「考える力」を身につける本「はじめに」
「「考える力」を身につける本」(フォレスト出版)が、いよいよ今月の五日に書店に並ぶようです。この本はまさに僕の勉強法の決定版とも言えるものです。受験生だけでなく、社会人対象に書いたものなので、誰でも自分の勉強法を見直す一冊になっています。
ということで、今回は「はじめに」の一部分を抜粋します。
『カリスマ受験講師の「考える力」をつける本』(三笠書房)を刊行したのが、
2000年の12月、幸いにもこの本は多くの読者に受け入れられ、ベストセラーになった。
あの頃は、まだ、予備校の講師が仕事の中心だった。だから、主に受験生を対象に「考える力をつける」ための勉強法を提案したのったが、その後、私の関心はビジネスパーソンの勉強法へと移っていった。私の仕事自体も、予備校の仕事から教育全般へと広がっていくにしたがって、ビジネスパーソンこそ「考える力」をつけるための勉強法が必要ではないかと思ったからだ。そこで、今回、三笠書房版をビジネスパーソン向けに全面的に書き直そうと思った。
本書は、まさに、ビジネスパーソンが生涯にわたって必要なスキルを身につけるための、本物の学習法となっている。人が人である所以は、絶えず学び続けることにあると、私は信じている。人は生きている限り、経験からあらゆるものを学び取っていく。それは、考え続けることでもある。
パスカルは、「人は考える葦である」といった。私はこの言葉を実に単純に理解している。人は葦のようにちっぽけな存在だが、考え続けることによって、初めて人たりうると。
私たちは自分の置かれている環境を少しでも正確に理解し、より豊かに生きたいと願っている。ところが、現代は膨大な情報の波に流され、自分がいまどこにいて、どんなところへ行こうとしているのか、つかみづらくなっている。そればかりではない。現在、私たちは歴史的岐路に立っている。いままでの価値観
がすべて崩壊し、既成のやり方がことごとく通用しなくなっている。
いまこそ、私たちは学ばなければならない。より深く、正確に知り、それによって、考えねばならない。私たちに必要なのは、高度な専門知識ではない。世界全体を見渡し、歴史という直線的な時間の流れの中で自分の置かれている位置を知るという俯瞰的視点である。そのために、もう一度、自分の勉強法を見直してみるのも、無駄ではないはずである。勉強は、決して苦痛ではない。人生を豊かに生きるための最強の武器であり、それどころか、その人の生き方にもつながるものである。
一生のどこかで勉強の面白さに気づいた人と、そうでない人─結局、人はその二つに大別されるのではないか。そして、勉強が楽しくなるためには、正しい勉強方法を知らなければならない。有効な頭の使い方を覚えなければならない。それだけで豊穣な人生を手に入れることができるのだ。
高校生、受験生、大学生、社会人、そして、主婦、そのそれぞれの人がどのような勉強の仕方をしてきたか。本書がそれを見直すきっかけになると同時に、より有効な勉強をするための契機になればいいと思う。
本書のいたるところに、ヒントがちりばめられている。それらは知の起爆剤であるとともに、勉強法のヒントであり、そのまま人生のヒントにもなるであろう。