サトウユウイチのごすぺる放浪記 -702ページ目

さあ、呼吸をはじめよう

  前にカラオケに行ったとき、一緒に行った女の子から「ユーリ(仮名)さん、一緒に歌いましょう。わたしハモりますから、メロディー歌ってください。」と言われた。

 わざわざ「わたしハモりますから」と言ってくれたのが嬉しかったので、ふだんめったに歌うことがないメロディーラインを歌ったのが、間違いのはじまりだった。


 歌い始めてすぐに気付いたのだが、彼女、若干、音が下がってる…

 カラオケだから、しっかり伴奏が鳴ってるし、なによりも僕がしっかり主旋律を歌っていて、この状況でどうして音を下げて歌うことができるのだろうと不思議でしかたがなかったのだが、いかにも「私、この歌は練習積んだんです」という顔で気持ち良さそうに歌っている彼女の顔を見ると、「音、下がってるぅ!」とは、とても言えない。

 いや、もちろん歌ってるから、言いたくても言えないんだけど…


 このまま気持ち悪い不協和音のまま歌い続けるべきか、あるいは、曲がぶっこわれるのを覚悟のうえで、僕が副旋律に合わせるべきなのか!?

 それはそれは、地獄のような数分間でございました。


「てめぇ!カッコつけてないでメロディー歌え!オレがハモるから!!(怒)」


とは、もちろん言えなかったんだけどね。



 子供のころからそうだったんだけど、僕は主旋律を聞いていると、自然に副旋律が聞こえてくる。


 みんな普通にそうなんだろうと思っていたんだけど、ある日、友達のトランペット吹きにその話をしたら、素で驚かれた。

「じゃあ、ハモるときは、どうやって音とってるのさ?」と聞いたら、主旋律からハモる音を逆算して音を出してるんだと。

 でも、それじゃあ、アドリブなんて、できないよね。

 あいつは信用ならん奴だから、きっとからかってるに違いない。


 実はみんな、普通に聞こえてるんでしょ?副旋律…



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