<はい。ありがとうございます。>
「遺品整理。って、あるけど、生きてる人はダメ?」
<お部屋のお片づけですね。大丈夫です。
どのような形でもうけたまわります。
どなたのお部屋でしょうか。>
「弟やねん。ちょっと、具合が悪くて・・。
今、入院中。先生が、覚悟してくださいって、言うてるし。」
<大変ですね。
今から、片付けはるんですか。>
「そう、もう一年以上入院してるんよ、
近所から、苦情が出てんねん。異臭がするって。
気になって、気になって。」
(異臭・・・。何が?・・・。)
<この頃は、涼しくなってきましたけど。
いつからですか?その異臭問題は。>
「今年の6月くらいやったかなあ。」
(6月・・・。5か月も経ってますやん・・。)
「今年は、暑かったやろ。ワシらがバテてしまうから、
今になってしもて。」
(・・長すぎますやん。)
<では、お見積りに行かせていただきます。お立ち会いくださいね。>
「先に言うとくけど、ごみ屋敷やで・・。
何がどこにあるのかわかれへん。大事なものは、見当たれへんし。」
<通帳とか、カードですか? 大丈夫ですよ、9割がた見つかります。>
「ほんまかいな、エライ自信やなあ。
ま、頼みますわ。」
・・・・・・・・
次の日。
「あ、もしもし、昨日電話したもんやけど。
そうそう、えらいことやで、先に本人が亡くなってしもたわ。」
(先に・・。普通は、遺品整理が後ですよ。)
「もう、ますます、何がどこにあるのか わからんなってしもた。
なあ、葬儀代はどうなるんやろか。」
(やっぱり、それですか。)

✿ ジャージ姿が忘れられない・・。
「うちのおじいちゃん、亡くなる数年前から
認知症になってしもて・・。」
「なんか、ユニークな人やったよね。」
「自分の帰る家がわからんなってしもて。」
「迷子状態なん?」
「そう、で、家の前にドラえもんの顔の札 立ててん。
おじいちゃんに、どらえもんのところに帰ってくるんやで、
って、言うてきかせたんよ。
ほな、行ってくるでー。って、おじいちゃん、
そのドラえもんを持って、でかけてしまうんよ。」
「ハハハ、意味無いじゃん!」
