ノット 東響 マーラー大地の歌(240512) | クラシックコンサート日記

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2024年05月12日(日) 14:00- サントリーホール 赤坂

□武満徹:鳥は星形の庭に降りる
□ベルク:演奏会用アリア「ぶどう酒」
□マーラー:大地の歌

指揮:ジョナサン・ノット
ソプラノ:髙橋絵理
メゾソプラノ:ドロティア・ラング
テノール:ベンヤミン・ブルンス
東京交響楽団


前日のカーチュン・ウォン 日本フィルの鮮烈なマーラーとは全く異なる、熟成した味わいの素晴らしいマーラーであった。

最初は、武満徹 鳥は星形の庭に降りる。

決して聴きやすくはないと思う武満徹の曲の中でも、さらに聴きにくい曲ではないだろうか。10年くらい前、井上道義/新日本フィルの演奏で聴いたことがあるが、木管、金管が混とんとした響きに聴こえたことがある。演奏後、井上道義が楽譜を広げ、こんなに複雑な楽譜なんだと、何か言い訳みたいに話していたことがある。その演奏会での他の武満の曲の演奏は、優れたものだった。

ノット/東響の演奏は、金管の響きが抑制された、繊細でやや淡い感じの管弦楽の調和が取れた美しい響きの演奏で、武満の曲の独特な響きの移ろいを味わえた素晴らしい演奏。ふわりとした響きが聴こえた。

次は、ベルク 演奏会用アリア ぶどう酒。

ベルクの曲も難解な曲が多い。この曲は初めて聴いたが、そう聴きにくくはない。が、武満の曲と同様、曲を聴いた後、旋律を全く思い出せない。ノット/東響の演奏は、ここでも柔らかく透明な響き。ソプラノの髙橋絵理は、悪くはないが世紀末の曲にしては、あっさりぎみか。。


休憩後は、マーラー 大地の歌。

実演で聴いたことがあるか否か、全く記憶が無い。もしかしたら、過去聴いたことがあるかもしれないが、少なくとも頻繁にコンサートに通いだした2013年以降、聴いたことはないだろう。
CDも持っていなかったので、ブーレーズ/ウィーンフィルのCD中古版を購入し、予習した。

さすがにウィーンフィルの音は艶やかな響きで、マーラーにぴったりだ。

ノット/東京の演奏は、音を無理に強奏させるところがなく、弦楽器、管楽器の音が調和したまろやかなふわりとした上品な響きで、魅了された。時にドビッシーの音楽を聴いているかのような淡い響きで、マーラーなのでもう少し艶やかな音楽になっても。。と感じた部分もあったが、ヨーロッパ音楽の奥ゆかしさ感じる余裕のある演奏だ。日本人の指揮者では、このような音楽をやれる人は今ではいない。小澤征爾は、もう少しインターナショナルな感触だが、同様な響きを作る指揮者だったが。

テノールのベンヤミン・ブルンスは、特に最初の曲では声があまり出ていない様子だったが、第三、五楽章ではまあまあの音量で聴こえた。メゾソプラノのドロティア・ラングの方が、深々とした歌唱で良かった。

第六楽章は静かな曲だが、後半のオケの透明で深々とした響きと、ドロティア・ラングの歌唱は感動的だった。

オケは、繊細、透明で柔らかい響き。オーボエをはじめとする木管がとても美しい。トランペットは新しい人だろうか、とてもいい音がしていた。

今まで東響定期は舞台右横のC席で聴いていたが、今回から1階後方の席に移った。さすがにこの席の方がバランスがいい音で聴こえる。ただし、都響も同じような席で聴いているが、都響より少し音が遠い印象。都響がよりパワフルで、東響は繊細な音なのであろう。

第三楽章で、前方の席で急病人が出て、係員数人で運び出されていた。心臓発作でも起こしたのだろうか。足腰を鍛えてあの世に行く直前まで、コンサート通いをしたいと思っていたが、ほどほどにしないと、周りに迷惑をかけてしまうのかもしれない。。