ある日突然、街中に恐竜が現れた。実体の無い幻はしかし、超古代から古代へ、そして現代へと進みつづける。
この幻はいったい何なのか……? (「午後の恐竜」より)
星新一作品の代表作11篇を9人の作家が完全漫画化。
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おおー、星新一のショートショートを漫画化! するとは、ありそうで無い企画。
すでに何冊か出ている単行本の文庫化だそうですが、「どうやって選んだんだろう」「なんでこの人なんだろう」的な漫画家さんの人選が光る(ようなそうでないような)、不思議な作品集。
せっかくですので、一篇ずつ紹介を。
●「空への門」鬼頭莫宏
宇宙飛行士を目指し、叶わなかった男の物語。
おお、この人は「ぼくらの」の人ですね! あっちは少年少女のお話なので気になりませんでしたが、なんとなくこの方の「リアル」のとらえ方が……イヤなカンジに漫画っぽいような……。確かに主人公は傲慢でイヤな男なのですが、この漫画家さんのフィルターを通すと、また違うふうなイタイ感じになるとゆー、ふしぎマジック。
というわけで感動的なはずのラストも感動できず……。
●「ボッコちゃん」JUN
マスターが趣味でつくった美女ロボット「ボッコちゃん」。常連たちはロボットとは知らずに彼女に夢中になってしまい……?
これは正統派な漫画化ですねえ。原作の展開があまり遊びのない王道な皮肉残酷オチなので、ご本人らしさは出しにくいかと思われますが、それにしてもフツーな……。
ボッコちゃんのまつげが最大のインパクトでしょうか(そこ?)。
●「冬の蝶」
●「処刑」阿部潤
おお! 私は初めて読む漫画家さんなのですが、これ二作ともすごくいいですね~。
原作を何もかも忠実に再現したという「冬の蝶」も、自由につくったという「処刑」もどちらもすごく面白い。星新一作品へのリスペクトが感じられて、読みどころがありました。
●「天使考」木々
なまけものの天使たちに神様が与えた仕事とは……?
えーと。これを読んでいて原作がまったく思い出せなかったのは、もともと未読であるからなのか、あるいは原作を思い起こさせる部分がないからなのか、いまひとつ不明なのですが。
まあ、どちらにしても、たぶん本作は原作からいちばん遠い漫画ではないかと。
漫画家さんの持ち味がそうなので、どうやっても「のんびり明るい天界ライフ」になってしまうのですよねえ。
●「夜の事件」
●「箱」小田ひで次
実は最初は読み飛ばしてしまったこの二作。えーとですね内容はぜんぜん悪くないのですが、なんというか人物のヴィジュアルが幼いというか素朴すぎて、入りにくい絵なんですよね。とくに女の子キャラに華がないのがツライ。
●「ゆきとどいた生活」鈴木志保
こーゆースタイリッシュなおしゃれ系作風というのは、どうも多田由美あたりに起源があるよーな気がします。ふだんあまり興味がない(まんが表現としてはあんまり魅力がない気がする)系統の作品ですが、星新一作品の無機質なクールさにはハマッていて、驚きました。意外にいいなあ。
●「生活維持省」志村貴子
外回りをつづける二人組。生活維持省の大切な仕事とは……?
これもかなりフツーな感じのヒネリのない漫画化ですが、この漫画家さんの漫画表現の上手さのためか、ものすごく読みやすいですね~。
●「宿命」川口まどか
読みにくい……このト書き説明は言葉がよくないですね~。アタマにすんなり入ってきません。原作なしのご自身の作品のほうがいいかも。
●「午後の恐竜」白井裕子
素直な可愛らしい作風ですが、幼いといえば幼いような。私はこの漫画家さんの作品を読んだことはないはずなのですが、まるで読んだことがあるような気になってくるという、ありがちな雰囲気……。
というわけで、なんだか悪口しか書いていない自分ですみません。
アレコレ不満を書きつらねていますが、しかしこういった「お題を消化する力」と「自分の作品をつくる力」とはすこーし違うようにも思いますので、原作つきの企画モノが上手だから素晴らしい漫画家さんである、というわけではないと思うのですよね。
たとえば上記の作品で言えば木々さんあたり、「他人から与えられるテーマ」にまったく興味なさそう……。










