骨折4週目
さすがに4週続けて通うと最初は抵抗があった病院も、すでに慣れっこである。
この日まる3週間足を固定してくれたギブスがようやく外れた。
この感動は忘れない。まるで厳しい受験を終えた直後にも似た開放感。
ギブスが外れたあと医師から、「ちょっと足動かしてみて」といわれ、出来る限り足首を上下に動かしてみた。
すると、「これだけ動かせるのは凄いよ!」
と太鼓判が。
何週か先のリハビリの予定が早まったのである。
これは嬉しい。
だが油断は禁物。まだまだ足を床に着けることは出来ない。
無論、松葉杖生活は続くのある。
松葉杖とも、これだけの時間生活を共にするとさすがに愛着が湧いてくる。
そこで松葉杖にも名前を付ける事にした。
その名はジャッカル(笑)
勇ましく勇敢で俊敏なイメージだ(笑)
実家では、両親には本当に世話になった。
18で実家を出て以来、こんな長い時間を一緒に過ごした事は初めてだった。
それは複雑な気持ちもあった。本来、親孝行する立場なのだが、今年32の俺の面倒を親が見てくれる…。
…だが正直助かった。
おふくろの味はやはり最高だし、父さんの力強さは未だに健在で、背中で語る姿に感動した。
早く元気になって親孝行一杯したい。
実家で暮らす最後の日、3週間過ごした布団の枕元に、
感謝の気持ちを綴った手紙を書いて置いてきた。
ありがとうございました。
4週目からはそろそろ仕事復帰を考慮して函館で生活する事にした。
親はえらく心配したが、
3週間の寝た切り生活で鈍った感覚を、自分の力で日常生活を送る事で取り戻したかった。
病院を終えたあと、相棒ジャッカルと共にタクシーに乗り込み、家路についた。
…続く。