小泉和裕 新日本フィル チャイコフスキー交響曲第4番(240518) | クラシックコンサート日記

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2024年05月18日(土) 14:00- すみだトリフォニーホール 錦糸町

□ベートーヴェン/交響曲第8番 ヘ長調
□チャイコフスキー/交響曲第4番 ヘ短調

指揮 :小泉和裕
新日本フィルハーモニー交響楽団


小泉和裕の指揮なので期待していたが、チャイコフスキーは期待を大幅に上回る感動的な名演だった。小泉和裕は本当にいい指揮者になったと、大変感激した。

前半は、ベートーヴェン 交響曲第8番。

小泉和裕らしい重厚な表現。

第一楽章は、非常に勢いのある表現でスタートしたが、演奏会の最初の曲によくある新日本フィルのパターンで、透明感に欠ける響き。第一楽章中盤あたりから、透明度が増し、重厚な響きに。

第二、三楽章は、もう少し優雅な表現があってもとは思ったが、悪くはない。
第四楽章が緊迫感のある表現で、オケから引き締まった底光りがする音を引き出していた。


休憩後は、チャイコフスキー 交響曲第4番。

この曲の実演を聴くのは久しぶりである。名曲だが、いい演奏に出会ったことが無い。下手な指揮者だとうるさいだけの爆演になったり、あおりたてる荒っぽい演奏になりがちである。今回、初めていい演奏に巡り合った思いだ。いい演奏で聴くと、本当に素晴らしい曲である。

今日の小泉和裕/新日本フィルの演奏は、何か久しぶりにオケに本気のスイッチが入った、指揮者とオケががっぶり組んだ真剣勝負の演奏であった。

第一楽章は、しなやかで素晴らしくダイナミックな演奏の中にもチャイコフスキーの深い情感を感じる極めて美しい演奏で、久しぶりにこの曲の実演を聴いたこともあるかもしれないが、小泉和裕と新日本フィルの予想外の素晴らしさに、感動のあまり涙が出そうになったくらいだ。

オケの一体感のあるダイナミックな響きも素晴らしいが、テンポを落とした時の弱音の美しさ、緻密な表現は感動的だ。第一楽章の最後のクライマックスは、テンポを上げながらも響きが上ずらず壮絶な響きがしていた。

第二楽章は愁いのある表現。

第三楽章のピッチカートは、力感を伴う表現豊かなもので、ピッチカートでこれほど迫力のある音楽になるとは思ってもみなかった。

第四楽章は、オケが全身全霊を尽くした壮絶な演奏。引き締まった輝かしいダイナミックな響きは、全くうるさくなく、胸が熱くなる思い。最後のクライマックスは、本当に凄かった。


第二楽章の静かな部分で、携帯電話を鳴らした人が。携帯が鳴っているとなかなか気づかず、気づいた後もすぐに止められなかったので、かなり長い間鳴りっぱなしだった。なので、第二楽章は気が散ってしまい、集中できず。困ったものだ。サントリーホールや東京芸術劇場では、そういう人はまずいない。


今日は、名曲であるにもかかわらず、空いている席がやや目立った。これほどいい演奏であるのにもったいないと思う。会場を満席にする音楽監督が振るチャイコフスキーよりもはるかにいい演奏だと思うのだが。。

明日(日曜)も、サントリーホールでの同公演を聴きに行く。今日邪魔された第二楽章をちゃんと聴けるし、サントリーホールでどのような響きで聴けるか非常に楽しみだ。