バナナリーフ・チキンカレー(シンガポール)
シンガポール取材の日々、宿泊先のホテルから地下鉄「カラン(kallang)」駅との間にあった大衆食堂風のインド料理レストラン。毎日この店の前を通るたび、客(インド人ばかり)の食べているこのようなチキンカレーが羨ましくて仕方なかった。一度は店に入ってみたものの、メニューが分かりにくかった上に雑然とした雰囲気に負けてしまい注文できずあえなく撤退。しかしそのまま引き下がるのは癪だったので後日再度挑戦。料理が並べられているウインドーを見ながらアイテムを指差して、「チキンカリー!」「ライス!」と注文したらこの写真のように盛り合わせてくれた。味のほうもなかなか。これで値段は200円程度だったと思う。INDEX / MAIN SITE / BBS / Mail
粋な商売(ニューヨーク)
1990年。当時十代だった僕は生まれて初めてニューヨークを訪れた。NYが今ほど治安の良い街ではなかった頃である。ある週末、ブロード・ウェイのミュージカルを観終わり劇場の外へ出た頃には夜の十時を過ぎていて、僕は、宿へ帰るため地下鉄の駅へと急いでいた。駅の階段を降りると、そこは回転ドア式の無人改札になっていた。NYの地下鉄は、改札を一旦入ってしまえばあとはどこまで乗っても良いという、一律料金のシステムである。現在は、その料金の支払いには、「メトロカード」というプリペイドカードが利用されているのだが、当時は「トークン」と呼ばれる、コインのようなものを改札に投入して入場するようになっていた。無人改札の場合、改札機を飛び越えるなどの不正入場を防ぐため、回転ドア式の改札機が設置されていて、トークンを投入することで、ドアが回転するしくみになっていた。そしてこのような改札から入場するには、予め有人の改札でトークンを買い、所持していることが前提なのである。僕は当時いつも「10パック」という、10個入りのパックでトークンを買っていたので、ポケットにはたいてい、何枚かのトークンが入っていたのだが、その時に限っては1枚も持ち合わせがなかった。一旦外に出て、有人の改札から入らなくては。来た方向に戻ろうとして振り向くと、いつの間にかその先に、怪しげな男が立っていた。わざと後をつけてきたらしい雰囲気を感じたので、僕はその場に硬直してしまった。周囲には他に、誰もいない。男が近づいて来る。強盗に違いない。きっと懐から銃かナイフを取り出して「金を出せ、腕時計もだ」とでも言うのだろう。ともかくここは金を渡して、彼がおとなしく去ってくれることを祈るしかなさそうだ。ところが彼は意外な行動をとった。僕の横を通り過ぎると回転ドア式改札の横にある格子戸の側まで行き、鍵穴に鍵を差し込んだ。そしてガチャンと音がして格子戸が開き、彼は少し自慢げな顔をして僕を見た。何のつもりだ?そもそもどう見ても駅員ではない彼が、何故合鍵なんか持っているんだろう。状況が飲み込めない僕に、彼はアゴで「ほらよ、開いたぜ」というふうに合図をしながら、手の平を差し出して料金を請求した。少なくとも彼が強盗でないことが分かってほっとしたが、まだ油断はできない。もしかしたら強盗並みの法外な金額を請求するつもりかもしれない。「いくら?」恐る恐るたずねてみた。そして彼の答えを聞くなり、僕は彼のことがすっかり気に入ってしまった。
「1ドルだ」
当時、地下鉄の料金は1回1ドルであった。彼の商売が合法的ではないのは明らかなのだが、請求する金額は至ってフェアーなものではないか。そしてここまでこちらのニーズを掴んだ商売となると、粋にすら思えてしまう。1ドル紙幣を手渡す。
「ありがとう、よい週末を」と見送る彼に「あなたも」と応えてその場を去り、あれから15年。
僕と彼の「不正行為」に時効が正立したかどうかはわからないが、
あの週末は僕にとって確かに「良い週末」の思い出として、甦ってくるのだ。
シンガポール・TMFTの「奇跡のチキン・ヌードル」
「これぞ、私のおすすめラーメン!」
今年の夏のシンガポール取材で、僕はあの強烈な冷房にやられて風邪をひき、2日間ほど寝込んでしまった。しかし3日目、寝てばかりはいられないので、病み上がりの身体に鞭打って、撮影に出かけることにした。行き先はインドネシアのビンタン島。シンガポールからフェリーでおよそ40分ほどのところだ。早起きをして、地下鉄とタクシーを乗り継ぎタナ・メラ・フェリー・ターミナル(TMFT)へ到着。しかし5分遅かった。次の船が出るまでの1時間半、時間つぶしを兼ねてターミナルの食堂で朝食をとることにした。体調は絶不調、食欲もないし、何か食べやすいものはないかな・・・そこで注文したのがこのチキン・ヌードル。しかし出されたヌードルの匂いに圧倒されてゲンナリ。まるで漢方薬のような匂い!ひとくち食べてみてまたびっくり、ニガい~!こんなもの食えるか!・・・でも勿体ないからもうひとくちだけ食べよう・・・・。二口目、少し慣れてきた。三口目、慣れるとそうまずくないかも。四口目、けっこうイケるかも??五口目、う、ウマい!!そうして結局は、スープの一滴まで残さず飲み干してしまった。そして何より驚いたのは、その後の体調の良さ!・・・というより、あの日の朝、あれほど体調が悪かったことを、随分あとになってから、やっと思い出したのだ。
by RYU / INDEX / MAIN SITE / BBS / Mail
今年の夏のシンガポール取材で、僕はあの強烈な冷房にやられて風邪をひき、2日間ほど寝込んでしまった。しかし3日目、寝てばかりはいられないので、病み上がりの身体に鞭打って、撮影に出かけることにした。行き先はインドネシアのビンタン島。シンガポールからフェリーでおよそ40分ほどのところだ。早起きをして、地下鉄とタクシーを乗り継ぎタナ・メラ・フェリー・ターミナル(TMFT)へ到着。しかし5分遅かった。次の船が出るまでの1時間半、時間つぶしを兼ねてターミナルの食堂で朝食をとることにした。体調は絶不調、食欲もないし、何か食べやすいものはないかな・・・そこで注文したのがこのチキン・ヌードル。しかし出されたヌードルの匂いに圧倒されてゲンナリ。まるで漢方薬のような匂い!ひとくち食べてみてまたびっくり、ニガい~!こんなもの食えるか!・・・でも勿体ないからもうひとくちだけ食べよう・・・・。二口目、少し慣れてきた。三口目、慣れるとそうまずくないかも。四口目、けっこうイケるかも??五口目、う、ウマい!!そうして結局は、スープの一滴まで残さず飲み干してしまった。そして何より驚いたのは、その後の体調の良さ!・・・というより、あの日の朝、あれほど体調が悪かったことを、随分あとになってから、やっと思い出したのだ。by RYU / INDEX / MAIN SITE / BBS / Mail
中国旅行記(32)成都散策


この中国旅行もいよいよ終盤、明日は帰国だ。残る今日1日は成都で過ごす。午後はホテルの近辺を散策することにした。個人的な好みからすればもともと、山よりも怪しい裏路地のほうがそそる性分なので、今回のような地方中心の取材旅行のなかで、こういった裏路地散策は少ない楽しみのひとつだ。すでに仕事の撮影は午前中に済んでしまったので、重い機材はホテルに置いて、小さなデジカメ1個だけを持って琴台路のホテルを出る。左は食べもの屋の店構えで洋服を売る店。右は一般的な肉屋。


裏通りを求めて歩き回っていると・・・・あった、あった、こういう通りを見てこそ中国に来た甲斐があるというものだ。右の写真、この通りは全長およそ200メートルはあっただろう。その200メートル全部が肉屋なのだ。1軒のスペースが2メートルとすると100軒、100人の肉屋!それがみんな同じような肉を売っていて成り立つのか不思議だ。客の奪い合いで喧嘩になり、こんなふうに肉にされて吊るされてしまった肉屋もいるかもしれない。
表通りに出てしばらく歩くとネットカフェを見つけた。薄暗くて怪しげな雰囲気だがとにかくありがたい。料金は1時間日本円にして約80円。ざっと見ても100台以上はありそうな端末だが稼動率は高い。日本語入力はできないが明日の帰宅に備えてローマ字で自宅にメールする。いよいよ家に帰ることで頭が一杯だ。




