インタビューの部屋「第5回」~泣くな!惟光くん | 前世はきっと平安貴族

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歴史大好き!とりわけ平安時代をこよなく愛する私です。
こんなに惹かれる理由はきっと前世で生きていたからにちがいない。
源氏物語ネタをメインに、色々思っている事を書いてゆきます。あらすじとか一切書かずに自分の思いだけを強引に綴ってゆきますので悪しからず〜。

みなさんこんにちは。

源氏物語リポーターの

犬君(いぬき)です。

 

本日のお客様は・・・そう、

源氏物語の主人公光源氏に

とって、なくてはならない

この方です。

 

どうぞお入りくださ~い。

 

 

こんにちは~惟光です。

 

あ、何だか明るい感じでいいですね!

ようこそいらっしゃいました。

 

ええと、

まずは確認させていただきますが、

惟光さんの名前は「これみつ」と

読むのですよね?

 

うん。正式には藤原惟光と

いうんだけど、惟光でいですよ。

 

えっ!藤原氏だったんですね?

読者の中にはその事実を知らない人も

いるんじゃないでしょうか?

 

そうですね~。

もうひとり「良清(よしきよ)」

っていう従者もいて、そいつは

源良清(みなもとの よしきよ)って

いうんですよ。

僕よりずっと出番が少ないん

ですけどね。

 

源氏物語の中で本名が分かっている

数少ない登場人物という事ですね?

 

そうですね~。

そもそも主人公の

源氏の君でさえ本名は最後まで

分からないですしね。

 

そういう意味じゃ、僕と良清は

特別な存在なのかも。

紫先生にお逢いしたら、

そこんとこ是非訊いてみたい

と思っています。

 

 

惟光さんは随分長いこと源氏の君に

お仕えしておりましたが、どういう

ご感想を持っていらっしゃいますか?

 

率直に言わせてもらうとね、

あの方は「光」源氏どころか

暗黒源氏ですよ!

 

会社でいうところの

「ブラック企業」そのものね。

 

帝の皇子ですから、ボンボンで

世間知らずというのはある程度

仕方が無いと諦めもつきますが、

何せ無類の女好きときているもん

だから、手に負えません。

 

中でも1番大変だったのは

夕顔という女性が亡くなった

時でしょうね。

 

源氏の君は夕顔さんを

ことのほかお気に召して、

身分を明かすことなく

のめりこんでいたんですけど、

 

そのうちいつもの場所では

満足できなくなったのか

何やら怪しげな場所でデートを

楽しんだら、どういうわけか

夕顔さんが急死してしまい、

そりゃあもう大騒ぎでした。

 

明け方に突然呼び出されまして、

行ってみたら血相を変えた

源氏の君が「何とかしてくれ!」

ですよ。

 

驚いたけど、とにかく時間がない。

この事が世間にバレないように

完全犯罪よろしく僕はひたすら

頑張りました。

 

こっちはせっかく恋人との

逢瀬を楽しんでいたというのに、

貴重な時間をぶち壊されました。

 

あの方は「絶対に上司にしたく

ないタイプ」ですね!

 

 

そういえば源氏の君が夕顔さんと

出逢ったきっかけというのも

元々は惟光さんのお母さんの

お見舞いに行ったからだったん

ですよね?

 

そうなんです!

お見舞いと称しながら

女性を探すアンテナだけは

いつも立ててるんです。

アイツ あの方はそういう人なんですよ。

 

夕顔さんとの恋だって、僕がまず

彼女の素性を調べ、その家の使用人と

親しくなった上で源氏の君の文を

彼女に届けたり、と大いに根回しを

したからこそ成立した恋だったのに、

その苦労もあんな形で終わって

しまうとは・・・。

 

噂によると、若紫ちゃんが源氏の君に

さらわれた時や、朧月夜の君との危険な

恋に火がついた時にも惟光さんは

暗躍なさったとか?

 

危険をともなったり、煩わしい仕事

ばかりやらされて、

正直、源氏の君から離れたいと

思ったりは?

 

そりゃあ、ありましたよ。

 

でも、そもそも源氏の君と

僕は乳兄弟の関係で、

物心ついた時からずっと

一緒に生きてきたし、まぁ

言ってみればお互いがお互いの

半身みたいな存在なんですよね。

 

クサレ縁とも言えますが・・・(ぼそっ)

 

それにほら、この社会は

「身分が絶対」だから、

僕のような者は転職しても

同じような未来しかないだろう

と思って。

 

それで気がついたらずっと

源氏の君にお仕えしていた

というわけなんですよ。

 

惟光さんのの忠誠心は素晴らしいと

思います!

 

 

それにしても、私から見れば

源氏の君というお方は、高貴な

ご身分というだけでなく

学問・芸術・あらゆる分野に才能があって

その上あのとてつもない美しさ!

まさにパーフェクトな存在なん

ですけれど・・・。

 

だから、そのような素晴らしい方に

お仕えしている惟光さんはきっと

鼻が高いというか、さぞや満足して

いるのだろうとばかり思っていました。

 

そうですねぇ~。

たしかにそういう時もありますよ。

 

「どうだ!オレのご主人様は

すごいだろう!」って優越感に

浸るなんて事はしょっちゅうです。

 

ただね、いっつもいっつも

恋愛の橋渡しや尻拭いやらで

正直うんざりする時もあります。

 

女性たちがキャーキャー言って

うっとりしたまなざしを向ける

のはアイツ源氏の君であって、

僕じゃないですし・・・。

 

 

そうだ惟光さん!

暴露本を書きませんか?

出版したら大ヒットするこ

と間違いなしですよ!

 

タイトルは「回想録~惟光は見た!」

とかどうでしょう?

あ、「実録!ブラック源氏24時」

とかもいいですね。

 

印税だけできっと一生遊んで

暮らせますよ。

 

そりゃあいい!

たしかに僕以上にあの方の

知っている人間はいないですからね。

 

印税生活かぁ~

ちょっと心が動くな~飛び出すハート

 

 

でもね、今ちょっとした希望が

ありまして、

 

何と源氏の君のご子息・夕霧さまと

僕の娘が結婚するかもしれないん

ですよ!

 

夕霧さまは娘が五節の舞姫に

なった時の姿を見てどうやら

お気に召したようです。

 

娘は僕には勿体無いくらいの

良く出来た可愛い子で・・・

えへへ。

 

で、僕の頭の中ではこんな

未来図が展開されているわけです。

 

 

夕霧さまと娘が結婚して

僕は源氏の君と親戚関係になる

    ↓

2人の間に姫が生まれ、

その姫は身分の高いお方と結婚

    ↓

ひょっとしてこれはあの

「明石の入道コース」の踏襲?

 

 

なぁんてね(笑)

 

僕が帝のひいじいちゃん?

なんて思っただけで、苦労も

吹き飛ぶってもんですよ。

 

だから今はちょっと暴露本は

出せないかな・・・惜しい気も

するけど。

 

そうでしたか。

惟光さんのこれまでのご苦労が

報われて、夢が叶う事を願っております。

 

ありがとう。

将来のためには、少々の不満は

我慢しないとね。

 

 

~~その時「惟光~」と呼ぶ声~~

 

 

あ、源氏の君がお呼びだ!

もう行かなくちゃ。

 

源氏の君ったら、そのうち

「光る君へ」からのお呼びがかかる

はずだと思い込んでいて、

ずっと前から衣装を考えたり

どの角度の顔が1番美しく見えるか

なんて、めちゃくちゃ張り切って

いるんですよ。

 

えっ、そうなんですか?

きっとよっぽど出たいんですね。

物語の中だけじゃ足りなくて

21世紀の女性たちにもモテたいん

でしょうね。

 

果たしてNHKからオファーは

あるのかなぁ?

 

今のところ「源氏物語」に関する

キャストは発表されていないのですが、

私も是非やってほしいと思っています。

そうなったら嬉しいですよね。

 

じゃ、またねバイバイ

今日は話を聴いてくれて

ありがとう!楽しかったよ。

 

こちらこそありがとうございました。

 

 

 

 

【インタビューを終えて】

 

とっても爽やかな好青年という

感じの方でした。

いい方なので、幸せになって

ほしいな~と思いました。

 

実際の惟光さんは源氏の君の元で

 

摂津守兼修理大夫

参議

 

と、まずまずの出世を遂げており

これも苦労した甲斐があったという

事でしょうか?

 

さて、惟光さんの壮大な夢の件

ですが、

娘さんと夕霧さまはめでたく

結婚し、お2人の間にはお姫様が

誕生します。

 

そのお姫様は落葉の宮という

高貴なお方(夕霧さまのもう1人

の妻)によって育てられ、何と

東宮候補の親王様(匂宮)に

嫁ぐ事になるのです!

 

惟光さんの夢、順調ですね~。

 

ところがところが・・・

物語はこのあたりで終わって

しまい、惟光さんのお孫さんが

その後男子を出産したのかまでは

わからず、さらに惟光さん自身も

どうやら途中でお亡くなりに

なっている気配です。

 

夢の実現まであと一歩

だったのに・・・ぐすん

 

 

光源氏暴露本出版計画は、水泡に

帰しましたが、私としては代わりに

「泣くな!惟光くん」という本を

執筆してさしあげたい気持ちですメモ

 

 

 

 

 

=犬君(いぬき)プロフィール=

紫の上が幼かった頃の遊び相手。

北山にいた頃は紫の上が大事に

飼っていた雀の子を逃がして

しまったり、二条院に紫の上と

一緒に引き取られた時も雛人形を

壊したりとロク事をしなかった。

その後物語に登場する事もなく

ヒマを持て余していたところ、

持ち前の無鉄砲さが買われ

今回リポーターに大抜擢された。