遺跡調査チームが発掘したものは、行方不明の教授によって600年前から送られたSOSだった。
クリスたち調査チームは、スポンサー会社ITCの思惑によって、教授を連れ戻すために14世紀フランスへ送りこまれるが――。
最新の科学によって、ワクワクするような夢を見せるのが、クライトン作品の魅力ですが、本作は実に古典的なタイムトラベル物。
量子力学を使った理論が展開されるものの、やっていることは他の時間旅行モノと同じような……。
過去における滞在時間が限られていてハラハラしたり、最後に過去にとどまる人物がいたりと、お約束な展開です。
中世マニアのマレクのキャラクターも、ちょっとゴーインすぎやしないかと(フツーあんな奴いないだろ……)。
ただし、おとぎの世界のように思っていた中世フランスの描き方が目新しく、混沌とした14世紀の風俗が生き生きと描かれています。
SFだ、と思って手に取るとがっかりしてしまうかもしれませんが、本作のキモはやはり
「中世ハラハラドキドキ体験」
でしょう。
主人公たちは過去に着くなり、いきなり命の危険にさらされ、逃げまくり追われまくり反撃し、ボロボロになって走り続けます。
おそらくは、映画化を意識して書かれた作品なのではないでしょうか。
映画版は残念ながら観ていませんが、映像で本作の中世の世界を体験すると、かなりの迫力だろう思います。
というわけで、残念ながら、小説としての楽しみは薄い作品ですね。
(評価★)