大友直人 新日本フィル 前橋汀子 ボレロ(240510) | クラシックコンサート日記

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2024年05月10日(金) 14:00- すみだトリフォニーホール 錦糸町

□ロッシーニ/歌劇『セヴィリアの理髪師』より 序曲
□エルガー/愛の挨拶
□マスネ/タイスの瞑想曲
□サン=サーンス/序奏とロンド・カプリチオーソ イ短調
□サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン
□シャブリエ/狂詩曲「スペイン」
□ラヴェル/クープランの墓
□ラヴェル/『ボレロ』

指揮 :大友直人
ヴァイオリン:前橋汀子
新日本フィルハーモニー交響楽団


大友直人の指揮を初めて聴く。
あまり期待はしていなかったが、後半のフランス音楽、特にボレロは大変素晴らしかった。


最初は、セヴィリアの理髪師 序曲。
新日本フィルの演奏は、最初の曲では透明感の無い荒っぽい音で鳴る場合があるが、くせのないまっとうな演奏で、結構いい音で鳴っていて一安心。結構な迫力もあった。

次は、ヴァイオリンの前橋汀子の登場。

最初は、エルガー 愛の挨拶。ちょっとエンジンがかかっていないような感じ。
次は、マスネ タイスの瞑想曲。悪くはないが、フランス音楽の割にはちょっとグラマラスかな。。

続いて、サン=サーンス 序奏とロンド・カプリチオーソ。
味のあるヴァイオリンだが、テンポが遅く、少々重々しい感じ。この曲はもう少し緊迫感のある演奏を聴きたい。7-8年前くらいに、この曲を前橋汀子が東京交響楽団と演奏したのを聴いたことがあるが、その時はもう少しテンポも速く、端正な感じもあったが、やはり年齢の影響があるのだろうか。

最後は、サラサーテ ツィゴイネルワイゼン。
こちらも、テンポは少々遅めであるが、貫禄のヴァイオリン。この曲ではやや粘りぎみの演奏でも違和感が無い。前橋汀子は御年80歳。ここまで高齢のヴァイオリニストの独奏演奏は聴いたことが無いが、ピアノと異なりヴァイオリンは高齢での演奏は相当難しくなるはず。この年齢でここまで弾けるのは驚異的だ。大き目のヴィブラートでの柔らかい音での、情熱的な演奏。テクニックも安定している。

オケの伴奏は、もう一歩透明感が欲しいが、ツィゴイネルワイゼンでは情熱的な演奏だった。
演奏終了後はブラボーも出て、盛大な拍手。

アンコールは、「川の流れのように(だったかな?)」を含む、ポピュラー曲と日本の歌謡曲の3曲のメドレー。このような曲をアンコールに持ってくるとは思わなかったが、自分が日本人であるとつくづく実感する心が揺さぶられる演奏、音楽だった。


休憩後は、フランス音楽集。

最初は、シャブリエ 狂詩曲 スペイン。
このような明るくはじけるようなしゃれた音楽は、新日本フィルは得意だ。大友直人の指揮は、インテンポで特に変わったことはしていないようだが、オケが透明で明るく、しゃきっとした音でこの曲にぴったり。

次は、ラヴェル クープランの墓。
私は、この曲のしゃれていて、ややもの悲しい曲調が大好きなのであるが、ここでも大友直人/新日本フィルの演奏は、透明、明晰で楽器間の分離が良く、曲想にぴったり。オーボエが活躍するこの曲では、以前の首席奏者古部さんだったら、もっと情感豊かな演奏が聴けただろうとは思うが。。

最後は、ボレロ。
非常に素晴らしい演奏。パリ管で聴いたボレロは別格として、日本のオケで聴いたボレロでは最も優れた演奏だったのではないだろうか。後半の透明、しなやかで、管楽器、弦のバランスが良く、壮麗で艶やかな音、燃えるような音楽を新日本フィルから聴くのは久しぶり。私が好きな新日本フィルの本来の音が久しぶりに聴けた思いだ。残念ながら、佐渡さんの指揮では、いまだこのような音が聴けていない。

指揮者が恣意的にオケをあおったり、表情を作ろうとはしていなく、素直でオケの自主性を引き出すような指揮が良かったのだろうか。

土曜の同コンサートも聴きたいくらいだったが、土曜はカーチュン・ウォン/日本フィルのマーラー9番を聴く予定。