メッツマッハー 新日本フィル シェーンベルク 交響詩ペレアスとメリザンド(230304) | クラシックコンサート日記

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2023年03月04日(土) 14:00- すみだトリフォニーホール 錦糸町

□ウェーベルン/パッサカリア
□ベルク/ヴァイオリン協奏曲
□シェーンベルク/交響詩「ペレアスとメリザンド」

指揮:インゴ・メッツマッハー
ヴァイオリン:クリスティアン・テツラフ
新日本フィルハーモニー交響楽団


素晴らしい演奏だった。

トリフォニーで新日本フィルがこれほどいい音

で聴けたのは、何年ぶりだろうか。

長年クラシックを聴いてきた私にとっても、

今回のプログラムは、少々躊躇するくらい

難しい曲だったが、聴いておいて良かった。


最初は、ウェーベルン パッサカリア。

この曲は10月にノット指揮東響で聴いたばか

り。ノット/東響の演奏も非常に良かったが、

今回のメッツマッハー/新日本フィルの演奏も

素晴らしい。

メッツマッハーは、新日本フィルから透明で

かつ十分な音量の響きを引き出し、最初の曲

からほれぼれとする音響が聴けた。

いつもの新日本フィルでは、最初の曲の出だし

は透明な響きが聴けないことが多いので、少々
びっくりした。メッツマッハーとの久しぶりの

共演でオケのやる気が出たのであろうか。


二曲目は、世界のテツラフのヴァイオリンで、
ベルク ヴァイオリン協奏曲。

大変な名演だった。

オケの最初の出だしが、神秘的で精緻な響きが
出てきて、まずひきつけられる。

テツラフのヴァイオリンは、日本のヴァイオリ

ニストと異なり、深い情感を伴う力強く情熱的

なヴァイオリンで、圧倒的な迫力があった。

オケは、ウェーベルンの時と同じく、透明で

全体の響きのバランスが良く、この曲の移り

行く様々なニュアンスを聴くことができた。

第二楽章の輝かしい迫力ある響きは、近年の
新日本フィルから久しく聴けなかった音だった

し、終盤の消えゆく響きは、美しさの極致

だった。

この曲がこれほど面白い曲だとは思わなかった。
今まで聴いたこの曲の実演の中では、ダントツ

の演奏だった。


アンコールは、バッハ 無伴奏ヴァイオリン

ソナタから。

深刻ぶらない、温かく語りかけるようなバッハ

だった。



休憩後は、シェーンベルク 交響詩 ペレアスと
メリザンド。

難しい曲だ。同じ曲想が30分延々と続く。

数年前に、一度実演で聴いたことがあるが、
少し予習をしたにもかかわらず、全く理解

できなかった。

今回、10回以上CDを聴いて十分予習した

ので、実演で十分楽しめた。

舞台上での大編成のオケは壮観だ。
トリフォニーにおける新日本フィルではめずら

しい16型の弦で、大勢の金管、木管、打楽器が

並ぶ。

実演では、オーディオ装置で聴くのとは異なり、
細かい音まで聴きとれ、壮麗な響きはCDで
聴くのとは別次元の面白さだ。

新日本フィルは、しなやかで透明な弦と、
明るく透明な金管、木管が絶妙にバランスし、
ほれぼれとする音。

メッツマッハーの、無理にオケに強い音を

強いず、自然な高揚感を引き出す指揮は、この

指揮者の円熟を感じるものだった。終盤の深い

悲しみの音楽は感動的だった。

4月からの佐渡裕音楽監督の新日本フィルで、
このような響きが聴けるだろうか。。。


会場に、2人の小学生を連れた親子がいたが、
一人はどうみても小学生低学年。
難しい曲ばかりなのに、最後まで静かに
聴いていたのにも、大変驚いた。