病院からのご搬送。
ストレッチャーを寝台車に納め、
いよいよ、ご出発。
「お待たせいたしました。
それでは、出発させていただきます。
ご家族は、こちらに・・・
・・・あら、ご家族の方は・・・?
・・・一緒にここまで、ついて来られましたよね。」
「ええ、病室から、ここまで。・・・あら?どこへ行かれましたかね。」
「どうしましょう。」
「おられました―。ここです。」
皆の心配を、知ってか知らずか、
助手席で、準備万端 シートベルトまでして、
「ほな、行こか―。」
って、お父さん、この後は、ペースを合わせてくださいね。
☆できたら早く、とめてほしかった。
「あと少しで、開式になりますので、皆様ご着席くださいませ。
お導師様の、お経が始まって しばらくしましたら、
私が、ご案内いたしますので、
先ず、喪主様から、 お焼香をしていただきますね、
よろしいですか?ご主人からですよ。」
「あー、わし? ほな。」 と立ち上がろうとする。
「いえいえ、まだです。
まだ、始まってないですから。」
「え?! はじまってない?
いつ、始まるの?」
「もう少しで、はじまりますから、
私が、合図したら、お焼香しましょうね。」
「ほいほい、ほな。」 って、また立ち上がろうとする。
「いや、まだなんです。
お寺さんが、お経をはじめてからですよ。」
「まだ? いつはじまるの?」
「もうすぐです。
はじまりますよー。って、マイクで言いますからね。
それからでいいんです。」
「それから? いつ?」
「って、お父さん、モー。
すみません、父のことは、大丈夫ですから、
早く、仕事進めて下さい!」
あとの説明は、間に合いますかねー。