管理職やリーダーと話をしていると、自分たちのレベルアップの相談に乗ることがあります。
・目標の設定力をあげたい
・面談力をあげたい
・褒め方や叱り方を強くしたい、などなど。
個別の面談でもできるかぎりすぐに試せるようなアドバイスを心がけていますが、時間的な制約からたくさんの人に展開するのは難しいという悩みがあります。一方、勉強会はあくまで新しい知識を得ることにはとても良いですが、受講者の今の悩みに合うかどうかが不明です。何より実践するかどうかは受講者に委ねられてしまいます。
仕事における学習というのは、実践を通じて得られるもの。どれも実践することで実践した人には学びが増え、自分なりの考えである自論や持論が増えていくものです。なんとか最小の時間で最大の成果を導けないか、様々な選択肢を考えました。そしていろいろ考えた結果、ひとつのアイデアにたどりつきました。
スポーツジムなどでやっているパーソナルトレーニングを、マネジメントやリーダーシップでつくることができないかというものです。
スポーツジムのパーソナルトレーニングは
・カウンセリング。体重減や柔軟性アップなどの目標を明確にする
・カスタマイズメニュー。複数あるトレーニング手法を組み合わせる
・個別に実践。本人の体形やクセに合わせてトレーニングを実践する
という流れなので、ビジネススキルにおいても、同様のことができるのではと思いました。
LOT「リーダーズ・オンライントレーニング」というプログラムを開発しました。「エルオーティ」とか「ロット」と呼んでいます。このLOTという単語には「たくさんの」という意味があるので、リーダーの成長機会をたくさん増やしたいという思いも込められています。
LOTは下記のような流れです。
・幹部全員で参加。同じ会社の社長と役員や、同部署の幹部全員で参加。
・3回で1セット。1回のトレーニングは最大60分で、月1回目安。
・カウンセリングで目標を決めて、トレーニングプログラムをつくる。
オンラインで実施するので、忙しい経営陣でも移動コストがありません。その時間枠だけ用意すれば参加できます。
このトレーニングは、下記をポイントに設計しています。
・フレーム。サイバーエージェントで実践されているフレームーワークを使う
・共通言語。フレームワークを材料に議論することで、自分たちの共通言語を増やせる
・実践学習。次の回までに学んだものをひとつ実践。実践によって知恵が増える
グループ会社の新規事業プロジェクト幹部メンバーで実施。リーダーのマインド、決断力、面談力をトレーニング。
すでにエンジニアの幹部チームやスタートアップ役員陣など、5、6個の部署で試しています。「試してみたらみんなの主体性が上がった」「劇的に雰囲気が良くなった」「組織のスピードが上がった」など、直接参加したメンバーから一回ごとに反応を教えてもらうことができ、私も効果を実感しています。
上記でも書いていますが大事にしていることは、自分たちで共通言語を決めてもらうということです。何かを押し付けるのではなく、ある程度のフレームを参考にした上で、自分たちなりの考えを議論することがとても大事。それが血となり肉となります。
たとえば「良い目標とは何か？」という問いを参加している数人に投げると、バラバラかどうかがすぐにわかります。良い目標とはこういうものだという軸があれば、組織が大きくなった時にも伝承されて、強い組織ができます。強い組織は成果のための共通言語がきちんとあって、それを日ごろから口癖のように使っています。
逆に、弱い組織は共通言語が少ないことがほとんどです。経営陣がそれぞれ勝手なことを言えば、メンバーに迷いが出ます。成果を出すための共通言語を明確にして、それを伝えていく。その言葉を教えてもらった人も言葉を使うことで成果が出れば、それが自分にも組織にも財産になります。
言葉がズレると、組織がズレる。組織で使われている言葉がみんな違うと、そもそもその言葉の定義がどうなのかとか、もっとこっちの言葉や考え方のほうが良いなどの論争になりがちです。そうならないためにも、ビジョンやミッションなどで最低限の言葉を決めて、言行一致を徹底することが大切です。
プログラムは課題の分だけつくれるので、どんどん増やしていこうと思います。現在は
・成果が出るマネジメントの習慣
・やる気を引き出す褒め方と叱り方
・経営幹部のチームビルディング
・信頼関係を強くする面談力
・すごいトレーナーになる方法
などのプログラムを開発しています。すこし噂が広まっているのか、じわじわと幹部や管理職からLOTについての相談も増えてきました。リーダーのみんなが、最小の時間で最大の活躍ができるようなプログラムをつくります。