水の中。 -26ページ目

水の中。

海外小説のレビューと、創作を。



20



年賀状、というのが私にとっては一年で一番の苦行イベント(ものぐさゆえに……すみません失礼な話です……)なのですが。



今年は更に高いハードルが課されております。
何がって、期限が。


そう、今年は喪中の欠礼葉書を出さねばならぬー!! なのです。



どうやら「12月上旬までに」というのが常識であるらしいのですが、
記憶によればもっと早くにいただいていますねコレ。



しぶしぶ用意を始めたのはよいのですが、
「あれ……住所録が無いんだけど」
自分のVAIOをいじって呟く私に、ダンナが言うのです。


「住所録? 外付けのハードディスクに入れたって言ってなかったか?」
「ハードディスクってなに?」


おそろしい!
なんとおそろしい。


私はそれを購入したことを忘れていたのです。


寝室の棚の上に並んでいるのを見て、「何かのルーター?」とぼんやり認識していた(つまり認識していなかった)のです!



……というわけで、めでたく住所録のデータが見つかりまして、作業中です。



既製の葉書を買ってきたのでー、
自分で宛名印刷してー、
ちょっと文面を書き添えてー、
ああ、出す時に切手もお悔やみ用のやつ買わなきゃダメかなー、



今はまだ印刷が終わった段階ですが、
もうすでに消耗して(何に?)おります。

この記事を書いているのも、一種の逃避行為です。



私はこういう作業が苦手で苦手で苦手で仕方が無いのですが、
この強烈な苦手感覚がどこから来るものなのか不明です。


毎度すんごいステキな年賀状をくれる方などを見ると、人としての品格を感じますね……。








昇進する覚悟を決め、マネージャー(修行中)として動き出す絹恵。


凄腕のバイヤー田渕のアシスタントにつき、目のまわるような毎日をおくる彼女に、

恋人・達也の父が危篤だと知らされる。


槙村 さとる
Real Clothes 3 (3) (クイーンズコミックス)


うおおお。
「仕事をとりますか結婚をとりますか?」
という、すんごい普遍的な、しかし結構な大問題が! 立ち上がってますよ!



うーん、しかしですね、私はこれは「仕事か結婚か」という単純な選択の話ではないと思うのです。
この主人公の彼の場合、父が死んで母がガックリと気落ちして、地元で父の仕事を継いでいる兄の家族の苦労などを見てしまい――故郷へ戻って助けたい、と思うのですね。
「だって家族じゃないか」というわけです。



分かります。分かりますよ。
しかし私は「おまえの家族だけが家族じゃねえだろう」と思うのです。



つまり彼は絹恵に、「すべてを捨てて、自分の家族の一員になってくれ」と言っているわけですよ。
たいした自覚もなしに。


えー、腹たつな~。


逆のことをしてくれる気はあるのか?
ないというより、そんなの彼の常識に無いのでは?



……私の最終結論としましては、そういうプロポーズをするときはですね、
「ついてきてくれ、ダメなら別れよう」
などと脅迫するのではなく、土下座して心をこめて頼め! ということでしょうか。


それなら考えてもいいです。
相手にどれだけのものを捨てさせることになるのか分かっていないよーな男とはですね、
一緒に苦労できないよなーと思います。




おっと内容ですが。

冒頭あたりの、女性三人が飲みながら恋愛について語っているシーンが面白かったです。
この三人はまったく別のタイプの恋愛観の持主ですが、大別すると恋愛って、このみっつくらいに分かれますよね~。






22


えーと休日にちょっと出かけていて時間が空いたので、
北青山の片隅で、30分ほどリフレクソロジーを受けたのですが……



いつも施術後のアドバイスとして、


「ああー、首が疲れていますね」



「消化器系がよくないですね」



「目がすごくお疲れですよ」



というようなコメントをいただくのですが、今回は違っていました。



「あの……そうですね」
担当してくれたスタッフの、やや気まずそうな表情に「?」と思っていると、


「どこが悪いと言うよりも、あの…… 全 体 的 に 」



全体的にダメみたいです、自分。
(かるくショック……)






ユーリアの誘いを断わり、俘虜交換によって、ようやく祖国へと帰りつく新城直衛。

全軍撤退のための犠牲となって部下を死なせ、多くの敵をつくり、敗残兵と罵られ石を投げられる帰郷。


――この国になにがあるというのか


むなしく自問する彼を出迎えたのは、懐かしいあの人の涙だった。




皇国




出ました最終巻!




ううーん、人気作品であるだけに、この終了はもろもろの事情のある打ち切りなのだろうと思われますが、
今後の原作の展開を思うと、終了してよかったのかもしれません。



原作は原作で、これがとても面白いのです。
新城直衛という人物の特異なカリスマ性と強烈な毒を描いた(どちらかとゆーと戦記ものというよりピカレスクロマン的ですよね……)物語には、かなりワクワクさせられます。
まさに小説は「新城直衛の物語」なのですよね。



一方で「バランスのとれた物語」として再構成された漫画版「皇国の守護者」は大変に読みやすい良作。
ややもすると難解になりがちな世界観を、漫画家さん自身がきっちり咀嚼した上で表現しているので、主人公である直衛以外の人物までも、とても魅力的に描かれているのですよね~。



あえて比較するのなら、小説原作と漫画版の一番の違いは、主人公である「新城直衛」のキャラクターであるように思います。



私個人としては、フツーに好感が持ててしまう漫画版の直衛(描き手のお人柄のあらわれなのか、、どうにも善人なんですよね根っこが)よりも、小説版の直衛(小心で鬼畜で執念深いのですが、そこがイイ)が好きなのです。が。



まあ、アレですよね。
あれじゃー漫画にならねえだろという気はします……愛人が何人いようと首絞め性交がスキであろうと別にかまいませんが(いや待てよ。そうでもないかな……)、
原作9巻のあそことかあそことかアレとかは……ちょっと矛盾もしているし……(疑問なのですがー、蓮乃ねーさんとの間に出来た子供が初姫様であるとしたらですよ、彼は自分の娘とケッコンすることになるわけですか? 知っていながら? ううーんそれは受け入れがたいな……)。



えーとですね、原作語りで漫画の話からかなり離れてしまいましたが、
漫画は本当に面白かったです。


どうもこの最終巻、ユーリアと直衛の対面のあたりなど、ヘンに会話がくどいなーと思っていたら、ああー、原作者チェックの入っている回だったようですね。


……漫画表現は漫画家に任せたほうがよろしいかと思われます(あのへん読みにくいー)。







時は1914年、ハンガリーの平原にある、孤立した小さな村。
癒し手である父に育てられた少女シャーリは、村人から魔女のように扱われていた。


ところが戦争が始まり、村の男たちが出征してしまったことで、村の女たちをとりまく環境は変わっていく――村近くに、イタリア人捕虜の収容所がつくられたのだ。



ジェシカ グレグソン, 子安亜弥
エンジェル・メイカー (ランダムハウス講談社 ク 4-1)


なんと驚いたことに、これは実話(15年の間に300人ほどの村人が砒素により殺害されたという、ナジレーヴの「エンジェル・メイカー事件」)を元にした物語。



タルトス(まじない師兼お医者さんのような存在)である父の死後、村に頼るもののいないシャーリ。

保護者も配偶者もいない少女が一人で暮らすことなどは認められない、閉ざされた村。
彼女の今後を心配した父の配慮で、親戚であるフェレンツと婚約をかわした彼女だったのですが……




出征した村の男たちの四年にわたる不在。
捕虜収容所の男たちとの交流から生まれる、遊びであったり切実であったりする不倫。
戦争が終わり、村へと戻ってきた男たちとの間に、当然ながら生まれてしまう軋轢――



実際の事件がどうであったかは知る由もありませんが、
本作は「残酷な大量殺人事件」を扱った猟奇サスペンスというよりは、独立心の強いシャーリという少女が自分の人生をつかみとろうとあがく物語、なのですね。



しかしそれほど意志の強い彼女でも、この閉ざされた村で生きていくことは難しい。



そこでたびたび口にしてしまう言葉が
「他に私が選べる道はないのよ」
なのですね。



これに対して、彼女の祖母のような存在であるユディットは「そんなことはない」と応じるのです。
これには「もっと他に選べる道はあるのだから考え直せ」という意味もあると思うのですが……



私個人としては、
人生において、真の意味で、
自分から選べる道などは無いものだと思います。
「そんなことはない」と言い切れるひとがいるとしたら、恵まれた人間であるか、しがらみを持たない人間であるかのどちらかでしょう。



……なので、このユディットの言葉も「他に選べる道がないとしても、それが自分で選びとった道であるという覚悟を持て」という意味合いが強いのではないかなーと思いながら読みました。




最終的には事態はどんどんエスカレートして、泥沼のような連続殺人事件へと発展していくわけですが、これは実話を下敷きにした物語であっても実話ではないので、作者は物語としての結末を選ぶことが出来るのです。



おお、このラストはいいですね。
ヘンな話ですが、すがすがしい。



シャーリという女性の成長さえ感じられるラストに、この作家さんの厳しく優しい目線を感じました。
うーん、でも男性がこの不自由な生き方に共感を持つのは、やはり難しいかもしれないなあ……。




(そうそう、この主人公シャーリの置かれた立場、何かを思い出すと思ったら、なるしまゆり「少年魔法士」のレヴィの母であるアンヌ様!

ああ、アンヌ様の過去に似てますねー!)


魔法士





最近どうも忍耐力が落ちているらしく、
「ダメだつまらん!」
と思ったものは読み通すことが出来ません……。
小説でも、漫画でも。


小説については書いたような気がするので、漫画について。





◎「コランタン号の航海」山田睦月(原作/大木えりか)


19世紀英国を舞台とした海洋冒険モノだそうですが、もう導入からして、かったるい。読めない。
主人公がいるのに主人公視点で語ってくれないのはなあ……。

えーとですね、主人公がどーゆー背景を持つどーゆー人物なのかが、まったくワカラナイです。

この話はこびは小説でならアリかもしれませんが、漫画としてはダルすぎるとゆーかノリが悪すぎて、
まるで物語に入っていけませんでした……途中でやめてしまった。
漫画家さんの絵は好きなのですが。



◎「インセクツ」杉山敏


実験により巨大化した虫たち。
町は自衛隊に閉鎖され、人々は出ることのできない虫カゴの中に閉じ込められた――

杉山 敏
インセクツ 1 (1) (バーズコミックス)

設定がどうとか話がどうとかいう話でなく、
絵が……絵が売り物のレベルに達していないのでは。

いやべつにヘタでもいいんですよ。漫画は絵が上手ければいいってもんじゃないですよ。
ただ何が問題かというと、この襲いかかって来る巨大化した虫よりも「人物のほうがこわく見える」のです。
この話で、こりゃーイカンだろと思います。



◎「カタログ・ノワール」佐藤かおる


Catalogue Noir1 [眠れぬ夜の奇妙な話コミックス] (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)/佐藤 かおる

霊感ある美術鑑定人・アダムス教授が活躍するお話。
昔なつかしい少女漫画的作風に、「なんか画面がゴチャゴチャしてて読めない……」と放り投げてしまったのですが、読み返したら意外にも読めました! 


人情のツボをおさえた物語づくりではないですか!

私は贋作づくりに加担させられた女性のお話が好きですね~。


ただですね、アダムス教授が「おばさん」でなく「おじさん」であることに驚いたり(長髪のせいだけでなく、男性に見えん)、
そして時々でてくる仇敵(?)ガルースの言動がおかしすぎるのに、どうしても萎えてしまうのです。


……なんでアンタ(←ガルース)花もって訪問するわけよ?


そんなホモ臭のにおわせ方までが昔なつかしいカンジのする漫画でした(なんかこう、潔くないホモネタには好感がもてないなー。やるならしっかりやれ、と思う)。




以上です。
こうして振り返ってみると、おお、一作目以外は最後まで読んでいますね!
そのわりに文句ばかり言ってますね!



漫画大国ニッポンで育ったせいか、
やはり世界のひとびとより漫画を見る目が厳しいかもなーとは思います。





30



下の「ゴースト・ダンサー」のレビューで主人公の眼性偏頭痛について書いていて、
ふと気がついたのですが……。



私の「眼の疲れ」というのは、単なる疲労というよりは、斜位から来ているのかもしれないなーと。

斜視は皆さんご存知だと思いますが、斜位というのがあるのですよ。
あまり一般的に認知されていないようで、自覚のない方がほとんどであるかと思われますが。



私はその昔、眼科で
「あなたは自分の力で眼を正位置に寄せているので、凄く疲れているはずですよ」
と言われたことがあったのですよね~。



その時は「へえ」としか思わなかったのです。
だいたい他の人間になったことがないので、自分の辛さと他人の辛さとを比較のしようがないですから、「人より疲れるはずです」みたいに言われても「へえー」でしかないのですよね。



でも、今あらためて考えると、思い当たるフシはいろいろあるような……。



頭痛とかストレスとか、じつは精神的な問題などではなくて、脳であったり身体機能の不調であったり、

原因がわかってみれば意外と単純な話であるかもしれないですね。


ツライことがあっても、そう簡単に絶望しないほうがいいのかも。



哲学がかつて科学であったのと同様に、心理学が新しい学問だったのは、過去の話かもしれないなあ……。




奇妙な男、ジャック・ウィルソン。
服役していた重警備刑務所から出所した彼は、行動を開始する。


捨て子でありネイティブ・アメリカンであり、スタンフォード出の数学の天才である彼は、
何故テロリストのように振舞うのか?
彼が執着する発明家ニコラ・テスラのノートに書かれていたものとは?

ジョン ケース, 佐藤耕士
ゴーストダンサー 上 (ランダムハウス講談社 ケ 2-2)
ジョン ケース, 佐藤耕士
ゴーストダンサー 下 (ランダムハウス講談社 ケ 2-3)


いやー、大作です!


なんとこの「ジョン・ケース」とは作家夫婦の共著の名義であるらしいのですが(どういう分担なのか謎ですが、両方が作家ということはどちらかが調査係というわけでもなさそうですね……)、

ここ数年の冒険サスペンスジャンルの作品としては、出色の出来と言ってよいのではないでしょうか。


私としても今年ナンバーワンの小説を挙げるのなら、この作品ではないかと思います。



シエラレオネ国境付近のヘリコプター落下事故から始まって、
アフリカのブラッド・ダイヤモンドと兵器の取引に、
ダブリンの弁護士事務所、
オフショア地域であるガーンジー島、
ウクライナのお見合いツアー、
セルビアのテスラ博物館、
そしてSWIFTの所在地であるカルペパー。



これで全てではないのですが、とにかく世界中を駆けずりまわって読者を翻弄し、あれよあれよという間に世界の果てまで連れて行ってしまいます。


豊かなアイディアを物語に盛り込む手腕が素晴らしく、これでもかというエピソード満載で、いやー私自身もちょっと勉強になりましたよ!
(発明機密法ってあんななのか! ツングースカの事件のことも、隕石落下なんだと思っていたけれど、今はその仮説は有力ではないのですね……)



そして敵役である「ジャック・ウィルソン」のキャラクター造形が面白い。
着々と破滅の準備をすすめるウィルソンと、彼を追うバークの両サイドから物語を語っているので、どちらが主役というほどの量的な差はないはずなのですが、やはり「悲劇の天才」であるウィルソンのほうが、圧倒的に存在感がありますね。
こういう「非情な天才」という性格づけをされたキャラクターにしては、決してスーパーマンではない人間として共感が持てるように書かれていて、彼の「眼性偏頭痛もち」という設定はおお上手いなあ、と感心させられました。



惜しむらくは、尻すぼみ――いえ、そうではなくて、
クライマックスから結末へかけてのページが異常に少ない(エピローグも含めてほんの数ページ)ところ。
いきなりパタンと終わってしまうので、びっくりです。



これはすごくもったいないですね~。
ううーん、もったいないというよりも、不思議ですね~。



結末自体が悪いわけではないのですが、何故ここで終わってしまうのでしょう。
バークがどのような結論を出すのか、ウィルソンがどう戦うのか、
ここからが本番ではないですか!
ていうか装置が作動するの見たいし!!(そこか)



うーん……
全体から受けた印象ですが、作者さんは人物の内なる物語、
つまりエピソードを通して登場人物が変化していくという部分については、あまり興味のない人なのかなーという気がします。


だからこそウンチクと事件とで畳み掛けるように物語をすすめていくのかもしれないですね。

まあ、それでも十二分に面白いこの物語、
2007年度ハメット賞ノミネート作品であるそうです。




23



予防接種をしたのですがー、

い、痛い……。


私はいつも「腫れるんですけどー!(受けなきゃダメですか)」と主張してみるのですが、

「発熱は? しないんでしょ? 大丈夫」

などと、あっさりと医者にかわされてしまうのでした。

むーん。


それにしても腫れるのに!!

腕のカタチが変わるほど、熱をもって腫ーれーるーのーにー!



なんでこんな不活化ワクチンに反応するのでしょう、自分の腕。

卵アレルギーでもないし、そもそも何のアレルギーでもないし、

特に思い当たるフシがないのですが……。

納得いかねえです。



というわけで、書庫のほうだけ少し更新しておりますが、

レビューなどもろもろが滞っております。



ブログ3周年(たぶん)記念として、何かやりたかったのですが、

何もせずに終わりそうな、そんな相変わらずなココ……。





25



頭痛持ちなわけでもなく、
風邪で熱があるわけでもなく、
特に思い当たるフシがないのですが、なんだろう。


数日前から、なんだかアタマが重い――気がするのですよ。



「おまえそれ言ってることヘンだろ。体調が悪いんだろ大丈夫か?」
ダンナは驚いて、とにかく寝ろと言うのです。



確かに私は睡眠が不足しがちではあるのですが、
でもなあ、眠って起きても特に変化がないし、これは寝不足ではないのでは……?



もしかして、目を使いすぎなのかもしれないですね。
勤め人は多かれ少なかれそんなものだとは思いますが、
仕事でも仕事以外でも、膨大な量の文字を読んでいたりするので、疲れてしまったのかもしれませんね。
この「かもしれません」という、自覚のなさがヤバイ感じですが。



ところで、ここアメーバの「ルーム」というプロフィールのコーナーに「精霊占い」なるものがあるのですが、
それによるとわたくしは「灯火」なのだそうです。


読んでみたら「組織の中で義務を忠実に」とか「コツコツ地道な努力をするタイプ」みたいなことが書かれていて、
おおー、わりと当たっているではないですか!



でも、灯火……ともしびってコレ、消えそうなともしびだな……。



……というわけで、この週末に予定していた書庫のほうの更新が遅れてしまいますが、
次の週末くらいには15話更新できるように頑張りますー!