「木曜組曲」恩田 陸(徳間文庫) | 水の中。

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亡くなった耽美派小説の巨匠・重松時子に縁のある五人の女が、今年もまた「うぐいす館」へと集まった。
それぞれに秘密を抱えた彼女たちが、少しずつ作家との関係を語り始める。
作家の死は、自殺なのか、それとも他殺なのか?



ほぼ全編が、この館の中での五人の語りを中心に展開されていく形式は、まるで演劇の舞台を観ているよう。

少しずつほどけていく謎は、軽快な会話とは裏腹に、それぞれが持つ「物書きとしての業」とエゴイズムが感じられて、背筋が寒くなります。
それを救っているのは、おいしそうな食事の描写と、彼女たちの世間話。
おいしそうと言っても、食べているところの描写ではなく、状況に合わせた献立が、とってもイメージ豊かで素晴しい。こういう時はこういうメニューだよなあ、と頷きたくなるような。

作家の死は、謎がとけた後も、二転三転してエンディングを迎えるわけですが、ちょっとひねりが多すぎて、読者としては興ざめしてしまうところも。

あと、これは話の本筋とは無関係な感想なのですが、会話の調子がどうも古くて苦手。登場人物が30代40代なので、こんなものなのかなあという気もするのですが、ちょっとクセのある会話ですね。全員が物書きと編集者という共通点はあるにせよ、それぞれ別の人生を送っている、まったく別の人生観を持つ女性たちのはずなのですが、そういう感じが全くしない。

そういった細かい部分に引っかかりを感じなければ、ドラマとしてもっと楽しませてもらえたように思います。

(評価★★★)