カーチュン・ウォン 日本フィル マーラー交響曲第9番(240511) | クラシックコンサート日記

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2024年05月11日(土) 14:00- サントリーホール 赤坂

□マーラー:交響曲第9番 ニ長調

指揮 :カーチュン・ウォン
日本フィルハーモニー交響楽団


鮮烈なマーラー9番であった。

半年前のマーラー3番が素晴らしい出来だったので、期待していた。


第一楽章は、意外にも金管の強奏が目立ち、特定の楽器を強調するなどばらばらの響きで荒っぽさを感じてしまった。マーラー3番でも、第一楽章はかなり強い表現だったが、ここまで激しくは無かったように思う。この楽章では、オケの響きに一体感がある、もう少し艶やかな響きでうねりを伴った表現が聴きたい。

二楽章以降は、一転して統制が取れた演奏に。

第二、第三楽章がこれほど鮮やかな音楽に聴こえたことは、初めて。第二楽章のリズムの明確さ、鮮やかな音型、推進力は見事だった。すべての楽器が極めて見事にコントロールされていて、あやふやなところが全くない。弦楽器は弓一杯限界まで使い切り、体をゆすっての熱演。

第三楽章も同様であるが、終盤のスピード感、緊迫感は見事だった。

但し、第二楽章、第三楽章も同じような景色、雰囲気に聴こえてしまった。表現が少し直線的だっただろうか。

第四楽章は、さらに一転して大河のようなうねりを伴った、スケールの大きい表現だ。弦楽器は、サイトウキネンほど透明で厚みがある音ではなく、少しざらついた音に聴こえたが、深みのある非常に立派な表現で、感動的な出来栄えだった。30台の指揮者がここまでの表現を成し遂げられるのは、見事と言うしかない。

自ら音楽に没頭してしまうのではなく、常に全体が客観的に見通せられているのであろう。素晴らしいオーケストラコントロールである。

終演後は、長い静寂の後熱烈な拍手に。カーチュン・ウォンのソロカーテンコールがあり、コンサートマスターと共に盛大なブラボーがかけられていた。