雷神(4/5 140novel投稿より) | 蟻来たりでスミマセン(´ェ`*)

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「現れました!」
地響きが徐々に近づき、
遥か遠く砂煙の中に黒い点のような物が現れた始めた。
「軍師殿の手筈通りにな」
赤い甲冑を着た、
口元に立派な髭を湛えた男が口を開いた。
「まかせとけ、兄者」
猪のような体躯の男が大薙刀を振り回す。
「やっと暴れられるってもんよ」
男達は大軍を前に怯む様子は全くなかった。

「いくさじゃ。また戦がはじまるわ。」老婆はつぶやいた。
「橋向こうのでんすけのとこの倅が死んだそうじゃ」
「いやなことじゃ」
畑仕事を一休みして、
道端で茶を飲みながら母達も話している。
そのそばで、私は鞠で1人遊んでいた。
もちろん戦などまだ見た事もない。
怖ろしい物としか、わからないでいた。

美しい娘がいる。
それがこの戦の本当の理由だった。
しかし天下の半分以上を押さえた国が、
そんな理由で戦を仕掛ける事はできない。
「う~む。どうすればよいかな?」
髭を整え、身なりの良い、
やや背の低い男がつぶやくと答えがすぐ返ってきた。
「王から、あなたより下の位を打診し、
受けなければ攻めればよいかと。」


「餌になります。」「民衆が?」「はい」軍師はニコっと笑った。
数時間後、確かにその通りになった。
大軍は、逃げ惑う民衆をまるで餌を奪い合うように襲った。
兵士達の目は既に人間の物ではなかった。
そしてその目の先には鞠で遊んでいた少女がいた。
「キャー」
叫び声はしかし少女の声ではなかった。


おとこは片手で私を抱きかかえながら、薙刀を一閃する。
バタバタと周りにいた兵士達の体が
まるで軟らかいゴムか何かのように
体が半分に引き千切られ、悲鳴と共に無残な姿になっていく。
私には怖ろしさと同時に、なぜか守られている安堵感と、
この男に対する信頼、否もっと不思議な感情が生まれていた。


雷が近づいてくるようだった。
遠くで雷鳴がしている。
いかなる猛者が数人いようとも、
数万の大軍を相手に僅か数千の兵では、
時間とともに力の差が出てきつつあった。
「きりがねぇ」「軍師殿はまだか?!」
少女の体を左手で抱えた、立派な髭の男も
さすがに疲労の色が顔に見える。

そんな時だった。近づいてきたのは雷ではなかった。
包囲していた敵の一端が崩れ始めた。
「遅れてすまん!」
端整な顔立ちの色白の男を先頭にした一団、味方だった。
「軍師殿は?」
猪のような男が息を切らしながらようやく口を開く。
「すでに勝利を確信され見物されています」
見ると少し高くなった小山に陣が見えた。
「って事は!」
雷鳴と供に続々と現れた援軍は他国の軍であった。
侵略軍の兵は敗れ逃げ始めた。
そして戦は終わった。

「怪我はないか?」
私を降ろすと髭の男は言った。
「うん」
体のあちこちに飛び散った
多くの血が服の色さえ変えていた。
「じゃあな。元気でな」
髭の男はそう言うと私に背を向け歩き出そうとした。
「待って」
自分のどこにそんな力があったのかわからない。
「私も一緒に行く!」叫んでいた
振り向いた男は笑っていた。
先程の殺戮を微塵も感じさせない、爽やかな笑顔だった。 

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読んでいただいた方、ありがとうございます。☆⌒(*^-゜)v
これも、ナ行に続いて、ア行で考えて(140novel)にあげました。
前回は話がバラバラだったけど、今回はちゃんと続き物で。
「雷が近づいてくる~」以降は書き足した文です。
一部修正ありです。
やっぱり、出だし考えて文章書くのきつい。。
書き足しのがすっごく楽でした。
元ネタ&何の戦いか、わかるかなぁ?