タクシーが

俺たちを載せたタクシーが

ラブワゴンが

 

新小岩のマユミが一人暮らしをするライオンズマンションに着いた。

 

エレベーターに4人で乗った。

女の子の匂いが充満。

おれは少し勃っていた。

 

なんだろう

吊り橋効果というやつだろうか?

オッサンから逃げることによって、ただのナンパでは終わらず

ある種の団結力さえ感じる夜だ。

 

ワクワクして

ドキドキして

一安心して

ムラムラしてる。

 

そんな5月の夜だ。

 

エレベーターを降りてマユミの部屋に入る。

 

女子が住んでいるワンルームだ。

丁度良く狭い。

 

こういう時に、広い家だと引くし逆に怖い。

「こいつ何者?」

ってなるのだ。

そして、居場所を失い帰る羽目になる。

だから、狭いワンルームが最高なのだ。

案の定、たいしたテーブルもなく、4人で床に座り肩を寄せ合い缶チューハイを飲んだ。

 

マユミに聞いてみた。なぜ、初めて会った俺たちを家に入れたのか?

 

やっぱり、吊り橋効果的な事をマユミも、ジュンコも思っていたらしい。

俺はもう一段階、勃情の予感を感じた。

 

でも、所詮4人なのだ。

若いがゆえに、4人

若いがゆえに、入り交えることもあるが、それにしては俺もそうだが、全員が初心すぎた。

 

でもしかし

風向きを変えるのがこの男、カズ君

 

「走ったから汗かいたよ。シャワーかしてー」

 

という、初めて来た女の子の家という事を忘れたかのような、

そしてもうすでに彼氏になってしまったかのようなトーンでこのセリフが言えるのは彼のアドバンテージなのだ

気まずった雰囲気が少し揺れるのを見た。

カズ君は確実にかつ慎重にそちら側へ持っていくプロだ。

 

 

全員、一回シャワーに入る。

勿論一人ずつ

という案件が満場一致で可決

やっぱり、色々ありすぎて単純に汗くさいのだ。

 

そこから

徐々に盛り上がる気配を感じたのは、女の子達がパジャマに着替えたからだ。

 

 

パジャマ姿のジュンコが酒で赤くなった顔は色気が爆発していた。

ジュンコが隣に座った時に、俺は風呂でなだめたはずのエロアンテナがバリ3になってしまった

(バリ3という言葉は、この頃のケータイ用語だから使うか迷ったが、このバリ3が一番しっくりきた)

 

あーいかんいかん

 

思いつつも

俺もカズ君もエロ顔

 

でもなぜか、カズ君に化粧をして女装させて遊んだり、変な写真(ケータイのカメラ機能はまだないので写ルンです)をとって遊んだりしてワイワイしていた。

初心そのものである

 

 

 

つづく

 

 

 

とにかく

オッサンが怒ってる。。。

 

カズ君のケータイから掛かってきてるから、未だ一緒に居る。。。

 

「あの、とりあえずカズ君に電話替わってください」

 

「うるせーな!コラ!女の子拉致っていまどこにいんだよ!!」

 

「・・・・・」

 

「若い女のコ拉致ってんじゃねーよこの野郎。」

 

オッサンの怒りがピークだ。

俺が拉致したことになってる(笑)

この内容はジュンコにも聞こえていて、ジュンコが笑っている

 

当時のケータイって

メールもないし

電話だけ

やたら電波悪いし

アンテナはラジオのアンテナみたいのを指で引っ張って伸ばすタイプ

やたら音漏れもする

 

俺が無言だったからか

オッサンの怒りがピークに達したからなのか

夜中の静かな公園では、隣のジュンコに丸聞こえだ

にしても恥ずかしいおっさんだ。

若い女の子って言ってる。

 

「早くカズ君に代わってくださいよー」

 

「お前な!こんな時間に女の子連れまわしていいのかよ。心配だから俺が言ってんだろ!!」

 

お前たちといるほうが心配だ。

今度は何目線なのか?

だんだんムカついてきた。

 

「早く代われよ」

 

「あ?」

 

「カズ君に代われって何回言わせんだよこの野郎!!」

 

「うるせ・・・・」

 

「女の子もな!てめーらみたいなおっさんと飲むつもりもねーんだよ!」

 

ピ!!!

 

電話を切ってやった。

すぐかかってきたが、出なかった。

 

あ!!

 

やっちゃった。

カズ君たちがまだあいつらといるんだった。

 

ジュンコが心配そうに聞いてきた

「マユミたち心配だね。どうしようか」

 

少し考えて

「とりあえず錦糸町方面に歩こうか」

 

若いとは恐ろしいものだ。

作戦もくそもない。

最後はいつもこうなってしまう。

キレて終わり。

 

いつの間にかマユミとは手をつなぎ錦糸町方面へ歩く

すると今度はジュンコに着信が

マユミからだった。

 

「おっさんたち帰ったよ」

 

との朗報だった。

なんか、でもいい雰囲気だしこのまま錦糸町のホテル行ってもいいなと思ったが・・・金がない

 

結局住吉でカズ君とマユミと無事合流

カズ君怒ってるかな・・・・と思ったが。

何故か全く怒ってなくて

 

「やっとあいつら帰ったよ(笑)さ!マユミんち行こうよ」

 

あ、もうそっちね

っていう。

カズ君のこういうところが好きだ。

 

マユミが言った

「もうめんどくさいからタクシーで行こ!」

 

「えー金が・・・」

 

「いいよ私が払う。」

 

うそ!うれしい!素敵!!

と思った。

若いっていいな。

 

つづく

 

 

人を撒くことには多少の自身があった。

原付でよくPCを撒いた。

地元の不良からよく逃げていた。

今回の相手は酔っ払いのおっさん(30歳くらい)

余裕だった。

 

人を撒くっていうのは只逃げればいいという事ではない。

よほど足に自信がない限り無理だ。

俺は頭脳戦だと思っている。

 

 

ジュンコとマユミには言い含めてある。

でも、しつこくオッサンたちは付いてくる。

新宿の中で追いかけっこはめんどくさい。

 

「この後は住吉のマユミんちで呑もう」

 

という提案に、鼻の下をのばしたオッサン。

見事に皆で電車に乗ることに成功。

乗った電車は地下鉄都営新宿線

ふと口から出た出まかせが住吉だった。よりによって自分の地元の駅を言ってしまった。

もっと手前にすれば良かったが、この時点で作戦を閃いていた。

 

カズ君はマユミの家が新小岩ってことは知っている。

という事は色々解っているはず。

ただ、俺の作戦は未だ言っていなかった。

なんとなくボケているカズ君。こんなところが可愛い。

カズ君はマユミが気に入っているので、常に隣にいる。

俺は仕方なくジュンコにくっつく。

 

電車に乗って明るくなって解ったのだが

マユミは背は小さく、目鼻立ちがくっきりしている可愛らしい女の子。

カズ君が大好きなタイプ。

俺の横のジュンコは、背が大きくガタイが良い。

目鼻立ちがシャープで整った美人タイプ。

隣にいる俺とは全く釣り合ってない。

ジュンコはミニスカートで色気を漂わせていた。

この頃からかな

俺がデカい女に性的に惹かれるようになったのは。

 

住吉の2個前の駅森下あたりでジュンコに合図

具合悪そうなジュンコ

みんなから離れてドア付近のスポットに収まるジュンコ

 

次の駅

菊川駅に着いて、ドアが開く

俺はジュンコに近寄る

発車の合図

ドアが閉まる寸前でジュンコと一緒に電車を降りた

 

とりあえず成功

ただ、オッサンと一緒にカズ君たちも一緒に撒いた。

あとはカズ君次第なんだけど、何も言ってないのでどうなるか不安ではあった。

 

俺のシナリオでは

 

カズ君と一緒に居るマユミあたりが

「ジュンコが心配だから菊川に戻ります」

 

カズ君は

「マユミと一緒に菊川に行ってジュンコ探してみます」

的なセリフを言っていれば

 

場がシラケ、オッサンが

「そうだね、じゃあ俺たちは帰るわ」

 

となり、2人から電話が入り錦糸町あたりで合流し、総武線で4人で新小岩でうふふ

という何とも都合のいいシナリオだった。

 

しかしそう上手くはいかなかった。

 

俺のケータイにカズ君から電話

 

「はい!」

 

「おいコラ!!何してんだ」

 

オッサン怒ってる。。。

 

つづく

 

 

 

 

 

俺とカズ君、ジュンコとマユミ、そしておっさん二人

おっさん二人は自己紹介していたが、俺たちはほぼ聴いていなかった。

でも、俺は基本的に「みんなで仲良く」派なので、話を聞く。

頭数なんて合ってなくても、最後は狙い通りの女をものにしてこそ、恋愛に発展するのだと思っていたから。

 

そう

このころの俺は恋愛したかった。

俺の考えとは違い、確実にことを進めたい派のカズ君はおっさん二人を煙たがっていた。

でも、あからさまに表現することはなくニコニコしながら話を合わせている。

 

そんな曖昧な状況が続き

飲み屋での2時間はあっという間に過ぎ、追加の金も無いので6人でカラオケに行くことになった。

おっさん二人はノリノリで

「若い子たちとカラオケ行くなんて久しぶりだな」

と、はしゃいでいる。

 

俺とカズ君はカラオケに向かう途中で小声で話し合う

「後で撒こう」

意見はすぐに一致

ここが俺たちの強み。

考えてることが一緒なのだ。

 

女の子に対する接し方とか態度、ヤリたいだけなのか恋愛したいのかは全然別なのだが

敵に対する考え方、戦略がずれたことがない。

短い言葉で意思疎通できるコンビは強いということ

そういう意味では、その辺の双子にも負けない自信があった。

 

 

カラオケに入る

当時「歌広場」なるカラオケが大流行

なぜなら、飲み放題がとにかく安い。1時間680円

その代わりすごい酒が出てくる。

鼻にツンツンくる刺激臭たっぷりのウイスキーとかサワーはもはや石鹸?っていうにおいがする。

でも、俺たちにとって酒っていうアイテムはサイテーの質でよかった。ただのアイテムだから

そして、当時の「歌広場」通称ウタヒロは若い男女が入り乱れていた。

今では信じられないだろうが、各部屋の行き来は当たり前で、トイレはもはやカオス状態

ゲロはいてるやつとかヤッテルやつが当たり前

そんなウタヒロで、おっさんの一人が愚痴を言いだした。

「俺音楽の仕事やってるんだけどね・・・・で・・・・で、俺の音楽ってそういうことじゃないのよ・・・うんたら、かんたら」

また、一人のおっさんがよくわからない古いロックバンドの歌を熱唱している。

 

カズ君はいつの間にかマユミの隣で何やら話し込んでいる

すかさず俺もジュンコに耳打ちした。

 

意見は一致した

4人で新小岩のマユミの家に行こう。

そこで改めて飲みなおそう。

そういう話になった。

おっさん二人はもう出来上がっている。

いい感じの仕上がりだ。ここまで付き合っただけでも偉いと思ってほしい。

 

カラオケの会計になった。

おっさんが言い出した

「女の子はお金はいいけどお前らは俺たちと割り勘な」

言い方がむかついたし、金も1000円しかなかった。

ぶん殴って部屋に置き去りにしてやろうかと思ったが、ここは下手に出て

 

「すみません。僕たち二人で1000円しかありません」

 

と泣くような声で言うと。女の子が見ている手前か

「じょうがねぇな」

といって、結局おっさん二人が全額払った。

そしてカラオケを出た

 

 

この後どうする?

という雰囲気になったがすでに時間は11時

俺たちは新宿で飲み明かすつもりはない。

ジュンコとマユミもうそうだ。

この時点で勝負はついている。

仕上がったかに見えたおっさん二人がエロパワーで生き返ってきた。

金を出して終わりということにも納得がいかなかったのか、

「もう一軒居酒屋行こう!」

としつこく誘ってきたのだ。

 

つづく

 

 

5月も後半 蒸し暑い日が続いていた

 

専門学校の帰り道

いつもの二人

俺とカズ君

 

「今日はバイト?」

 

「今日は無い」

 

「じゃあいこっか」

 

「よし」

 

弥生町の交差点を渡る

バス停を通り過ぎて新宿西口に入っていく

動く歩道を通り左へ折れてぐるぐるとしばらく行くと、しょんべん横丁があり、その手前を右に入っていく

小汚いトンネルを抜けるとアルタ前に続く道がある。

 

アルタ前横のフルーツ屋でパイナップルが刺さった割り箸を100円で買いその場で食う

いつもの事

スカウト、キャバ嬢が出てくる時間帯に差し掛かると俺たちも歌舞伎町へ向かう。

歌舞伎町のメイン通りを入ってすぐ左手に赤い看板「つぼ八」がある

「2時間飲み放題980円」

エレベーターで4Fに入る。

980円飲み放題っていってもカラクリがあって、1人二品以上のつまみを頼まないといけない。

財布に3000円しか入ってないから安いコロッケと枝豆でやり過ごしていた。

 

別に酒が飲みたいわけでも、飯が食いたいわけでもない。

ナンパがしたいのだ。

金は無いけど時間と性欲だけはたんまりある。

 

俺たちは学校帰りにいつも新宿で遊んでいた。

パチンコいったりゲーセンいったり。

でも一番多かったのが2時間飲み放題980円だった。

 

ここのつぼ八はカウンター席とテーブル席

そして、座敷の円卓があった。

俺たちの狙いはこの円卓なのだ。

いつもつぼ八は混んでいるのでカウンター席とテーブル席が満宅になると座敷の円卓で相席になる仕組みを知っていた。

そこをいつも狙っていた。

はずれの時はカウンター席でコロッケを取り合って喧嘩して帰ったりもしたが、何度か通ううちにコツを掴んだ。

 

そしてついに

大当たりの日が来た!!

 

円卓には女子二人が飲んでいる

そこへ通されたのだ。

俺たちはお互いを見つめ合い下卑た笑いをかみ殺した。しかし

円卓には今度はおっさん2人組(言っても30前後)が入ってきた。

心の中で毒づいたが負ける気はしなかった。

なにせ、カズ君がサッカー好きの爽やかボーイだからだ。そこへ俺が喋りまくる

そして肝心な武器「若さ」を持っていた。オッサン二人はどうせ会社の愚痴とか語り合っているうちに酔っぱらって帰るだろう

という算段があった。

 

先ず俺たちは先制攻撃を仕掛けた

生ビールを頼み二人で一気した。

そしてデカい声で

「うんめーーーーーーー」

と言いながら、立て続けにレモンサワーを注文し、これもがぶがぶ飲みながら

「飲み放題だから!!どんどんのんじゃお」

と言った。

 

先ず

酒が飲める男はカッコいいと思っていた。

そして、酔っぱらっているから声を掛けて来たんだと思わせたかった。

 

3杯目くらいで声を掛けた

 

「おねえさんは何呑んでるの?」

 

と言いながら、ケツをずらしながら近寄る。

すかさず爽やかボーイのカズ君が俺に突っ込む

 

「何してんだよ!」

 

俺の頭を叩きながらもケツをずらしながら近寄る

 

いつものやり方だ。

俺が声掛け、カズ君は突っ込みながら女の出方をみて伸びてくる

声掛けと伸び

これが基本

女の子がくすっと笑う

 

勝ちを確信したカズ君が

「で、何呑んでるの?」

で大成功

 

ちなみにカズ君は女の子が乗り気じゃない時は出てこない。

俺に突っ込みを入れて

「こいつがどうもすみません」

てきな感じで終わる。ずるい役割なのだ。

 

 

2人組の女子はジュンコとマユミ

偶然にも同じ歳の20歳と21歳

ジュンコは千葉の奥地、マユミは新小岩に住んでいる。

話は盛り上がりカラオケに行く話をしていると、忘れかけていた伏兵が

あの後から来たおっさんが話に入ってきた。

おっさんは空気を読まない。

だから逆に強い。

結局6人でカラオケに行くことになってしまった。

 

つづく