セイクリッドセブン 感想 | デブリマンXの行方

デブリマンXの行方

いつか見えない社会問題になると信じている自分のような存在について、自分自身の人生経験や考えたこと、調べたことをまとめ、その存在を具体的にまとめることを目的とする。

 

 

就職内定祝いに昔から少しずつ集めていたアニメのBlu-rayを最終巻まで購入。

そのアニメがこの「セイクリッドセブン」。

2011年に放送され、全12話と劇場版で構成されている。

 

 

ストーリーはまあ置いて置くというか、上記のwikiに任せるが、要するにボーイミーツガールヒーロー物。わたしの世代が子どもの頃に見ていた作品群に近い系譜である。

 

この作品の魅力はなんと言ってもハイセンスなキャラクターの動きにある。

動画サイトでオープニングの映像を見て貰えばその意図は伝わると思う。

とりわけ、主人公に動きのダサさが魅力的である。最終決戦で走るシーンでさえ、自分の動きが速すぎてバランスが取れるまでに一瞬かかっている。そして、その動きが実に丁寧。

なんなら、主人公は変身した姿もどこかかっこ悪いが、おそらく意図的なものだと思う(そうでなければただのハイセンス)。深読みするなら、かっこ悪い男がかっこつけるのが最高にかっこいいのかもしれない。

 

それ以外のシーンでも基本的にとても力が入っている。が、やはり特筆すべきは戦闘シーン。

滑らかな動きとそれらしい身体使いは「カウボーイビバップ」第一話のスパイクを思わせる……というと分かる人からは「全然分かってない」と言われそうだが、ぬるぬる動くことは確かである。作画で飯が食える人には必見。

 

個人的に気になる点としては、話の流れと一部の設定か。

執事やメイドといった属性は当時の流行だったから導入したのかそれとも何か計算したのか。別にキャラクターが嫌いなわけではなくて、「フルメタル・パニック!」のような硬派な組織の方が好みと言うだけの話。

話の流れについては、あまり感想を述べることはできない。まず、この作品の前提として以下の大き過ぎるハンデがある。

  • 当初は2クール全24話予定でオーダーされていたが、第6話を製作途中に全13話予定へと、更に全12話予定へとオーダー変更が繰り返されたことで1話分切り詰めなければならなくなったため、第11話 - 第13話の内容を第11話 - 第12話へと縮めた形で放送された[20]。 ─ wikipediaより抜粋

むしろ、話数が半分にされてなおこのクオリティに仕上げた点を賞賛されるべきだとわたしは思う。

一応劇場版で多少補足されるが、それも本当に多少である。その補足もほとんどライバルキャラのもので、おそらく本作にとって一番大切であったと思われる主人公と部長のエピソードがすっぽ抜けている。それがないため、主人公の覚醒がやや急であるのは否めない。

 

じゃあ、上記のハンデなしにやったら流行ったかというと、たぶんそれはない。

わたしがこの作品を気に入っているのは純粋に好みからであり、この作品が特別な名作だとは思っていない。仮面ライダーに興味が無い人に、仮面ライダーの魅力は伝わらないだろう。

また、この作品の泥臭い真っ直ぐさは、どこか今の流行と一線を画する。アニメや漫画といった物語は、そのキャラクター達と読者の一体感が面白さを引き出すスパイスだと思うが、この作品はそういった没入感が薄い。例えば、いわゆる「なろう系」は、読者に似た境遇の主人公を活躍させることでエクスタシーを与えるものが多い印象だが、そういう意味でこの作品の主人公はどこか重なりにくい。主人公が自分の力に対して深刻に困っていることもあるが、上述した絶妙なダサさが視聴者との一体感を上手く切り離しているような気もする。売れる作品や売り出しやすい作品が求められる昨今では、本作のような方針で進めることはリスキーなのかもしれない。

 

売れるか売れないかはともかくとして、素材はとても良い作品である。

また、こういったボーイミーツガールヒーロー物は、わたしの知る範囲(とても狭いけど)では近年ないため、時代が一周して新しく感じる世代もいるのではないだろうか?

また流行が一周した時に日の目を見て、そこで完璧なリメイク版を見たい。そういう願望を持てるという点では大いに夢のある作品だとわたしは思う。

 

 

上記のサイトではなんと今年の2月に配信されるようになったらしい。

ある程度の存在感はあるということか……。