人形 | 蟻来たりでスミマセン(´ェ`*)

蟻来たりでスミマセン(´ェ`*)

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先生の作る人形は生きている、そんな噂がある人形師の家だった。
大きな白い洋館だ。
「なんだか薄気味悪いわね」と茜さん。
「やはりわかりますか?」俺が答える。
かすかだが死臭がする。普通の人間には気付かないが。
俺がチャイムを鳴らすと黒く正装した男の執事が出てきた。
「なんのご用で?」
表情が読み取れない、まるで能面のようだ。
顔に血が流れていないのか?真っ白だ。
「人形グラフって言う雑誌なんですけどー先生いらっしゃいますかぁ?」
こんな時には茜さんに救われるな~。
連れてきてよかった。一気に雰囲気が軽くなる。
もちろんそんな雑誌などない。茜さんだってうちの「旅行社」の社員だし。
「先生は・・」
「もう長い間マスコミにもお出になられてないので、生死を疑われてますよ」
俺はすかさず先回りした。
すると困る執事の後ろから声がした。 
「かまいません、入っていただきなさい」
そして俺達は中に通された。
梅雨特有の蒸す暑さとカビのような匂いがする。
通された部屋は薄暗かった。遠くで雷の音がする。
ショーケースがあり、たくさんのフランス人形のような物が並んでいる。
「わぁ~素敵」茜さんはうっとりみとれている。
すぐに若い女性、先程の声の主が現れた。
「おまたせしました。まずはお飲み物をどうぞ」
冷たいグレープフルーツジュースのようだ。
「暑かったから有難い」そう言って俺は一気に飲んだ。
若い女性、よく見ると表情がない。まるで人形だ。
「お父様に会いたいのですね?」
「はい」見ると部屋の奥に車椅子があり人が座っているようだ。
「お父様?はい」声は聞こえない。その時外が光った。
雷だ。そして雷光で照らされた車椅子。
「きゃー」茜さんが叫んだ。

どうみても腐乱した死体だ。足の骨が見えた。
予想したとおりだ。
「どうされました?」女が不思議そうな顔をする。
「し、死んで・・」茜さんが震えている。
いつの間にか俺の背中にしがみついている。
「お父様?・・はい」
なんだ?会話しているのか?死んだ人間と?
「お父様から、あなたたちにお願いがあるそうです」
「え?」
「死んで下さい」
そう言うと、女の腕がいきなりぐんぐんと伸び、俺の首を掴んだ。
グッ苦しい。ぐいぐいと締め付ける。
茜さんはへたへたとしゃがみ込んでしまった。


「さようなら」腕の伸びた女が笑うようにそう言うと、俺の首は落ちた。
床を転がっていく。そして茜さんの足元に・・・。
あ、白目をむいて茜さんは気絶した。
俺は、俺の頭にある目でそれを見ていた。
「いたたた、痛かったー」
俺の頭部にある口が言葉を発する。
さすがに化け物女も気付いたようだ。
「お前、何者だ?」
俺は、手探りのように手で探りながら首から上のない体に頭を乗せた。
「悪いけど、死ねない体なんだよね」
「!」
俺は口から寄生虫を飛ばした。
そいつは俺の、この不死の血のみ好み、生きている。
寄生虫はヤツの腹を食い破り、再び俺の中に戻った。
そして俺は封印の印を切った。
そこに残ったものは
1体のフランス人形だけだった。