140novel(2014/7/1-8「七夕に」他 | 蟻来たりでスミマセン(´ェ`*)

蟻来たりでスミマセン(´ェ`*)

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「ちょっといいかしら」
まだ、いた。
野太くて低い声。
まるで男。

「これ 試着するわ」

年はいくつだろうか。
フリルのベアトップはあまりにもキツい。

「どうかしら?」
鏡を見ながら聞いてくる。
つい口から出る言葉。
研修の賜物。

「とてもよくお似合いです」

すると女の唇の端が上がった。

「よく言われるわ」


7/1「アパレル関係のお仕事です」
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コンビニを出たら肩を掴まれた。
Tシャツにスウェットのラフな女。

「な んですか」
「いいから来なよ」

肩から手を引き離す。

「うちの彼取ったくせに」
全く身に覚えがない。

「ついて来なよ」
仕方なくついて行く。

女の家は川を渡っ た先だった。

「ほら」

そこにはうちの猫ともう一匹の猫がじゃれあっていた。


7/3「略奪愛」
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重いドアを開けると朝靄の中雨が降っていた。
傘を持っていない私は濡れ ながら手を上げる。
タクシーはすぐにやってきた。
シートに身を任せると疲れが襲ってくる。
昨日入ったのは夜8時。
何曲歌っただろう。
今度売れなければ引 退。
突きつけられた現実。
「お客さん誰かに似てるな」
わかってる。本人だよ。


7/4「一発屋」
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そっぽを向いていると見ろと言う。
見ていると何を見てると言って茶碗が 飛んでくる。
耳を手で塞いでいると返事をしろと箸を投げられる。
捨てられた子猫の様に縮こまる。
そうしていればやがて父は一升瓶を抱えて眠るだろう。
窓の 外夕闇の空を鳥が飛んでいく。
今日もまた一日が終わろうとしていた。


7/5「世界はとても小さくて」
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やって来たのは小さな男だった。
死んだ妻に会わせてくれると言う。
「顔 を見るだけです」
それでもいい。会えるなら。

すると男は不気味に笑った。
「前金です。それと写真をお借りしたい」
私は日傘をさして微笑む妻の写真を渡し た。

「それと」
帰りがけに男はボソリと言った。

「天気が悪いと会えないです」


7/8
「七夕に」
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