140novel(2013/5/19-24)「空港」ほか | 蟻来たりでスミマセン(´ェ`*)

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「人が落ちたぞ!」叫ぶ声。
ほろ酔いでホームで終電を待っている時だった。
線路にうずくまる、どこかで見覚えのある顔が見えた。
酔いが吹き飛んだ。
あの人。歯医者の受付の。
僕は走ってそして線路に降りた。
「早く!誰か手を貸してくれ!」
だけど伸ばした僕の手を彼女は遮った。
「一緒にいてくれる?」
 
5/19 「ぼくは死んでもいいってずっとずっと思ってた」

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「ひかり!ダメよ、そっちに行ったら」
呼ばれた少女は母親の方へ戻る。
名残惜しそうに見ながら。
彼女が見ていた場所には犬がいた。
闇に身を潜めて。真っ黒な犬。

「あの時からあなたは」
ベンチで首に手を絡めながら少女は犬に言った。
「ずっと私を待ってたんだね」
曇り空の向こうに光の塊が透けていた。


5/22 「闇とひかり」

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ぼくは犬になった。
しっぽを振って。
あの子の後を追い掛ける。
あの子が望めばなんだってしよう。
あの子に死ねと言われたら死んだっていい。

「今すぐ会える?」
僕はそのメールを見て家を飛び出した。
銀行でお金をおろす。
「109で待ってる」
お金はなくなったけど手を握れただけで幸せな気持ちなんだ。
 
5/22 「わかってる」

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水に浮かぶ花びらのように軽い。
他の人にとってはそうかもしれない。
「ありがとう」って彼のヒトコト。
私にとってはそれだけで幸せになれる。
男の部屋に入り引き出しに白い粉の入った封筒を入れると私は手袋を外した。
「終わりました」
電話をする。
「ありがとう」

優しい彼の声が粉末になり心に溶けた。
 
5/23 「それは薬」

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まだかな。
何回も携帯を見る。
「待ってるね」って送ってから2時間が経ってた。
座っている目の前を何人もの人が通り過ぎていく。
無関係な人達。
空へ飛んで空から降りてきた人達。

飛ぶまであと45分。
「待った?ごめんね」
一緒にいられたのは30分足らず。
でもね思い出すから時間は何倍にもなるんだ。

5/24 「空港」