新卒の勉強会で話したこと | デキタン(できるヤツ探求アメブロ)

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ソヤマン(サイバーエージェント人事統括・曽山哲人)のブログです。

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広告事業の一年目の勉強会に呼んでもらって、ワークショップを行いました!目的としては、自分の半年の学びを武器にすることと、今ぶつかっている課題を解決する策をひとつでも増やすこと。

 

みんなの成長や課題の話をきいていて、自分も同じように一年目の時があったのでものすごく共感しながら、すこしでもみんなが早く成長できるように、ワークをしたり説明をしたりしました。

 

まず一番最初にやったことは、入社してからのポジティブな学びを言葉にすること。自分の良かった経験をテーブルの仲間に見せながら、「なぜそれができたのか」を説明してもらいました。

 

大きく成長する人とそうでない人の差に、「経験を言語化しているかどうか」という点があります。

 

 

ワークでは、自分の決断をまず書き出します。お客様にこういう提案をした、こういう企画を考えたなど大きなものだけでなく小さなものも出してもらいます。そうすると「決断したこと」というのを認識することができます。加えて他の人に話すことで、その決断の成否はなぜ起きたのかなどの原因や理由を自分の言葉で整理できます。

 

「自分の言葉で経験を意味づけする」と、同じような決断の時にすぐに思い出すことができるので、次の対処が早くなります。結果、以前苦労した決断であっても、言語化して学びを増やしておくことで対応力があがり、結果的にもっと大きな決断をすることができるようになります。経験の言語化は、知的労働の多いナレッジワーカーとしての実力を高めていく大事な手段です。

 

 

次に、今ぶつかっている壁や成長課題について話をしてもらいました。1人の悩みに対して、同じテーブルの3人に相談にのってもらったのですが、その時にお願いしたことが、「アドバイスはしない」ということです。

 

 

同期など近い者同士の場合、相談にのっても自分も自信がなくて回答できないか、もしくは実は自分はできないけど聞きかじったことを紹介するという、ちょっと上から目線アドバイスになりがちです。「これってこういうもんじゃん」などのような表現をぶつけられると、正論をふりかざされたようになり議論も前に進みにくくなります。

 

それでも課題は解決しないといけません。そこで有効な方法が「事例を共有しあう」というもので、「事例トーク」と呼んでいます。まず一人が困っている悩み(タスク管理など)を相談すると、他の3人は自分の知っている事例だけを話すというだけです。自分はこうしたら失敗した、うまくいったなどの自分の事例を紹介したり、上司や先輩がやっていることやアドバイスも具体例で出すことで、解決の選択肢が増えていきます。

 

悩みの解決でもっとも手っ取り早いことは、自分に合う事例を探すこと。そのためには近くにいる何人かの人に「事例」を聞いて、その中でピンときたものをやるというサイクルが効果的です。

 

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同期でのワークが終わった後には、私への質問をもらいました。全部はこたられなかったのですが事前に質問をもらっていたので、用意していた資料も含めて紹介します。

 

プレゼンで緊張するのをどう克服するかという質問がありました。私の事例として紹介したのは、本番を「初回にしない」ということです。

 

 

プレゼンは大事な時ほど緊張するものです。私自身も、講演や研修では、いつも緊張しています。今でも心臓がバクバクしたり、汗が出たり、血の巡りが悪くなって手が冷えたりすることがあります。そういう自分を理解しているので、それはそれとして受け止めています。

 

緊張を止めることはできませんが、プレゼンを良くすることはできます。そのために、本番を初回としないと決めておいて、事前に練習をするようにしています。同じ時間配分でやるとか、自分でカメラでとって自分のつたないプレゼンをメモして改善するとか、先輩に見てもらってFBもらうなどの工夫をすると、プレゼンは必ずよくなります。

 

ワークショップが終わった後に残って質問してくれたメンバーがいてくれたのですが、その質問がタスク管理に関する質問でした。

 

タスク管理で大事にしているのは、「マルチタスクにしない」ということです。実際には誰でもたくさんのマルチな業務があるのが現実ですが、「今の一番を決める」ということを常に意識してタスクを絞り込んでいます。

 

やることはたくさん。でも今できることは一つだけ。この原則にのっとり、「今、この瞬間だけで一つだけ絞るとしたら何か」ということを決めて集中してやる。先輩や上司から依頼が追加されて困ったら、自分が考えていた今の一番と、先輩から依頼を受けたもののどちらが一番かを相談する。そうやって、常に「今の一番」に絞り込むことで、「順番で悩んでいるうちに時間がかかる」ことや「全部かじって中途半端になる」というところを脱することができます。

 

また、タスクを〇分でやるなど時間管理をする方法もありますが、私はやらないようにしています。特に企画や分析など知的労働の場合は、時間が読み切れないことが多いもの。タスクのとりかかる順番を決めて一つだけ集中してやるほうが、成果が大きいと考えています。

 

モチベーションが上げ下げに悩むという質問もありました。私も社会人なりたてのころは、よく悩みました。

 

 

モチベーションの上げ下げというのは、人によって大きい人もいればほとんど波がない人もいます。年次に関係あるというよりも、個人的な特性といったほうがよいかもしれません。私はモチベーションの変化というのは感情の波と考えています。感情なので、人によって受け止め方も違うし、起伏の幅も異なるもの。これは自然なことなので、下がるからダメとか変に考えすぎないほうが良いです。

 

大事なことは引きずる時間を減らせるように、リセットできる方法を持っておくこと。私はこれをリセット習慣と呼んでいます。リセットは一瞬でも良いので、仕事のことを考えることを遮断できることです。私の場合はジムに行ってジョギングすること、ボルダリングすること、アクションやサスペンスなどの映画を見ることなどがリセット習慣です。

 

リセットの言葉を持つことも有効です。たとえばショックなことがあったり、頭に来てしまったとき。あえて言葉にしつつ、終了させる言葉を言うのがおすすめです。「うーん、頭にきた。以上!」その感情自体がすっと消えるまではいかないと思いますが、自分に対して言葉で「以上」という終了宣言をすることで論理的に頭が整理されることがあります。自分の感情をおさえつけるのではなく、認めてあげる。そのうえで、引きずらないように終了宣言を自分に伝える。こうすることですこしだけですが自然な形で、自分をコントロールできるようになっていきます。

 

成長を加速させるうえで何が一番大事かと聞かれたら、私の答えは「強みを活かす」こと。

 

 

ポイントとして大事なことは、人間は基本ネガティブであり、弱みに注目しがちな生き物であるということです。基本人間は動物として決して強いわけではなく、生命の危機を感じ取る意味でも慎重さや不安というものを高めておいて、外敵から身を守るようになっているもの(とタイトルを忘れましたが本で読んだ記憶があります)。その遺伝子を継いでいるからこそ、否定的に自分の弱みを見たりネガティブに考えることというのはある種自然な部分でもあります。私自身で言っても常にポジティブなわけではありません。意識して前向きな表現や姿勢をするようにしていたら、そのほうがチームの雰囲気も成果も良くなったのでそのやり方が定着したというのが実態です。

 

だからこそ、ちょっと意図的でも良いので自分のポジティブな面に光を当てて、強みになる部分を強くしていくと、それだけで他の人と差別化となり、成長が早くなります。とはいえ強みというのは簡単に見つかるものではなく、最初は自信がないことも多いものです。そういう時には、「自分ができること」をもっと上手になるように磨いていくのがおすすめです。笑顔でチームであいさつすることができるとか、分析でデータを見続けることができるとか、できることは人によって様々です。自分にできると思えることは、強みが支えていることが多いもの。そのできることを磨いていくことが、結果的に強みを活かすことにつながっていきます。


一年目のみんなと話ができて、私も元気をもらいました。さらにみんなの成長が加速するような環境をつくっていきます。