歌い出したのはカズだった。
真っ暗闇の中、大声を張り上げる。
「ヘッタクソな歌」
しおりんは笑いながら言った。
そして一緒に歌い出した。
二人は怖さを少しでも振り払おうとしてる。
でも楽しそうだ。
いつ闇の中から何かが襲ってくるかわからないのに。
「まだ圏外なの?」
ここが何処かもわからなかった。
6/25 「さよならなの?」
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帰りの電車はいつも満員。
後ろから前から押してくる。
くせっ。酒臭いにおい。
横を見るとサラリーマンの赤い顔。
目が半分閉じてる。
その顔を見ると疲れがさらに倍になった。
やっとの事で駅に着いて改札を出る。
いた。
今日も待っていてくれた。
「ただいま」
そう言うと彼女はにっこり笑った。
「おかえり」
6/27 「おむかえ」
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チャイムを鳴らすと女が出てきた。
ずっとどこかで見た顔だって思ってた。
開いたドアの隙間から彼の横顔が見える。
毎日遊びに行ってたAちゃん家。
行かなくなった理由はもう思い出せない。
あれから20年。
「・・・Aちゃん?なの?」
うずくまりお腹を抱えた女。
私が刺した女は悲しそうな笑顔で頷いた。
6/29 「明日はない」
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ラーメン一杯。
女は800円を払って出て行った。
「ありがとうございました」
薄汚れたラーメン屋。
中学生の私がこっそりバイトするにはこんな所しかなかった。
「あのさ。レシートくれる?」
顔を上げるとさっきの女。
額の汗をハンカチで拭いている。
「領収書でいいですか?」
レシートなんて捨てていた。
6/30 「レシートは私の生きた証なの」