渇いたよ。
乾いたよ。
何か注いで頂戴。
水を求めて街を彷徨った。
水道水はまずくて飲めない。
コンビニで買った若い水。
とても飲めた物じゃなかった。
級百貨店のも何か物足りない。
いろんな飲み物が私に入ったけどあなたが一番だった。
私にひびを入れたあなた。
私は透明。
透明な硝子。
硝子のコップ。
5/12 「コップのひび」
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「わ!!」
私は誰が見ても罠だってわかる落とし穴に落ちた。
下見てなかったから。
子供たちは馬鹿にして誰も助けてくれなくて笑い声だけが聞こえてた。
「ほれ」
見上げるとあいつが手を伸ばしてた。
いつも人のコト馬鹿にしてるアイツ
「バカ。つかまれよ」
いつものバカじゃなくてずっと優しいバカだった。
5/14 「優しいばか」
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毎日壁を見ていた。
寝て起きて壁を見るだけの1日。
私の世界は四角い箱。
光はずっと上の方から微かに漏れるだけ。
それでやっと朝だとわかる。
音はない。
食事が運ばれる音ぐらいしかもうずっと聞いてなかった。
ある日聞こえた「トントン」という音。
リズムを刻んでた。
そして止まってた時は動き始めた。
5/17 「ひきこもり」
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「君は」そう言って人差し指を向けられたのは私だった。
「お父さんが毎朝必ずあの時計を見るのを知っていたね?」
洗面台の時計。
「は・・い」お母さんを見ながら私は答えた。
お母さんはハンカチで口を押さえながら頷いた。
「刑事さん、私も知ってました」
刑事は手で顎を触りながらニヤリと笑った。
5/18 「殺人事件?」
お父さんが救急車で病院に運ばれたのは一日前。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
新聞から目を離さずに言ったひとことが最後だった。
私が電車に乗り学校に向かっている時
携帯が鳴った。お母さんから。
出ないでいるとメールがきた。
「すぐに病院にきて」と。
次の駅で降りた私は駅からバスに乗った。
まさか。
あっけなく父は死んだ。
頭の打ち所が悪かったのだ。
洗面所で倒れて頭を打った父。
どう考えても事故死だろう。なのに。
「ほんとうに事故死ですかねぇ」
刑事は最初から疑っていた。
蛇のような目をした男だった。