいのですが、あちらさんの(というか版権)都合でタイミングが決まったならちょっとね汗
ということで、ファンの方のためにもBlu-rayが出るのを祈るばかりです。
 
 
内容に全然触れてなかった叫び続く右矢印