「お前の考えてる事なんて全部お見通しなんだよ」
今日もあいつに負けた。将棋の話だ。
僕は王手飛車を狙ったのに、全部読まれてた。
「あいつの頭ってどうなってるんだろうね?」
いつも一緒に負ける友達に聞いてみた。
「知ってる」「え?」
「あいつの頭には蜘蛛の巣が張ってるんだ」
それは君の事だろ? (5/27)
---------------------------------------
救急車でここに運ばれてきた少女は、
ベッドで空虚な黒い瞳で真っ白い壁を真っ直ぐに見つめていた。
腕には点滴の管が付けられている。
病室の扉から覗いていた僕に気付く筈はないって思ってた。
「かえる」
突然、少女が口を開き、視線を僕に向け、にっこりと微笑んだ。
その時、僕の中で何かが目を開けた。 (5/27)
---------------------------------
深い水に沈んでいく自分の体 ブクブクと
力ない気泡を水面に送り出しながら キラキラと光るみなもに
交錯する影の群れ あれは僕を待っているのか
このまま自分の海に溺れ 死体となって浮き上がった時
黒い鳥が僕の体に群がる 僕の肉を喰らい
そして鳥達は生きていく 資本主義という名の空を (5/27)
-----------------------------------------
得点差は2点。残り1分。
あいつのドリブルを止めるのは難しい。体負けしない事。
しっかり体を当て、しつこくマークしてやっと止めた。
仕方なくパスしようとしたあいつの一瞬の隙を僕は見逃さなかった。
ボールを奪うと、みんなが唖然とする距離をかまわずシュートしたんだ。
入れ!心の中で叫んだ。 (5/28)
-------------------------------------------
実はボクは空を飛べる。
ほんのちょっとしかまだムリだけど、訓練次第で体力の続く限り飛べる筈。
でも飛べる事は内緒だよ。
だってバレたら、人間モルモット。あるいは見世物小屋、あるいは動物園?
だからね誰にも見せてないんだ。
君が空を飛べるなら見せて、そしたらボクも見せる。
え?飛べる?うっそ? (5/29)
-------------------------------------------
水色 青色 ふわふわした白い海月がたくさん浮かんでいる海
誰もいなくてひとりぼっち泳いでみれば
眩しい浮き輪が海の中をプカプカ浮いている。
空には波が起って 小さな飛行機が空を跳ねる。
「何してんだ?」
足みたいな顔が2つ。声は下から。
「アイス溶けるぞ」「食べるー」
逆立ちやめたー。 (5/29)
---------------------------------------------
電車を待つ君を待つ時を待つ駅のホームで。
今日はどんな服でどんな顔でどんな気持ちでやって来るのかな?
君の笑顔君の声君の瞳早く見たいよ会いたいよふれたいよ
君を待つ時間を貯金して一緒にいる時間に替えられたらいいのにな。
まだかなまだかな早く恋♡ (5/29)
--------------------------------------------
震えが止まらない、怖いからじゃない。
震えが止まらない、寒いからじゃない。
流れ星に乗って月に行く。
駅のホームで待っていた流れ星。
夕陽が沈んで宵闇が近付くとやってくる。
耳に流れる電子の音楽。もう懐メロ。
口笛は公共の場では禁止になった。
ついつい吹きそうになった、その時私の唇に人差し指。 (5/29)