目をあけると、そこは家の中らしかった。
暖かい木の匂い。勉強机があり、本が並んでいる。
少女はふかふかのベッドに寝ていた。
そばにはコップ1杯の水が置いてある。
口を付けるとほのかなレモンの味が体に沁みた。
おいしかった。
ここは男の子の部屋らしかった。
しばらくして階段を上がる靴音がして活発そうな男の子が現れた。
「起きたんだね?」
「うん」
「驚いたよ。君は空から降りてきたんだよ」
もしも空を自由に飛べたら、気持ちいいだろうなぁ。
風車がいっぱい回っている丘で
寝転がって空を見ている少年がいた。
「ん?」
なにか空から落ちてくるものが見えた。
白い。点だったものはやがて形になった。
「人?」
少年は走り出した。
しかし落ちるにしてはゆっくりだった。
「あ!羽がある!」
少年が少女を抱きとめると少女は気絶した。
「約束・・・してくれる?」
「ん?」
少女は少し険しい顔をした。
「なに?」
少年はちょっと戸惑っていた。
「・・・羽根の事」
「あ、ぁ。うん。」
「誰にも言わないで欲しいの」
少年は少し驚いたが、すぐ、にっこりと笑って頷いた。
「わかった」
それを聞いて、少女も笑顔になった。
「よかったぁ。」
勇気は必要な時だけあればいい。
少年にとってその時は近づいていた。
黒の車が2台、少年の家の前に停まった。
窓から覗くと白い服を着た、まるで医者のような人達。
そして黒い背広の男もいる。
「誰だろう?」
少年が言うと、少女は慌ててベッドから起き上がり、外を見て叫んだ。
「ごめん!私行かなきゃ」
欲の塊のような、立派すぎる腹の中年の男だった。
「その家か?」
車の後部座席はこの男一人で一杯だった。。
「逃がすな。逃がしたらただじゃすまんぞ」
「はい」
メガネを掛け、男に栄養を吸い取られ、痩せた黒いスーツの男は答えた。
すると側にいた、白衣の女が時計を見ながら言った。
「後1時間です」
わからなかった、何もかも。
少女が誰なのか、どこで生まれ育ったのか。
でも今はそんな事はどうでもよかった。
「こっちへ!裏口があるから!」
そう言うと少年は、母親の残していったカーディガンを少女に渡し、
背中の羽根を隠させた。
「急いで!」
そう言って慌てていたが、少年は嬉しかった。
「逃がした?」
「先生?大丈夫でしょうか?」
風車の中。
やがて風車に付くと中に入り鍵を閉めた。
「これで安心だ」
二人は息を切らしていた。
「なんだぁ、お前かぁ。ん?」
少年の顔が見る見る赤く染まっていった。
少女は話始めた。
「私、名前がないの」
いきなりすごい話になってしまった。
「え?」聞き手の二人は目を1.何倍か大きくして驚いた。その時だった。
「あー」拡声器の声。
「隠れているのはわかっている」「無駄な抵抗はやめて出てきなさい」
医者らしき人の声だった。
「私のNo.は21120418。私が生まれた日。」
そう言うと少女は突然青ざめ倒れこんだ。
「おぃ!」「あ」
二人は慌てた。