P&PフレームIMPACTモデルなど、人事のみんなで作った目標設定のフレームワークがすこしづつ広がってきました。事業部のミーティングなどで使ったり、組織にカスタイマイズして利用してくれているとのことです。組織の視点だけでなく、個人の思いや情熱などの視点も取り入れる考え方が受け入れやすいようです。

こういう目標設定の勉強会を何回か実施して幹部や社員と話す中で、良く上がる要望がありました。それは「目標を決めたまでは良いが、その目標の達成確率をあげる方法はないか」というものです。

せっかくいい目標があったとしても、その目標に向けて何をすれば達成確率が高まるのかイメージできない人も多く、その相談に乗るときに困るリーダーがいることがわかりました。

よく実施されていることは目標達成までに進捗確認をするというのもの。進捗確認自体は状況の把握や、改善策の着手などに有効なのでとても良いのは間違いありません。ただし、進捗確認のミーティングをしても目標達成確率には組織ごとにばらつきがあるのが実態で、進捗確認をすれば達成するというわけでもないのです。

事業責任者や役員などの成果を上げている人が何をやるかを観察して、目標達成のために何をやっているかを見てみました。

できる人に共通していたのは、

 

ボトルネックを見つけて排除する

 

ということでした。

ボトルネックとは瓶の首が細くなったところのことで、狭い口に対して大量の物が入るとつまってしまい、本来の流れができなくなることを言います。仕事においても同様で、ボトルネックの存在に気づいてないと、目標達成に向けたアクションや障害が増えるばかりで、一向に効果があがらない状況になってしまいます。

目標達成に向けては、目標達成に効果的なことに絞り込むことが大事です。目標達成確率が高いリーダーは、目標への進捗を追って対処療法するのではなく、目標達成に向けたボトルネックが何かを見定め、そのボトルネックを排除しているのです。逆に目標達成がなかなかできない人は、ボトルネックを見極めないまま思いついたことだけをやっているので、いつまでも障害に邪魔されている状況になりがちです。

ではその障害をどのように見つけるのか。これも成果を考える人の考え方や発言を観察してみると、3つの観点で見ると良いことがわかりました。



ボトルネックは、人・仕事・時間。

私はこれを「3つのボトルネック」と呼び、ワークシートにしています。



 

利用シーンとしては、自分やチームの目標設定を終えたあとに、このシートに沿ってボトルネック、つまり障害となるものをリストアップします。

人のボトルネックは、人間関係によるもの。一番よくあるのは相性問題です。チームメンバー、仕事仲間、取引先などと関係がよくなかったり、話をすることが難しいなど。チームメンバーの仲が良くないとか、チームが新しくてお互いのことがよくわかってないなどの障害があれば書き出します。

仕事のボトルネックは、仕事の進め方やスキル面についての障害です。たとえば新しいことを手がけるにあたり、そもそもどのようなスキルがわかっていないとか、必要なスキルや技術は理解しているものの、習得状況が良くないなど、業務面での課題を列挙します。

時間のボトルネックは、タイムマネジメントに関する障害です。やることが複数あるのに、ある特定の業務だけに時間を取られてしまうとか、すごく時間がかかる業務に対してなぜやるのかの意味を理解してない、本来やるべき企画業務に物理的に時間が確保できていないなど、時間配分の視点から考えて障害を考えてみるものです。

3つの障害を全部埋める必要はありません。この3つの要素を見た上で、目標達成をするにあたり何が障害になるかを考え、思いついたものだけ書けば問題ありません。またこのワークシートを書く時間としては、2分程度でも大丈夫です。直感的に思いつくまま、障害を書き出します。

 

このシートはいろんなケースで利用することができます。

・自分で書いてみる。自分の目標達成にむけたボトルネックを自分で書き出してみるだけでも客観視することができます。

・上司とすり合わせる。書いたものを上司に見せて、改善策を考えるのも効果的です。

・チームで見せ合う。個人で書いたものをチームで持ち寄ってみると、お互いの悩んでいることの共有だけでなく、一緒に解決しようという協力姿勢が生まれやすくなります。

このワークシート、勉強会に参加してくれた社員から好評でした。

「自分の困っていることを共有したら、応援がもらえて嬉しかった」
「相談することで、予想以上に簡単に解決できることがわかって自信になった」
「それぞれの悩みを共有できて、困っているのが自分だけでないと安心した」


自分の抱えている障害をこのフォーマットにのっとって出して共有すると、想像以上に周囲との協力姿勢を感じて安心することができます。

目標の達成確率を上げるには、ボトルネックを排除すること。

サイバーエージェントでは一人一人の目標が明確かどうかを大事にしていて、社内アンケートのGEPPOなどでも半年に一度聞くようにしています。

良い目標を掲げてくれた一人ひとりの達成確率が上がるよう、これからもサポートしていく環境をつくります。