クラシックコンサート日記

クラシックコンサート日記

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2024年05月28日(火) 19:00- サントリーホール 赤坂

□ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
□ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
□サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 Op. 78 R. 176 「オルガン付」

指揮:山田和樹
ピアノ:藤田真央
モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団


久しぶりに山田和樹の指揮を聴く。
数年前のバーミンガム響とのベートーヴェンや、読響とのドヴォルザーク7番は、いまいちだったが、今回のモンテカルロフィルとの演奏は、見事な出来だった。

山田和樹は、やはりフランスもの、近代音楽がいい。

モンテカルロフィルは、モナコ公国の交響楽団だが、フランス風の響きがする。木管は抜けるように透明で明るい響きで、金管は威圧的でなく、弦は多少ざらっとした響きがあるが、艶やかで明るい。日本のオケとは全く異なる響きである。

最初は、牧神の午後への前奏曲。

明るく色彩豊かでフランス音楽にはぴったりの響きであるが、山田和樹の指揮は少々表情をつけすぎで、この曲の官能的でけだるい雰囲気は今一歩だった。

次は、期待の藤田真央のピアノで、ラヴェル ピアノ協奏曲。

藤田真央は、テレビのシャイーとのラフマニノフ2番のピアノ協奏曲を聴いてすっかり魅了されてしまったので、いつか実演を聴きたいと思っていた。

今まで実演で聴いてきたラヴェルのピアノ協奏曲の演奏とは全く異なる、素晴らしい演奏であった。柔らかく変幻自在な表現は、今まで聴いてきたピアニストとは全く異なる。本当に凄いピアニストが日本から誕生したものだ。

そして山田和樹/モンテカルロフィルの伴奏も、極めて色彩豊かで華麗。ほれぼれとする出来栄えである。このように山田和樹が自由自在に海外オケをあやつるのを聴くのは痛快である。

第一楽章は、ピアノがけだるい官能的な表現が聴けた。第二楽章の明るく抜けるように透明で豊かな音量のフルートとオーボエは、まず日本のオケでは聴けない響き。第三楽章のピアノのリズムの変化の面白さはまさしくスリリング。音量は大きくないが、ものすごいテクニックである。山田和樹は、指揮台から降りたり登ったりで、猛烈にオケをドライブし、ピアノとともに白熱の演奏で終結した。

若い(中堅?)日本の指揮者とピアニストの素晴らしい共演を海外オケで聴くのは、なんとも喜ばしいことだ。

アンコールでは、なんと藤田真央と山田和樹の連弾ピアノ。
矢代秋雄 夢の舟という曲。

連弾ではなく藤田真央の独奏ピアノが聴きたいと思っていたら、もう一曲やってくれ、藤田真央のピアノで、矢代秋雄 24のプレリュードより 第9番 という曲を、凄いテクニックで弾いてくれた。


休憩後は、サンサーンス 交響曲第3番。

カラフルなオケの音を生かした、柔らかく自在な表現の演奏であった。この曲は、もう少しかちっとして、緊迫感のある演奏の方が好きであるが、オケを自在にあやつる山田和樹の指揮ぶりは、聴いていて面白い。終楽章のオケのドライブ力はさすがで、華麗な響きがしていた。オケは日本のオケより各奏者の個性があり、それらが合わさって独特の響きが生まれているように感じる。

アンコールは、二曲。一曲目は、F.シュレーカー 舞踏劇『ロココ』より 第3番 マドリガル。初めて聴く曲だが、山田和樹の柔らかい表現が良く合う曲だ。二曲目はアルルの女 ファランドール。のりのりの演奏だった。

山田和樹が、楽団員を引き連れての一般参賀となった。


今日の聴衆は、7割くらいが女性だっただろうか。ピアノの演奏会ならともかく、オケの演奏会でこんなに女性が多いのは、初めて。山田和樹は女性にも人気がある指揮者だが、藤田真央狙いの人が多かったのだろう。