ラフォルジュルネ ケフェレック ベートーヴェン Pソナタ31番(240505) | クラシックコンサート日記

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2024年05月05日(日) 12:00- 東京フォーラム ホールC

□J.S.バッハ/ブゾーニ:コラール前奏曲「来たれ異教徒の救い主よ」 BWV659a
□マルチェッロ/J.S.バッハ:オーボエ協奏曲 ニ長調 BWV596より アダージョ
□ヴィヴァルディ/J.S.バッハ:オルガン協奏曲 ニ短調 BWV596より ラルゴ
□スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.32 「アリア」
□ヘンデル/ケンプ:メヌエット ト短調 HWV434
□J.S.バッハ/ヘス:コラール「主よ、人の望みの喜びよ」 BWV147
□ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調op.110

ピアノ:アンヌ・ケフェレック


連休中はどこも混むので旅行とかは行かないのであるが、全く出かけないと退屈なので、ラフォルジュルネの一公演だけを聴きに行った。ラフォルジュルネは、コロナの前までは時々年、数公演聴きに行ったこともあるが、その中でもケフェレックは最も多く聴いている。品が良く、日本人ピアニストにはない味わいがあり、いつ聴いても満足度の高い演奏が聴けるので楽しみにしていた。

ピアノだけのコンサートというのも、コロナ以降初めてであり随分久しぶりだ。

前半は、バロック音楽集。
どの曲も気品があり厳かな雰囲気が漂うピアノである。その中でもケフェレックが良くアンコールで弾くヘンデルの曲は、しっとりとしてしみじみとした哀しみの味わいがある絶品の演奏。続く、「主よ、人の望みの喜びよ」は、予想以上に前向きな明るさを感じる演奏だった。

バロック音楽集の終了後、ベートーヴェンのピアノソナタ31番に関するケフェレックのトークがあった。「この曲は、ベートーヴェンが特定の人に献呈したものではない唯一のソナタで、クリスマスに人類の幸せを願って書いた曲。喜びや悲しみなどベートーヴェンの音楽の全てが凝縮されている」


演奏が始まり、それまでのバロック音楽とは全く異なる世界が出現。まるでベートーヴェンが語りかけてくるような、ベートーヴェンの愛に包まれるような感覚を持った。ベートーヴェンのピアノソナタの演奏会は、数回聴いたことがあるが、こんな感覚を味わったことは初めて。バロック音楽との対比があったからか、ケフェレックのトークを聴いたからか、ケフェレックの演奏自体がそう感じさせたのかは分からないが、多分全部だと思うが。。。

ケフェレックのピアノは、深刻すぎるところはなく、常に品格を保ちながらも、温かく語りかけ、時に沈着し、時に決然とした響きになり、壮麗さもあり、最後は生きる喜びを爆発させた。ケフェレックは76歳。小柄でやせた体からどうしてこのような音が出せるのか不思議だ。年輪を重ねた一流の人だけが出せる味わい深い音楽だと思う。


今年はケフェレックだけを聴いたが、他にも面白そうな演奏会がありそうなので、来年からはもう少し他の演奏も聴いてみようかな。。