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水の中。

海外小説のレビューと、創作を。

外務大臣の一人娘である、千堂咲が誘拐された。
唯一の手がかりである犯人の脳――しかしそれは、20年前の中東での集団拉致事件の遺族が仕掛けた罠だった。


秘密(トップ・シークレット) 7 (ジェッツコミックス)/清水 玲子
¥890
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(いちいち画像のない悲しさ……)


水の中。-秘密7

拉致問題と外交、という扱いの難しいテーマを背景に語る、「被害者家族の現職閣僚への復讐劇」 (←となると、ええーいろいろな問題に抵触しそーでヤダなーと私などは思ってしまうのですが、作者さんはこのあたりを非常に上手く捌いていますよね)。


国益の前には人命、それも無名の市民の命などはやはり優先されるわけもなく――という現実。
そして「第九」という組織の奮闘、というフィクションならではの救いとを、サスペンスとして実にうまく読ませてくれるのですが。
あえて踏み込みたいのが、今回の物語とは直接的に関係のない――



なんで薪さんてこうなの? という部分。



えーとですね、今回のお話で、薪さんて非常に気の毒ではないですか。
自分の立場を危うくしてまで、部下である青木を守ってやったり。
だけど最後には雪子先生登場! ふたりはラブラブハッピーエンド、そして薪さんは頭を下げてひっそりと病院を後にして、やりきれない事件の後始末に向かうしかないわけですよ。

あまりに痛々しい孤独な姿に、雪子先生気の毒だわ派の読者の私ですら、ついつい「青木この薄情者がー!!」とか思ってしまうじゃないですか。



しかし待て。



しかしなんか冷静に考えてみると、それはどうもおかしい。
だいたいさー、なんで青木が薪さんを最優先しないとカワイソーになってしまうの?
ふつーだろ。
仕事でもなければ、上司より恋人が優先なのは、いたってフツウだし。


どうもこのあたり、「尊敬する上司への好意」だけではまったく救われないという、薪さんてひとの内面が問題なんではないのか。


えー、なにもその孤独さを責めているわけではないのですが……いや責めてるのかな。
だってさー、それほどの孤独を満たすのは青木ではムリ、というより求めるべきでない相手だと思うのですよ。鈴木という親友の死があったとしても関係なく、そういうのは恋人とか妻とかの「自分だけの相手」でないとダメだ。青木が罪悪感を持つ必要なんて本来ないはずなのですよ、みんなそれぞれ責任を持つべき相手がいるのだから。


だから薪さん、強くなってくれ、というか変わってくれ。
そうでないとこの三角関係はいつまでも不幸なままになってしまう。


……と相変わらず、物語に関係なく三角関係、いえ薪さんのみを語って終わる、このレビュー。
まあでも、薪さんが青木を愛してるとか言うのなら仕方がないから私も折れる(?)けどさー、そういうわけではないだろう、という気がするのですよねえ……。



憎い相手は、仲間を全滅させた「虎の男」。
「……その虎は、俺の兄だ」
ユルールの言葉に、不本意ながら宋国への道連れとなったシュトヘル(悪霊)。
(この子供がおとりの用をなさなければ、殺してしまえばいいだけのこと)――と思っていたが……

シュトヘル 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)/伊藤 悠
¥620
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ががが、画像がない!!


水の中。-シュトヘル2



いちいち台詞のかっこいい、このまんが。
いえ、登場人物が気の利いたことを言っている、というわけではないのです。
どちらかと言えばどのキャラクターも寡黙であるのですが、その少ない台詞のなかにあって、言葉のつなぎ方が素晴らしい。
たいていは物語上の会話など予定調和といいますか、こなれた分かりやすいものなのですが、本作の場合は意味がすんなり頭に入ってこないところがむしろ良いのですよね。


仲間を殺されて復讐のための獣となったシュトヘルに、


「許す、許さないの先はないのか」
「きみたちが勝ってたくさん殺せたらよかったのか」


と叫ぶユルール。



わずかに警戒をといたシュトヘルがユルールの弾く曲につぶやく


「もう一度……
――いや、ずっとそれでいい」


などなど、印象深いです。


それにしてもなー、仲間を失ったドジッ子な女戦士の変わりよう(シュトヘル化)にビックリなわけですが、これは今後こーゆーカンジに個人的な復讐ドラマとして展開していくのですかねえ。
私としてはあまりマクロな視点で時代をとらえるよーな物語には興味がないので、このままシュトヘルとユルール坊っちゃまの交流を読んでいけたら……と思ってたのですが、アッそうか! 須藤がタイムスリップ(?)してシュトヘルの中にいるじゃないの!
というかシュトヘルどこ行っちゃったことになるの???



……いまの展開が過去の回想であることをすっかり忘れてましたが、ええー、どうすんだ須藤。
須藤の存在に意味が見出しにくくなってきたわ~と脅えつつ次巻を待っております。





時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)/R・F・ヤング他
¥966
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時間SFを集めたアンソロジー。


聞いたこともない作者さんの作品などもあり、なかなかに興味深い一冊となっております。が。
しかしなんだなー、「ロマンティック時間SF傑作選」という副題にあるように、とりあえず恋愛がらみの作品を集めてはいるのですが、これが実際にロマンティックかというと、どうよ? という気がします。


うーん。編者の方があとがきで「一般読者が求めるのは個人的な人生のやり直し」みたいなことを書いていて、確かに一理あるのですが、どちらかというと日本人的には、いえわたくし個人としては、アレですね。
「幸せな結末」よりも、タイムパラドックスによる「やり直せそうでいてやり直せない」「報われない切なさ」を求めている部分があるのかもなー、という気がいたします。
さて、せっかくですので、それぞれの作品にひとこと感想を。


「チャリティのことづて」ウィリアム・M・リー
少年が時間を越えて過去の少女と交信するタイプの時間SF。
おおー、素朴な恋愛ものですが、これはのちの数々の作品の原型っぽいお話ですね。ラストの「時をこえてのこされたメッセージ」といい、危機にさらされる少女を助けようとする展開といい。
なんか眉村卓のコドモ向けSFでそーゆーの読んだ記憶がある(あれは未来の少女を助けられないお話でしたが~)。
しかし現代の読者としての視線で見ると、コレもうちょっと伏線があればなーラストのメッセージ発見が生きてくるのになーなどと思ってしまいますねゴニョゴニョ。


「むかしをいまに」デーモン・ナイト
こ、これは……時間SFというのかどうか!
時間の流れ方の逆転した世界を描いた作品で、死んだところから始まって、どんどんどんどん若返っていく過程を描いているわけですが、最初読んでてワケワカンネエわけですよ。主人公だけが若返っていく作品ならば知っていますが、そーゆーのでなくごくあたりまえの現象として原因と結果が逆なわけで、「じゃ、じゃあ最後の一行から遡って前に読んでいけばいいのでは?!」と思いついてやってみましたが因果関係はわかるものの接続詞がちがうので読みにくいわー(←頭が悪いだけなのでは)。
非常に実験的な作品で、このムチャクチャな流れを成立させているところは秀逸ですが、物語として面白いかどうかはなー、出オチってやつだよねコレ、という作品でした。


「台詞指導」ジャック・フィニィ
役者たちが映画の撮影のために過去の扮装をして紛れ込んだのは、本当の過去の世界で――そこで一目ぼれされた女優は? というお話。

時間SFというよりも、人生の教訓のようなお話ですね。この過去の奇跡の邂逅はすっかり忘れ去られていたわけで、「愛というのはこわれやすく待ってはくれないもの」と知って、ヒロインがちょっぴり大人になるという、いいお話。
いいお話ですが、ロマンティックではないよなコレも……。


「かえりみれば」ウィルマー・H・シラス
現代の記憶を持ったまま、少女時代の体へと戻ってしまったヒロインは……? というお話。
ハラハラする冒険ですが、結末が弱いのと、あとこれもロマンティックでは全然ないよなー、恋愛からんでないしなー。


「時のいたみ」バート・K・ファイラー
過去へ戻ってきた夫の目的とは……?
老いた体で過去の若い自分と入れ替わる(同時に存在するわけではなく)、という珍しい設定のお話。なんかよく考えるとスッキリしないなこの設定は。ある朝目覚めると、すんげー老けてるという、ある種の恐怖SFではありますが。
ラストもほろにがい結末で、「ああー、あるよねー」とは思いますが、これがロマンティックかとゆーとそうではないだろ(こればっか言ってる気が)という気がします。


「時が新しかったころ」ロバート・F・ヤング
タイムマシンが実用化された時代。中生代の調査のために過去へ訪れた主人公は、なんと火星人の子供たちに出会う――というお話。
いや、これは可愛らしいほのぼのハッピー・エンドのロマンティック時間SF恋愛モノではないですか(5作目にしてやっと!)。


「時の娘」チャールズ・L・ハーネス
未来を予言して生計をたてている母親が大嫌いな主人公、その理由は「母は自分を愛していない」ところにあるのだが――というお話。
さすがの表題作、これが読み手の私としても、いちばん印象的な物語でした。真実の残酷さといい、変えられない過去といい、
「ママ、最後の予言を聞かせて!」
「おまえは彼を止められなかったわ」

というのはすんごいいい台詞ですねえ。ロマンティックというような甘さはないのですが、いちばん時間SFらしいお話でした。


「出会いのとき巡りきて」C・L・ムーア
数々の冒険をやりつくした男は刺激を求めて過去へ旅立つのだが――というお話。
この、「冒険に飽きた男」と、そのあとの「どの時代でも同じ女性と巡りあう」という展開とがいまひとつしっくりなじまないとゆーか意味がわからんので、最後の分からなさが余計に「で?」なカンジになってしまいますね……。


「インキーに詫びる」ロバート・M・グリーン・ジュニア
仲のよい少女の母親の運転する車に、可愛がっている犬をひき殺された少年は――
どれが過去で現代で未来かというより、あらゆる時代の「自分たち」が並列して存在していて……というタイプのお話。えー、過去の自分を励ましたりするところがイイお話なのかもしれませんが、ちょっと技巧的すぎて物語に入り込みにくいのです。
分かるけど意味は分かるけどさー、でもなんでそんな分かりにくい描き方?? みたいな~。



以上です。
いろいろなタイプの作品がそろっていて、たいへん興味深く読みましたが、ロマンティック時間SFとしては、うううーん該当するのは2編くらいかなーという印象でございました。





水の中。-222

ただいま実家へ来ております。


「あら!」

昨夜のこと。風呂上がりに母に声をかけられました。

「なに?」

「いやだわー! そんなバスタオルつかっていたの?」

「だって置いてあるし」

「新しいのあるのよー、出そうか?」

「え、いいよべつに。この いつもの 紙のようにうすい 擦りきれた手ぬぐいのような 古いタオルで」

という返事をしたところ、

「こわいわー、そうやって何年もだまっているところがイヤだわー! あなたのそういうところ誰に似たのかしらー」

と、煙たがられ(?)ました。


本当にとくに不満ではないのですが(ていうか気付かなかった)、

ちょっとこまかく使用感を表現しすぎたかもしれません。







美味しい節約生活をつづける筧史朗。
父親の病気が発端で、今年は数年ぶりに実家で正月を迎えることになってしまったが……?

きのう何食べた? 3 (モーニングKC)/よしなが ふみ
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正直いって料理部分は完全にとばし読みだったりするのですが(すみません、たぶんこの作品のキモはこのへんのはず……)、
40代半ば主人公であるシローさんの感性に非常に共感を覚える自分ちょっとヤバイ。


筧史朗(44歳)が

「今の彼氏と別れたら泣き暮らすのはあっちだろうけど、立ち直ってすぐ恋愛できるのもあっち。俺は相手さがすのがめんどうくさくてムリ」

みたいなこと言いますが、これはなにもトシのいったゲイにかぎったことではなくてよ!
あるていど枯れた(……)人間なら誰でもそうっすよ!

いやー、若いときの恋愛信仰ってスゴイ勢いあるじゃないですか。あれはさー、世の商業主義の情報操作にのせられていると思うのですよ。モテ服とかモテ髪とか、愛されるための○○とかテレビの連続ドラマとか漫画とか。
恋してなきゃ生きてる価値ないくらいの脅迫観念を植え付けてくるじゃないですか。
あれは絶対に間違っている!!
恋愛なんて人生にいっぺんするかしないかくらいでフツーだと思うのですドン! ←机たたく



すみません、ついつい横道にそれて熱く語ってしまいましたが、
そういうわけで、筧さんたちのように「美味しいゴハンつくって休みは家でのんびり~」な暮らしとか(いいよね~)、両親を金銭的に援助しなくてはならなくなるエピソードとか(わたしはフツーに仕送りしてますけどしないものなの?)、高校生じゃないのに山ほど食事出されるとか(もうだまって受け入れるしかない)、冷凍庫にあふれるモチとか(あれホントなくならねえ!)、鍋なのにどうしても副菜つくらなきゃと思い込んでいるとことか(冷静に考えるといらない気がする)、主人公・筧さんの節約食費の数倍はつかって暮らしている、いえ正確にいくら食費をかけているのか数えたことすらない自分ですが、個々のエピソードについては意外なまでに「あー、あるある」という共感を覚えました。

ということは、この世に「あるあるー」と頷いている人はたくさんいると思うのです。
思うのですが、しかし。



しかしなんだ、漫画として楽しいかどうかは相変わらずビミョウにモヤモヤするところですねえ。
こんなとこにレビュー(レビューなのか?)を書いている身でこんなことを言うのもアレですが、みなさんこの作品のどのあたりをどのように楽しんでいるのやら、非常に疑問です。


まあ、食材だって全てがメインになれるわけでなし、エンタメという価値観で評価するのではなく、箸やすめのよーな作品ととらえればいいのかもしれませんけども。うーん。


レースを楽しむために訪れたサーキットで、ニックはふと白昼夢を見る。
ここで大事故が起こり、自分たちも巻き込まれて死んでしまうのだ!
正気に戻ったニックは、慌てて友人たちを外へ連れ出すのだが……死の運命は彼らを見逃してはくれなかった。


(画像がないのでこれまでのシリーズを)

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ファイナル・デッドコースター 通常版 [DVD]
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ファイナル・デスティネーション 特別編
¥1,350
<感想の中で作品の結末にふれている部分がありますので、これから観る方は回避願います>



わたくしの大好き映画、Final Destinationシリーズ最新作。というか第四作。
今回はサーキットでの大事故を逃れた人々に降りかかる死、ですね。

みなさま予想の範囲内かと思われますが、正直なところ「3D映画ですよ、飛びだしますよー!」という付加価値のほかには特に見所のない本作。

事故を予知して主人公ほか数名が命拾い

↓

しかし死の運命から逃れられずに「死ぬはずであった順番」につぎつぎと命を落としていく……


これはいいと思うのです。ここが同じでなければシリーズにもならないわけで。
しかし脚本がなー、おそまつすぎる。
せっかく今回の登場人物の中に、シリーズ中でも珍しい「死にたがっている人物」が出てくるというのに、あんな使い方って……。
一作目の180便の事故の引用もリアリティがなく(このへんの処理がサスペンスを盛り上げず、ひじょーによろしくないと思う)、結末にいたっては「またかよ死の順番を変えても助からないオチかよ!!」という新鮮味&説得力のなさ……。

これはイカンと思うのです。
なにも前作の悪いところを引き継がなくても……!


あーのー、さんざん頑張った挙句に助からないっていうのはさ、毎回やってしまうと緊張感もなにも消えうせるわけですよ。登場人物だけでなく観客だって諦めてしまうわけですよ。希望があって絶望があるから、喜びも悲しみも生まれるわけで、ただの意外性(繰り返しやってたら意外性もなにもないですが……)のために全員死亡オチというのをシリーズ恒例にするのは、ホントやめてほしい。
これではただの「グログロな派手な死に方をただ楽しむだけの映画」という、すーごいうっすーい作品になってしまうではないですか。
そんなのつまらなすぎる……。



うーん。よくも悪くも「このシリーズのいつものカンジ」であって、本作が特に飛びぬけてひどい出来というのではないのですが……エンディングなどもかっこいいし。
飛行機→高速道路→遊園地のジェットコースター→サーキット

と舞台を変えつつ続いてきたこのシリーズですが、物語としては2作目がいちばん良かったように思います。あれ以降、この世界は前作の繰り返し焼きなおしばかりで、ちっとも広がりがないなーという印象ですねえ……。



<追記> おっと肝心の3Dの件ですが、それなりに楽しめました。飛んできたり飛び散ったりするモノが多い映画の内容と合っていてイイですね。私の連れである旦那は「なんか目が疲れるー」と文句を言っていましたが。しかし劇中に「3D映画を観る」というシーンをつくるのはなー、ちょっとお遊びがすぎてしらけてしまいますね……。



世界を変えるには、ただ一つを変えることさえできれば充分なのだ――しかしその「ただひとつ」とは何だろう?
生来の好奇心と理屈っぽさに「おまえ、坊主になれ」と長兄に家を追い出されたヨハネスは、世界の秘儀を求めてさすらいつづける。シュピーゲルグランツと名乗る不思議な少年が道連れとなり、何故かいずれの地でもトラブルに巻き込まれてしまう彼であったが――

鏡の影 (講談社文庫)/佐藤 亜紀
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えーと。
あんまり頭をつかわない、つかいたくない通勤本読みである自分、こういうタイプの「なんらかの解釈を必要とする物語」というのを語るのが心底苦手なのですが、まあせっかくですので自分の脳みそを整理するつもりで語らせていただきます。
あーあーうー。 (もうコトバに詰まってる)

まあなんといいますか、私はこの物語の舞台となる十六世紀ごろの風俗に詳しくないんですけども、作家さんによってはいつの時代のどのような人物を描いても「そこらへんにいる現代日本人」にしか見えなかったりするものですが、いつもながらこの作者さんの書く人物の「身近でない感覚」は絶妙ですねえ……。長年にわたって翻訳モノを読み続けている身としても、この日本臭のしなさ加減を前にしては、海外作品と偽られても分からないほどかと。



このお話、巻末の解説の方のよーな解釈で楽しむのが妥当ではあるかと思われますが、わたくし個人としては自分の好みでゴーインに「ヨハネスの災難パニック冒険物(ていうかただ流されてるだけなんだけどこの人……)」、そして「痛快冒険アクション!」のつもりで読んでいたのですが……



ヨハネスなんにも解決しねえでやんの。
賢い賢いいったところで何にも解決しないから、賢いの無駄づかいでやんの。
なんかさー最後にはひとりで勝手に悟っちゃうしさー(ベアトリクス姫はどうしたよ!?)。




という、筋書き的には非常に「ハア?!」な展開ですが、さすがの説得力でゴーインに納得させられてしまったような、そんな波乱万丈な長編でございました。
後半かなり戯曲っぽくなってしまうので、伯爵夫人がご存命の前半までが物語としては楽しかったですー。



しかしこの作品と直接的には関係のない話なのですが、ラストシーンでふと疑問に思ったのです。処女受胎の処女判定ってさー、なにをもって○だの×だのとしているの? ただの情況証拠?


だって実際に妊娠してるのにさー、なんでだろう。


まさかと思いますけど、この世に処女膜なんてものがあると信じている人がまだ存在するのでしょうか……



決まっていた結婚を取りやめ、大阪へ異動した蛍。
別れた高野部長とは一度も会わないままに5年の月日が流れ、あるコンペで競合相手として再会するのだったが……

ホタルノヒカリ 15―IT’S ONLY LITTLE LIGHT IN MY LIFE (講談社コミックスキス)/ひうら さとる
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おおー、意外にも見事な、ザ・ハッピーエンド。


5年という歳月を挟んでの再会には、賛否あることと思われますが(うーん実際のとこ現実における5年は長すぎるぜよ……置いていかれるほうにとっては特に長い時間だ……)。
しかし、作中の蛍ちゃんがオシャレ女性誌を見ながら思う、

「誰かにうらやましがられるような幸せとは、ほど遠くても」

というのは、まったく本当にそのとおりだなーと思います。


いやー、サロンで髪を切ってもらいながら女性誌とか読むとスゴイじゃないですかアレ。美しくあれ有能であれ自然体であれ、って、ええええ? で、結局どうすりゃいいのよ人生を!! と膨大な「しあわせな女性のありかた啓蒙」の前に混乱してしまったりするわけです。



ただ、私自身もそれなりに年齢を重ねて思うのは、他人に羨ましがられたいなどと思っているうちは、決して幸せにはなれないなーということですね。



うーん。
人に羨まれることが生きがい! という人もいるかと思いますし、それを貫くのもひとつの美意識ではあるかもしれませんが、これって果てのない戦いですよね。
いつもいつも「あたしステキ?」「あたしステキに見えてるかしら?」と他人の視線を鏡としながらの、終わることのない確認作業。評価されることでしか満たされない、だからいつも満たされることのない生活。
本当に欲しいものは、もっと違うものかもしれないのに。



いやー、それにしても、一人暮らしながらそれなりに家事マメになっている蛍ちゃんを見ると、あーオトナになったんだなーという感じです。仕事での有能さの描写よりも、こういうところのほうが印象深いですね。
そしてこの完結編には殿×すてき女子・優華ちゃんカップルの番外編が収録されているのですが、この二人がどうというよりは、最後の最後は駆け足で終わってしまった「その後の蛍ちゃんたち」の幸せぶりを垣間見ることができて満足しました。わたくし的にはこの番外編も含めて本編のようなものですね。


本編ラスト間際の「干物だって味がでてどうたら~」という、一大ブーム(?)を巻き起こした「干物女」とゆーキーワードを意識してのくだりは、こじつけぽくて正直どーでもいい(すみません、でもそーゆーとこ気にするのって作者さんだけな気がする)のですが、蛍ちゃんの成長ぶりが実にさわやかな最終巻でした!



いやーなんか、うまくだまされちゃったなーという気もしますが。←ほめてる




GANTZ -ガンツ- Vol.2
¥5,481

(そういえばアニメ版てみてないわー)

うーわー!!
びっくりしましたよGANTZ映画化ですよ。
いや映画化は驚きませんけども、なんと実写映画化! 主演が二宮くんと松山ケンイチですってよ!
ひいいいいい!



フツーに考えれば「は? 加藤が松山ケンイチ? なんで?」ですが、
デスノートで完璧なまでにLに変身し、クラウザーさんにさえ化けた松山ケンイチさまなので、なんとかしてくれるはず!! (ちょっとアテにしすぎな感もありますが……どうすんだろ、とりあえず加藤っぽく後ろ髪でも伸ばせばいいのか??)


むしろ玄野が二宮くんであることに軽い失望を隠せないアタクシですが、いえ、彼は上手な役者さんだと思いますよ。でもさー、あの独特の、やけに年寄りっぽいカンジで、思春期ウジウジ少年をやれるものなのか疑問。ついでに誰も一緒に行ってくれそーにないこの映画、姉をだまくらかそうと思ったのですが、ニノじゃなー、うちの美少年好き姉ちゃんは釣れそーにない(ゴメン)わ~。

むー。



遠い未来にDVDで鑑賞することになるかと思われますが、
この映画化、すんごい楽しみです!!
GANTZ世界のエグさが、エグさがきっちり出ていればいーなあ……。




首尾よく大奥総取締へとおさまった野心家の右衛門佐。
しかし唯一の世継ぎであった松姫の急死により、五代将軍・綱吉の心はしだいに平衡を失い、その治世は荒れていくのだった――

大奥 第5巻 (ジェッツコミックス)/よしなが ふみ
¥650
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画像がなくてさびしいので4巻をはってみる(何故無いのじゃー!!)。 


大奥 第4巻 (ジェッツコミックス)/よしなが ふみ
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とうとう5巻まで来ましたね~、おなじみ男女逆転時代劇。


えー、しかしこの物語のコンセプトをいまひとつ、いえ、いまみっつくらい咀嚼できていない感のある私ですが……。


そもそも、「なんで男女の立場を逆転させなきゃならんのか」がよく分からず、
お万の方こと有功サマがいなくなられてからはキャラクターに思い入れることも難しく……。


しかし今回の綱吉の子づくり細腕奮戦記(ちょっと違う)を読んでみて初めて
「うわー将軍さまって尊厳もクソもないわ。跡取りをつくるためには個人なんてものはないんだわ」
と暗澹たるキモチになりました。



これ、ふつーに男性が将軍様であれば「まあハレムがあっていいですことウヒヒ!」と笑うくらいで、特にその身の上を気の毒に思ったりはしないわけですよね。しかし女性である綱吉は「若い男達を悦ばせるために、どれほどのことを床の中で覚えてきたか分かるか!」と嘆き怒る。
一方で、男性である右衛門佐は、貧乏な公家に生まれたがために毎夜のように身を売り(←種付け要員)、「学問などどんなに頑張ったところで飾りでしかない」と苦悩しながら生きてきたわけです。



男女の立場を入れ替えただけで、何故それほどまでに悲劇に見えるのか。



ううーん。なんだろうなー、やはりその性別に本来そなわってない(かどうかはともかく、そう思っている)ことを強いられる苦痛なのかなー。
男らしく女らしくなんてナンセンスと言いながら、逆の立場に立ったところで、人は自由になれるわけではないのか。
まあ、単純な男女逆転の問題ではなく、男性の死亡率が急激に高まって男女の比率が崩れてしまったという、この世界の切羽詰った事情がそうさせるのかもしれませんが……。


というわけで相変わらず、この物語の目指すところが全然まったく分からない(1巻当初は「そうか柴田昌弘の『ラブ・シンクロイド』の時代劇版みたいなものかー!」と思ってた……)、ホントにまったく分からない頭のわるい読み手の私ですが、ようやく吉宗の時代にお話が戻ってきましたので、今後を楽しみにしております。



(それにしても有功サマはさー、つるぴかおじいさんになっても清らかだよね……)