リレー小説(あの事件?) | 蟻来たりでスミマセン(´ェ`*)

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このリレー小説は、ぼくが6/20に140novelに書いた物に
景虎さんが一言書いてくれた事から始まりました。

景虎さんのブログ ばななのらくがき帳はこちらです
☆がSUKE、★が景虎さんです~♪それでは、どうぞ~

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☆天秤はちょっとした事で動いてしまう。
ぼくは昨日携帯を失くしたただけで死のうと思った。
ぼくの携帯からあいつの居場所がバレて
アイツが捕まってしまったら今までの10年が台無しになるから。
僕の責任だ。
鉄橋から線路に飛び降りようとした時電話がみつかった。
なぜか電話は線路の上にあった。

★慌てて鉄橋を降り、携帯を手に取った僕はある事に気付く。
あの日撮った写真が無い。携帯の裏に貼付けておいたのに。
その時電車が来た。
急いで線路から出た僕の耳に〈カノン〉の旋律が響く。
携帯だ。着信ボタンを押す。
「久しぶり。」
それは、十年ぶりに聞く声だった。

☆「声、かわらないね」
「そう?でも、すっかり年をとったわ」
「僕も」10年前、僕たちのいた教団は事件を起こした。
それは取り返しのつかない事件。
僕はただの信者で不真面目だったから
位は低くニュースで知るまでは何もしらなかった。
入信したのすら、彼女がいたからって理由だったんだ。

 ★ニュースを見たあとの僕は抜け殻だった。
彼女が関わっているかもしれない。
いや、絶対に関わっている。
この世を敵にまわしても、助けたい。
気がついたら、携帯を手に取っていた。
「もしもし。」
これが、逃亡前に取った、最後の連絡だったんだ。

☆「どうしていたんだい?」
「・・うん」
「元気なのか?」
「・・」
彼女の姿はまだ10年前のままだ。
僕も、そして世間も。
警察の指名手配のポスターの彼女はいつまでも年を取らない。
「会いたい」
彼女から出た言葉。
僕は10年前の自分に戻れそうな気がした。
 
★「ボォーンボォーン」
約束の時を告げる鐘が鳴る。
何処を見ても彼女はいない。
何時ものように携帯を開く。
なんて事は無い習慣。
その時初めて知る。
今さっき彼女が逮捕された事を。
またニュースでだった。

☆とうとう電話してしまった。
10年間我慢した電話。
決して忘れた事のない彼の声。
だけど私は裏切ったんだ、
彼を。自分が逃げるために。
でもそれは私自身の事も裏切っていたんだ。
ごめん。
やり直せるのかな?
会って全部言おう、この10年の間に私にあった事を。
事件があって警察が施設に入ったあの日。

★当時、事件現場は地獄絵図だった恐ろしくて、禍々しくて。
すぐに決めた。
自首しよう、と。
でも遅かった。
もう警察は施設に入っていたんだ。
君に言いたかった。
怖いよ。
どうしよう。
助けて。
「もしもし。」そ
の瞬間、頭の奥で何かが飛んだ。
気がついたら、渋谷の街を駆けていた。

☆私を救ったのはやはり、一般の信者の助けだった。
なんのへんてつもない人。
無口で、でもそれが私を安心させた。
狭いアパートでの二人暮らし、夫婦を装った。
眼鏡をかけ、髪形も変えた。
仕事ももらった。
老人ホームでの介護の仕事。
やりがいもでき、生活も落ち着いた。
そして「結婚しないか?」と言われた。

★ 嬉しかった。彼といると心地よかったし、大好きだった。
でも、まだ私の頭の中には君がいたんだ。
もしかしたら君にはもう彼女がいるかもしれない。
そうだ、電話をしよう。
君は多分、その電話に出ない。そうしたら、諦めがつくから。
だから。
「久しぶり。」
揺らいだ。私の諦めが。そして恋心が。
 待ち合わせを決めて電話を切った。

☆その直後、彼が帰ってきた。
「ただいま」
「おかえり」
いつもの変哲のない言葉たち。
でも、その”ただいま”にはこの時には気付かなかったけど、
深い意味があったんだ。
「明日友達に会ってくるね」
そう私が言うと彼は驚きもしなかった。
「そうか。」とだけ答えた。

★何時もより一寸だけお洒落をする。
昔の、魅惑的で勝気な私を見てほしい。
君の中でだけはそう居たかった。
時間に余裕が無かった。
だから小走りで待ち合わせ場所に向かう。
もしかしたら私、目立ってたかもね。
明らかなソ外行きの服で、人より一歩速く進んでいたんだもの。

☆いつもは薄い口紅も昔のように。
気持ちが昂っていた。
高鳴る胸を押さえきれずに待ち合わせ場所に向かう。
でも、行けなかった。
彼が途中の道に待っていた。
「なんで?仕事は?」
「全部聞いてたの?」
「あぁ」
「行かせて」
彼は首をゆっくり振った。
眼鏡の奥の彼の目が悲しみに澱んでいるように見えた。

★「ねぇ、何で通してくれな…」
言葉を失った。彼はナイフを持っていた。
「う…そ…」
彼は口を開いた。
「じゃあな。」
その後は…警察が来て、彼も私も……。ごめん。

☆交差点の大画面に映し出される女。
「だいぶ変わりましたね」と、アナウンサーが話している。
何が変わったんだ?
何も知らないくせに。
僕は画面を見つめながら体の震えと、涙と、怒りを押さえられなかった。
彼女は心の傷を癒したかっただけ、
ただ行き場所を間違えただけだった。
僕はそう思いたかった。


★迷子。広くて暗いこの世界で迷子になったんだ。
それよりもひとつ、気になる事がある。
〈同棲中のいさかいで…〉ってなに?
彼女は独りだったから…
迷子に………おいていかないで。

<END>